ツイに針を打ってもらいに日暮里の先生を訪ねました。
診療時間を過ぎていたので患者は僕一人でしたが、
先生は部屋を暖めておいたから入りなさいと
親切に対応してくれ、居残ってくれていた看護士さんに
診察券を渡すのも早々に処置室に入りました。
「今日は他の患者さんもいないからゆっくりしてあげるからね!」
正直、先生の親切な言葉に僕は感謝よりも恐怖の気持の方が
大きくなりました。
僕の悲鳴は割愛しますが、
「う~ん痛いね~」「冷や汗出るかい?」
「緊張すると筋肉が硬直するからね」
「筋肉がまとわり付いてるからね~」
・・・・・・・・・・・
「痛過ぎて気絶するといけないからコノヘンで終わろうか?」
僕は何度か自分でも信じられないような悲鳴をあげて
治療を終えました。体はホカホカというよりも熱くなっていました。
おかげで痛みは消え、とても楽になりました。
痛みで患部が熱を持っていたら冷やし、寒さで筋肉の
硬直 が原因の時は温めるそうですが、今回の僕の場合は
温シップです。防寒対策にどうせ分厚いタイツを穿くなら
ドラエモン柄なんかが僕の理想なんです。
自分の会社の新人担当者が社内で全国でも上位の成績を
記録した時に先輩達が「マグレで調子に乗るな・・・」と
言ったそうですが、顧客である社長は新人担当者が
好成績を上げたと聞くやいなや奥さんに「お~ぃ、ちょっと行って
買ってこ~い」と近所でうな重を買ってこさせたそうです。
昼食時とズレていた時間だったそうですが社長は「食べてよ食べて
遠慮なんてしなくていいから」と嬉しそうな顔で勧めてくれたそうです。
自社の担当者が手柄?をたてて社長は喜んで祝ってくれたそうです。
忠臣蔵の義士達が吉良邸から泉岳寺に向かう途中に出会った
江戸の町人のような心意気を感じてしまいました。
その社長は車がとても好きな方だそうです。ところが片足を
切断するほどの事故に遭ってしまい一時は大そうなショックだった
そうで、自分の義足を見た社長は更に深い衝撃を受けたとも
聞きました。社長の小さな子供達が父親の義足を見て
どう思うか考えたそうです。
気味悪がったり恐がるだろうか・・・そこで社長は悩んでも悲しんでも
どんなに後悔しても義足とは一生付き合わなければならないし、
小さな子供達とも一緒に風呂にも入りたいから
恐がったりせずに、いっそのこと笑ってもらいたいと考えて
自分の義足にドラエモンのシールをベタベタと貼ったそうです。
隠すどころか見せてとせがむ子供達に社長は嬉々として
ドラエモンを見せたそうです。
子供達も今は成人して社会人になっていますが、
社長の義足には今でも新しいドラエモンが描かれているそうです。
近頃社長は小さなミニ・クーパーに乗っているそうですが、
子供達が幼かった頃は大きなアメ車のワンボックスカーで
家族と方々に出かけたそうです。
勿論、社長自慢のドラエモンを着けてね。