「冬物語」の後半はパーディタと、ボヘミアの王子フロイゼルの恋の顛末が中心である。
◎ 村祭りの賑いの中に変装したボヘミア王と以前のシチリア王の家臣カミロが現われ、王は身分違いの結婚に反対する。
しかし王子の気持はかわらず、王位を捨て異境に駆け落ちを決意していることを知ったカミロはシチリアへ行きシチリア王に会うことをを勧める。
長い年月を孤独な中で後悔に明け暮れていたシチリア王は二人を受け入れる。そして羊飼いとともに追ってきたボヘミア王と再会し、さらに羊飼いの言葉などから、この娘が我が王女パーディタと知る。
◎二重の喜びに沸くところへ、王女を捨てに行かされ帰途熊に襲われて死亡したアンチゴナスの妻ポーライナが、王妃ハーマイオニーの石像を披露する。亡き妻生き写しの石像にシチリア王はまたしても胸が締め付けられる。その時ポーライナの呼びかけに石像が動き出し・・・・・・、王妃もまたポーライナに匿われて、パーディタは生きているという神託を頼りに悲痛な年月を生きてきたのであった。母子の対面、夫婦の和解、親友との和解、若い二人の結婚・・・かくしてめでたく幕が下りる。
◎ 芝居の方は目出度く終わったが、私に一つ疑問がある。
それは、ジョン・ライトはなぜ、この劇のヒロインにパーディタとモプサを選んだのかということである。
パーディタはともかく、モプサはこの芝居の筋立てには何も関わっていない。
この二人よりもっと重要な役割は、王妃ハーマイオニーで、多くの画家がこの王妃を描いている。貴婦人の女神などに仮託した肖像画でもこの王妃姿を何人も選んでいるのだから、モプサなどより遥かに親しまれていたはずであろう。
ということで、ライトが王妃ハーマイオニーを描かなかった理由が判らない。
名女優サラ・シドンズ演ずる王妃二点 他
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