漱石の「夢十夜」(後三冊)と「こころ」(前の二冊)の豆本である。
漱石の作品を豆本にするには「夢十夜」あたりが最適で、すでに製本工房リーブルから市販されているが、これはその海賊版ではなく、私の編集した別の作品である。
ところが「こころ」を豆本にするとなると、当然何冊かの分冊にしなければ収まりきれない。この豆本「こころ」は一冊であるが、正確に言うなら「こころ・先生の遺書抄」ということになる。しかしながら一応省略部分の梗概も載せてあるので、一通りの内容は理解できるはずなのである。
実はこれ、高等学校の現代文教科書中の「こころ」部分を豆本としたものなのである。教科書ではメインの部分は原文のままで抄録してあっても流れがわからなければ無意味なので、省略部分もちゃんと解説的に記載されている。
かくして一冊の「こころ」豆本が作れたという次第である。