相愛の男女を扱った二組各七点。どちらも不揃いなのか不明。
「音曲」とあるので浄瑠璃として語られ劇化されたカップルを描いたもののようである。
◎ 音曲比翼の番組
お染久松 ・ 小波力弥(忠臣蔵) ・ 小春治兵衛
小紫権八 ・ 清川文七 ・ 夕霧伊左衛門
手越少将曽我五郎時宗
◎ 音曲恋の操
歌麿が芝居の男女を描いても演じた役者のままではなく役の人物そのものを描くようで、人形浄瑠璃の人形ももはや現実の人間のように描いている。そしてそしてそれを操る男女も相愛の二人である事を感じさせる作品である。
お染久松 ・ お七吉三郎 ・ おこま才三郎
お梅粂之介 ・ 梅川忠兵衛 ・ 夕霧伊左衛門
衛
山姥金太郎
この一枚はたしかに相愛ではあろうが、母と息子だから所謂恋愛関係ではないから異質な感がする。
ただ理屈っぽく解釈するなら「恋う、乞う」は、本来手近に得られないものを求める心情の言葉であって「亡き母を恋しがる」「故郷を恋しく思う」など必ずしも男女の恋愛とは関係なくとも使える筈である。