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文学や史跡で登場するマチを旅しながら、折々、紹介することを心がけています。

中村清次著『シルクロード10の謎―文明交流の地をあるくー』

2012年04月25日 06時29分44秒 | Weblog
中村清次著『シルクロード10の謎―文明交流の地をあるくー』。シルクロード。NHKが1980年に放送で取り上げてからでも四半世紀。
 この間にシルクロード研究は、「調査・研究の進化」させ、「優秀な研究者たちを輩出」(12p)したのだという。
 その理由はなにか。コルラというマチが、緑地帯に平たく広がっていた「豊かな緑地」(9p)が「小上海」(10p)に転じた「開発」が、皮肉なことに学問の発展をうながしたのだと、する。

 地球が大航海時代をむかえたとき、「陸のシルクロード」は終焉を迎えたことになるのだという。そうかも知れない。「陸のシルクロード」が終わって、「海のシルクロード」の時代が始まったとする。

 巨大国家・中国が、内にウィグル新疆地区の民族問題を抱えていることは知られている。
 一本の鉄道が突貫工事で貫通して、石油資源が開発され、「秘境」といわれたシルクロードに観光客が押しかける。
 
 開発と観光で投資が重ねられ、格差が広がったとも報じられている。 開発にともなう学術調査で、科学は永年にわたるヴェールを解きほぐしたことで、新たなる知見と人類の躍動があきらかになったことは良いが、情報としては残っても物象としては失われたものがあるとすると、「良かったのか?」と。

 本書に示される努力によって映像化された点は貴重で、努力なくして映像保存もおぼつかないが、考えさせられる点も多い。(日本放送出版協会 2012年)。




コメント (2)
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