


年代などはっきりしないが、なかなか面白い絵巻で、他の化物図のようなさまざまな妖怪を描くのではなく、まったく人間的な化物図である。
すなわち、年頃の化物娘に縁談が持ち込まれ、まずはお汁粉屋でのさりげないお見合い(上の図)を経て成立、立派な結納が交わされ、赤鬼の先導で御輿入れ、三々九度の油舐め(下の図)も目出度く済んで賑やかな宴会、そして赤ん坊の誕生から宮参りまでが描かれる。そのあと最後は日の出とともに逃げ惑う化け物たちの姿ははおさだまりなのだが、この絵巻の場合はこれは何か流れの中に収まっていないで異質の感がする。
たとえ漫画とはいえ、化物の繁栄を許さない勧善懲悪的な思想を添える必要があるからだろうか。