○ドレミ楽譜出版(http://www.doremi.co.jp/)によると発売予定のKinKiのofficial score bookは158曲メロディスコア(及び一部ピアノソロアレンジ譜)だそうだ。昔、小学生の頃に自分が初めて買ったシンコーの「The Beatles 80」 のように旋律と詞とコード、デュオとしてハモる上と下はきっと載るだろう。YO-KINGさんのや堂島さんのなどはバンドスコアがあっていいわけで、カナシミブルーのイントロなんて学園祭でやって黄色い声を浴びたい小僧には必要(笑)もちろん譜面では不完全だから完全耳コピがベストだろうが、あるいはどんちゃん曲の譜面集にあるかもしれない。ピアノ譜だと「せつない恋に気づいて」「もう君以外愛せない」は一度はやりたい(爆)だろう。惜しむらくは過去作品の検証をKinKi Kids自身がもっと全曲を論じるなりvocalの極意手引き(?)を示すなりして(解説とか付いてると面白いのだが)曲を知らない初めての人も曲を発掘して歌ってみようとヲタ的にモチベーションを上げるような企画が出版と同時に併行されればなぁ、という。ファンの皆様のお陰で支えられている、とはお行儀が良い言葉だが、三十になんなんとする歳である。しぶとい小姑のようなファンの庇護だけでなく新しい年少の聴衆をも誑す吸引力なり、二人にしかわからない熱い思い入れがあるのだったら、人が支えようが支えまいが遠慮なく、ちょっと見る側が引く、くらい溢れさせて否応なく撒き散らして巻き込んで引っぱってくれちゃっていいのである。
あくまでも一般論、物の喩えで言えば、15周年を異常に濃厚なドームコンサートで盛大に祝えるかどうかを、その5年前の10周年付近の頃に前もって想定しているとは、あまり思えない。その時期、何の総決算なのかと思うベスト盤企画が不穏に先行しつつ完全に各自ソロ活動に凝った入魂投球がメインらしかった時期の当時、その5年後にどうなっているかなど、予めわかっていたわけではないんじゃないか?と思われるのだ。ただし、「まさにその進行の瞬間時々」においてメンバーの各自がそれぞれ相当の経緯でテンションを保つ展開をし続けていて、その作業中に発見を得、各自職人的に余念がなかったであろうことは、歴史的に成立した作品の中身が物語っている。その意義を各自がどのように受けとめたかによって、そのポテンシャルの高さが5年後に現実の結果となり、演者自身も聴衆も実質として「共有」できたのだとすれば、何年かたった時にグループの歴史年表を作ってみて「いろいろ、そういう時もあった」という言い方ができるようになっているかどうか、が大事であろう。「先生」曰く「日々」(笑)の面白さの自覚、「自分が何をすればいいか根本的な事が分かっている」ことの蓄積というか。こういうことは、どのバンドだろうがグループだろうが、雑誌のコメントに限らず曲や仕事を見るに、わかっているところはどこでも筋としてわかっているあたりまえのことのように思う。先のことは分からない、のは誰もが同じだ。しかし常に思索し続けていて、その人の中に考える基準と蓄積が内実に在り続けるかどうか、だと思う。その分、案外、スタッフだろうが会社だろうが恵まれない環境の方ほど本人自身が学ぶことは多いかもしれない。なおかつ「限られた条件の中でも妥協しない所が何か」のポイントがズレていなくて、本当の意味で中身も姿も格好よくあり続けたいということに欺瞞がなかったり、人間の能力には限りがあるということを自覚したり自分の欠点に正面から向き合えたりする人の方が、むしろ自由に能力を生かせるだろうし、他者に対する観察と理解も深いだろう。自由でいることは大変で辛いことだろうが、そういう研究の蓄積や智慧の自由さのある人でなければ、仮にも何かを「創り出す」方の人=artistなどという呼称の人としてその人を見ることは、できない。自分の業界でも、そういう職人のスタンスの基本を了解している人とこそ一緒に仕事ができたらどんなにいいだろう、とつくづく思うのは一緒だ。虚妄な政治的名目や上層部のズレた思考停止や、汗水垂らした現場の空気を無視したマネーゲームな馬鹿騒ぎとは縁を切って。そういう日常的な素直な生活感覚が、当然の如く今日の読書傾向やentertainmentの嗜好性にも如実に影響を及ぼしているのかもしれない。おそらく我々は「どこかの内輪で楽しそうなもの」を一方的に「与えられる」ことよりも、幻想であろうと「高い」ものを「気は心」で「共有」することの楽しさのリアルな感覚を常に欲している。その幻想を維持できるポテンシャルに惹かれる。学習能力の感じられない虚妄を知ることの方が多い昨今、くだらないことでもある種学んでいるとはいえるが、徒労である。人生の価値や愉楽とは程遠い。…どんなに他の多くの誰が望むが望むまいが、自分が望めばできる可能性は出てくる。自分が望んでいないことはどんなに何を言われようができない。物事とはそれだけだと思う。まあ、そうは言っても他人事ではなく、自分の仕事の仕方もちゃんとしてるのかと省みると、なかなかそう納得づくで余念なく出来ているとは言えないから、毎日反省ひとしおなのだが。反省。やっぱさ、人間の中身作るために、ちゃんとした本でも読もうか。本。(20071006)