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吉川洋著『高度成長 日本を変えた6000日』

2014年07月14日 04時30分43秒 | 書評
 吉川洋著『高度成長 日本を変えた6000日』 本書は1997年に書かれた.おおむね高度成長がまがりかどに来て20年.
 高度経済成長を数値でみると「いかがなものであったか」、また「成長がもった意味」を論じ「成長」とするロジックを問いなおしてみている.

 166pにある、岸総理への評は興味深い.
 「岸は徹頭徹尾「戦前」志向の政治家だった.岸にとって敗戦国日本の再建とは、とりもなおさず戦前の日本の再建にほかならなかった.(略)「岸にとって最大の課題は、再軍備を準備しながら日米安保条約を改正することだった」.
 岸信介氏は、現政権の手本と自ら述べている.本書発刊後、15年以上経ているが、ここにある整理は目にはいっていないのであろう.それだけに、「戦後レジュームの脱却」なる言辞が、なにをめざすのかも示唆してくれる.

 本書を書くについて、著者は二つの「思った」を述べる.
 1)「経済学が成長の問題を分析するときには、かぎりなく歴史学に近づかなければならい」(ヒックス)を「いつかそうしたことを実践してみたいのだと私も思っていた」.
 2)自身の「子供」として走り抜けた時代を、「自分なりのやり方で振り返る時間をもってみたいと思った」.(234p).

 「成長」の枠組みとその持つ意味、「成長」なる語のもたらした益蓄積の方向を考えるに、有意味性が高いのだと、考えた.(読売新聞社 1997年)

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