~Agiato で Agitato に~

再開後約20年になるピアノを通して、地域やほかの世代とつながっていきたいと考えています。

秋のステップ

2006年11月06日 09時08分49秒 | 室内楽
さっきTVを見ていたら、「のだめ」の真澄役をやっている若い俳優さんが出ていた。
大変「コワレた」役をやっておられるので、素はどんな方なのだろう・・とかねがね思っていたのだが、素はなんと「無口で物静かな青年」。
本人いわく「普通の役よりテンションが2つも3つも高い役なので、役に入る前に自分の中のネジをはずして臨みます」と。
役に入るまでの密着取材によると、楽屋入りの時は大変静かで物憂げ。それが、楽屋で「真澄」の格好になってでてきたら、別人。走り方も内股ではずんでいる。
それが本番になったら・・・コワレていた。
またまた本人いわく「無理やりテンション上げると画面を見ると自分でも不自然だなあって思うので、なるべく自然にあげるようにします」と。
さすが、プロ。
それにしても、こういう青年をあの役に起用しようと思ったプロデュサーもさすがプロだ。

ところで、昨日はステップだった。
いろいろ書きたいことはあるのだが、上の話と関連してキャラクターとテンションの話を。

昨日弾いた友人たちの中で、めだって進歩を感じた人がいた。
私のお笑い仲間かつメル友のMちゃん(ちゃんといっても、大人だが・・笑)。
グリーグのソナタ第1楽章を弾くことになっていて、本人は、直前「亜熱帯な仕上がり」だの「粘っこい仕上がり」だの言っていて、それはそれで私は楽しみにしていた。
いままでは、ショパンのノクターン系とかフランスっぽいのとか割とほんわりした優しげな曲が多かったので、「フィヨルド鋭角」なグリーグをどう弾くのか大変興味があったのだ。(ただ私自身は弾いたことがないので詳しくはない)
まず、譜面を持たずに登場した。お~暗譜!
弾き始めると・・・いやいや亜熱帯ではありませんよ。こう「白夜に微熱」みたいなぐいぐい迫る演奏。
Mちゃん、すごいじゃないですか!
それにしても、2人の保育園児のママにして、楽器店の正社員、もちろん奥様でもあるわけで・・・えらすぎ!!
あとでメールを入れてみたら「・・・いつもまったりした曲ばかりだったので今回は違った緊張感に襲われまして・・吐血しそうでした」と返事がきた。
いやいやいつもニコニコ笑っているけれど、そうだと思う。大変な努力だ。

その人の背景を知らずに聴く演奏も先入観なく聴けていいものだが、こうしていろいろを知った上で味わうのもそれはそれで感慨深い。

ほんとにみなさん一人一人について書きたいのだけど、それはまた後日ということで。

私自身はチェロとフォーレの「エレジー」をやったのだが、3人のアドバイザーの先生全員から4段階評価の1番上をいただき(これはかつてないことでした)、
アンサンブルご祝儀とは思うのだがコメントも
「フォーレのレクイエムを感じさせる幸福感のようなものをお二人の演奏と共に感じられ幸せでした」
「情景が次々と絵巻物のように回って来てとても楽しく聴かせていただきました」
「バランス感覚、コントロールがいい」
などなど過分なお言葉をいただき有難いことであった。
演奏者としてはピアノ・チェロともに反省点は多々あったのだが、ペアデビューとしては(クインテッドはやったことがあるのだが)、まずまずだったと思う。
彼女は「本番でのテンションの持っていきかたがいまひとつで・・申し訳なかった」と言っていた。私にはよくわからないが、いつもオーケストラや合奏のなかで弾いているのと、昨日のように単独でやるのとではかなり違っていたと思う。
逆に私の方は、ソロの時より多少テンションをゆるめて視野と聴野(こんな言葉あるのだろうか?)を広くもっていなければならないので、
こういう本番でのテンションの一致みたいなことがこれからの課題かと思う。

それにしても、われながら本番前「ハイる」までの時間がだんだん短縮されてきている一方で、本番後「ヌケる」までの時間が延びてきていて、かなり危ない傾向にあります(爆)。