前回の色っぽい絵巻とは打って変わって迫力ある風景画である。よく見ると人物も描かれてはいるのだが、一点景としてである。
絵巻物といっても私は折り本の形でしか作れないのだが、以前にも述べたようにこの「折り」が意外に難しいのである。
豆本サイズに縮刷してあっても全体として二、三メートルになっている細い帯状の紙を九センチ幅に蛇腹式に折ってゆくわけだが、かなり慎重に折っているつもりでも折り幅が狂ってきて折り重なった端がだらしなく不揃いになる。
それでも折り方を少しかえて以前の「鳥獣戯画」よりはましになってきた。
あと天地を揃えるには化粧裁ちをするしかないのだが、どうしても絵の上下を切り落とさねばならず迷っている。