このブログで前に書いた句を例に話を進める。
上の句では、日本語のオノマトペの「ニコニコ」だけで、笑顔であることが理解できる。
ニコニコは笑っている時の様子を表す擬態語である。
(擬態語、擬音語の区別はこの論ではあまり関係ないので、以後まとめてオノマトペという)
日本語では、笑っている時の様子を表すオノマトペがいろいろある。
ゲラゲラ笑う。(声をあげて少し下品に、下ネタなどがあった時の笑い)
クスクス笑う。(常識知らずな行動などをしているとこう笑われる)
ヘラヘラ笑う。(上司におべっかを使っている部下の笑う様子など少々軽薄で卑屈な笑いを表現する)
ニコニコ笑う。(好意を持って、相手を受け入れて満面の笑み)
ということで、いろいと笑い方を表現するオノマトペがある。
上の句のように、日本語では「ニコニコ」というだけでこの表現の様子が「好意を持って、相手を受け入れて満面の笑み」であることが分かるので、くどくど笑い方を形容(説明)する必要がない。
具体的には、ニコニコと言えば分かるので、動詞の「笑う」は必要ない。
結果、同じ字数でも表現力が格段にアップする。
状況がこの「ニコニコ」に凝縮されているからである。
しかも、ニコニコとは笑う時のオノマトペということは「常識」だから、
1.第三者にすぐ伝わるし、
2.表現力豊かに、
3.短く、
4.的確に、
5.詳細に
伝えることが出来る。
しかも、
私が経験したゴディバ店内での様子を
6.すぐ固定(記録)して、
7.私にもすぐその時の様子を思い出せるように記録できるし、思い出せるし、
8.相手にもいつでも簡略かつ的確に伝えることが出来る。
9.さらに固定されているので、句を「操作」できる(下記「補足1」参照)。
これが私の言う日本語の「ビデオ機能」だ。
「瞬間固定機能」と言ってもいい。
こんな便利な言語が日本語の他にあるだろうか?
しかも、それを「瞬間固定」する入れ物がいつでもどこでも用意されている。
5・7・5の計17音(場合により少し超える場合もある)で表される、短詩型の様式が。
つまり、「川柳」とか季語が入いった「俳句」という17音のリズム感ある入れ物が。
そのために、私にはゴディバ買い 店の娘(こ)ニコニコ プレミアムと句が浮かぶだけで、このときの状況が詳細に、しかも瞬時に思い浮かぶ。
もちろん、ゴディバ買い 店の娘(こ)ニコニコ プレミアムの項のブログを読まれた読者の方も同じである。
ニコニコというオノマトペを使って、笑い方の違いとそのニュアンスまで含んだ詳細な映像情報をやりとりできるのだ!
もちろん、音を表す音像情報が含まれることもある。
このことは、次回に詳しく書く。
上で書いてきたように、日本語は音像や映像あるいはその時の感じ方の違いに非常にセンシティブである。
みな、違うのだ。
違いを同一として扱わず、それぞれ別個ものとして言葉の中に固定する。
それが、日本語の最大の特徴と言えるかもしれない。
だから、非常に多くのオノマトペが存在する。
!?! ひょっとするとオノマトペこそ、日本品質の源泉かも !?!
このことについては、また機会を改めて詳しく書きたいと思っている。
補足1
操作とは、心理学や数学でいう操作と近い。
簡単に言うと算数や数学で、計算出来るのは「数字」があるからである。
無ければ、電卓に打ち込めないし、筆算できない。
つまり、固定(記録)することで、数字のようにもの(対象物として)として扱えるということである。
しかも、入れ物、つまり川柳などの5・7・5などの短詩型の箱があるので、まるで宅急便のようにパッケージにして、まとめて扱える超便利な言語なのだ。
日本語は。
補足2
ゴディバ買い 店の娘(こ)ニコニコ プレミアムの句は、5・8・5の18音であり、計17音ではない。
こういうケースを字余りという。
本当は、5・7・5の方がリズム感があっていい。
日本語のススメ(1) - 世界中の日本語を知りたい、学びたいと思っている方々へ -
日本語のススメ(2) - 擬態語と擬音語は、日本語に備わったビデオ機能 -
日本語のススメ(3) - 日本語のオノマトペの豊かな瞬撮機能と表現力 それは日本品質の源泉かも? -