5月3日付の日経新聞に、こんな記事があった。
先週行われたドイツの「ハノーバーメッセ」にオバマ大統領が訪れ、正に本の主題である、IoTについて記述している。
ドイツ、オランダなど先行して進めようとしているこのIoT系のつばぜり合いと、国際連携が進行していることを示唆。
一方で日本。
ドイツとの標準化の協力の覚書を交わす他、友好ムードがあるにもかかわらず、独機械大手幹部は話す。
「訪れてきた日本企業は話を聞いて終わりのことが多く、互いのノウハウ公開にも及び腰。その後は連絡もない」
IoTについては興味があるので前に 読後評にアップした「2030年のIoT」に限らず、できるだけ目を通すようにしている。
が、こんな記事を見ると危機感が高まってしまうではないか!(笑)
さて本へ。
著者の坂村 健氏は、「TRON」「ユビキタス」の第一人者(2003年 紫綬褒章)
このため、大変に示唆に富む記述が続く。
第1章でIoTの登場、IoTとユビキタス・コンピューティングの意味がほぼ同じであること、を説明。どのコトバがバズワードになるか、ということなのだ。
そして面白いキーワードが次々と。
・モノのトレーサビリティ
・クローズIoT、オープンIoT
・ベストエフォートとギャランティ
・オープンデータとオープンソース
・Gov 2.0
・アグリゲート・コンピューティング
・オープンSPI化
・「閉じたIoT」、「オープンなIoT」の境にある問題を浮き堀りにした311
・オープン化とガバナンスの溝
・技術先行に陥る日本
・確信を阻む日本型ビジネスモデル
・「データのガバナンス」と「データのガバナンス」
・個人の権利から事業者側の義務へ
・場所概念の標準化 When、Where、What、Who
・ユビキタスからアグリゲートへ
キーワードだけでは判りにくくてどうしてもその内容を知りたい方は、本を買うべし(笑)
これらの問題の具体的な技術面の解決策について、本では記述されているので!
とはいえ上記のキーワードからだけでも、日本の抱える問題は浮き彫りになっている。
それについての記述を一部メモ。
「家電のAPIのオープン化自体は実は技術的には用意なことだ。
しかし、悪意の第三者による不適切な制御がそのAPI経由で行われるという不安がある限り
特にギャランティ志向の強い日本のメーカーはその方向に行けないだろう。
(中略)
単なる「セキュリティ」でない状況に応じたアクセスコントロール ーガバナンス管理の技術と
それを前提とした責任分界という制度面からの両輪の保証が求められるだろう」
そう、つまり複数のステークホルダの調整はもちろん、制度の問題なのだ!
実はこの問題を大きな視点で統合していく方法論がまとめてではないが、4か所ほどに散って提示されている。
それは何と、東京オリンピック2020!!!
複数回にわたって引き合いに出されるのは、ロンドンオリンピック2012。
・バスから地下鉄から貸し自転車、さらにタクシーまでがロンドン市交通局管理。
しかも、これらのリアルタイム運行データは、2012に先進性をアピールするために公開
(一方日本は、世界一複雑な都市交通網!=鉄道14社、乗合バス38社 etc…)
東京オリンピック2020は、サービス高度インフラを構築するベストチャンスなのだ。
(1964の時に、新幹線が出来たり、高速が出来たりしたように)
招致プレゼンでアピールした「おもてなし」を達成するために、残された時間は少ない...
当ブログの結論 = 目の前のリオに気をとられるよりは、ロンドンに再注目すべき。