過日扱った榮之作品を豆本化したもの。
上段のように左右一組の歌人を見開きの左右に置き、一枚めくった次のページ左右に下段のように和歌を並べた72ページの作品である。 ご存知のように歌合せは左右に別れ、古式の左方上位からすれば当然左・中古→右・中世となるが、この左と右は当事者または最高の観覧者にとっての左右で、対面する下位の観覧者からは逆になる。この本では絵の右上にある「左・右」の文字に従って並べたが、右綴じの本は右の方がページが若いので中世、左中古と時代が逆になってしまうのは如何ともしがたい。
この榮之の作品には、下のように小式部内侍が二種類あって歌を記した色紙が作者名、書式、背後の模様など大きく異なり、絵も着物の柄などもちがっている。他にも『伊勢」が仮名になっていて、つまり二種類の版があったことを窺わせる。