イングランド王エドワードは,ウィンチェスター城で,ハウンドがウエハースをガツガツ食った後,部屋の隅でnoisilyに○○チ(お腹壊したか?(笑))をする様子を眺めてニヤニヤ。
エドワードの前に2人の男性,1人はジョン・ド・ウォリンというサリー伯,頭の中には「攻撃する」「殺す」しかない奴。そこでエドワードは密かに心の中で彼をハウンドと呼んでいた。
ここで,ウォリン伯爵の隣に控えるヒュー・コーベットの外見についての説明登場。
dark saturnine face, clean-shaven chin, deep-set eyes and unruly mop of black hair which now showed faint streaks of grey
今までヴァン・ヘルシングを想像していたのですが,まさにそんな感じですねぇ(笑)
「何が問題なのかわかるかね?ヒュー」
「はい,陛下」
「はい,陛下か! では余を喜ばせてくれるのか?」
と,詰め寄る国王。
コーベットは恐れる様子もなく,スコットランドの
ウィリアム・ウォレス(あらそういう顔だったのイメージと違い過ぎるw)が強すぎる事,沼地や霧や森を巧みに使って我が国の軍を苦しめている事,王の息子までもが彼に従っている事などを説明。
「では2番目の問題は!?」
「フランス王フィリップが北部に軍隊を集めている事です。もし彼に勝機があれば,毛織物の取引ルートを破壊され,我が国の産業がダメージを受けます。」
「では3番目の問題は?」
「陛下は先ほど,ロンドン市長からの手紙を受け取られたとおっしゃいましたが,まだ内容を明らかにされていません。」
「ふむ,市長は我々に助けを求めておる。最近売春婦や高級娼婦が喉を掻き切られて殺される事件が相次いでおるのだそうだ。」
「おや,いつから市のお偉方は娼婦の心配を始めたのですか?いつもそこら辺で彼女達が野たれ死んでいても放置されているではないですか」
「いや今度ばかりは違う。」と声を上げたのはウォリンだった。
「何が違うのですか,閣下」
「お前が相手にするような並の女じゃない,高級娼婦なのだ」
コーベット思わず微笑む。
「楽しいか,書記官!」
「いや,そういう事ではないですよ。何か他にあるという事でしょう?」
すると王様,
「そうだ,この高級娼婦達は,秘密をたくさん知っている。もし,しかるべき事をしなければ,誰にでも喋ってしまう恐れがある。」
コーベットはさらにニヤリとして「もしそんな事があれば,私の全財産を出してでも行きますよ。高潔な市民は人前で汚い下着を洗う事になるでしょう。」
「しかし,この市民達は税金を上げようとしているのだ。ロンドン市は利息なしのローンを提供しようとしている。さて,これは問題だぞ,コーベット,私はフィリップをFlandersに近づけないため,Wallaceをスコットランドから出さないために銀が必要だ。娼婦にかまけている暇はない。市民にかまけている暇もない,奴らの金が必要だ。そして復讐だ!」
「陛下?」とコーベット
「2人だけ認める事のできない女がいる。身分の高い未亡人が集まるマーサの姉妹という団体がある。善い行いをする組織だ。私は彼女達を保護していた。リーダーはイメルダ・ド・レイシーといい,夫は私と一緒に十字軍に従事した。彼に会った事はあるか?」
コーベットは注意深く王を眺める。王はずる賢く暴力的,注意が必要な人物だが,約束は必ず守る。特に若い頃の仲間に対しては忠実だ。
(さて,あまり詳細を書き出していると全然進まないので,急ぎます。(笑))
王が怒っているのは,そのマーサの姉妹に関連する2人の人物の死だ。1人はキャサリン・サマービルという婦人で,バーソロミュー病院近くの処刑場で殺された。もう1人は王の牧師であり,マーサの姉妹の主宰牧師であるFather ベネディクトの焼死事件。
そしてもう1つ「そなたの古い友人が帰ってきたぞ」
「古い友人?」
「アモリー・ドゥ・クラオンだ」
ドゥ・クラオン,久しぶり~(笑)フィリップの懐刀。彼の行く所,常に反逆,騒動,陰謀,策略あり。
「しかしドゥ・クラオンはちっぽけな殺し屋じゃありません。その事件には関与してないでしょう」
しかし,王は殺人事件の調査と,ドゥ・クラオンとその部下ネバーズが何をしているか調べるようコーベットに命じる。コーベットは西部地方での問題が解決したら,2ヶ月は休暇がもらえるはずだったと抵抗。(彼はロンドンで妻ミーヴと赤ん坊のエリノアを拾ってウェールズの両親に孫をお披露目する計画だった)
王はコーベットにロンドン行きを命じるが,それなら妻と子供を連れてウェールズに行くと言い返し,ぷいと出て行こうとするコーベット,すると,王は怒り狂ってやおら剣を抜く,王が投げつけたカップがコーベットをかすめる,さらに,伯爵が短剣を持って後ろに立ちはだかる。
「何するんですか?伯爵」
肩越しに王を見ると,既に怒りのサインは収まっていた。「戻ってきてくれ!頼む!」
(コーベットは王の扱いに慣れている(笑))
王は目に涙を浮かべていた。が,王のこの感情は危険でもある。長女が内緒で結婚した時(相手は身分の低い男)最初は怒りで,次に泣きを入れて応戦。しかし効き目がないとわかると,娘を叩く,宝石を火に投げ込む,そして彼女と夫を,イングランドで1番乾ききった場所にある屋敷に閉じこめた。
王は悲しそうに「皆逝ってしまった。エリノアもバーネルも。」エリノアはスペインからもらった王妃で,彼女が存命中は王の怒りも鎮まっていた。バーネルはかつてコーベットをわが息子のようにかわいがってくれた枢機卿だ。
王はさらに,息子には嫌われ,娘達は勝手に結婚するし,もうヒュー,お前しかいないと懐柔する。
「頼む,行ってくれるな?」
「はい,陛下。しかし終わったら約束は守って頂けますね? 私はチェスの駒ではないのですから。」
王は大胆に微笑む,が,嘘っぽさを見抜くコーベット。
コーベットは,ウォリン伯爵に,今度短剣を突きつけたら殺しますよ,と,すごむ。
すると王はまたコーベットを呼び戻す。「そなたはチェスの駒ではない。しかし私はそなたを育てた。私の秘密を知っている。レイトンの屋敷を与えたが,もう1つ与えよう。ひざまずけ!!」
コーベット,驚いてひざまずく。王はとても手短に頭,両肩,そして顔を叩く
「そなたを騎士とする」
あまりにあっけない。コーベットは服の埃を払う暇もなかった。エドワードは剣をしまう。
「一月後に昇格の知らせが届くであろう。さて,何を言う?」
「陛下,ありがたき幸せ」
「ふふん!もしウォリンがそなたを脅し,そなたがウォリンを殺せば,余はそなたを処刑せねばならない。しかしこれからはそなたは騎士だ。対等に戦う事が許されるぞ。」
(そーいう事だったのね。王様,ナイス!)
コーベットが退室後,王はウォリンに「今度コーベットを脅したら,余がそなたを殺すぞ!」
…さて,本当に読書が進まないので,この後はささっと。
職場に戻ったコーベット,ミーヴに怒られるか,はたまた騎士になった事を喜んでくれるか思いを巡らします。そして3ヶ月の娘エリノア。妻子は健康であれば他に何も望まない…という所で,昔疫病で亡くした前妻メアリーを思い出します。。
書類を整理した所で,王に報告するつもりだった事項を発見。パリでワイン業者を装っていたスパイが,ならず者リチャード・パドリコットが,フランスの諜報機関の長ウィリアム・ノガレと会っていたのを目撃,報告書を送ってきていた。
パドリコットはその外見もよくわからないような男ですが,コーベットの部下は「金髪で赤ら顔,足を引きずっていた」(しかしボルドーの王の執事は「黒髪で青白い顔,スタイル良し」と報告している)手紙を良く読むと,ノガレはパドリコットに「ノガレが最も機嫌が良く思いやりのある時」でないと言えない事を話していた,との事。
これを王に言うべきだった,と,コーベット。彼は急いでホールへ。そこでは「正直者」ラナルフが王の兵をゲームに誘っていた。ラナルフ赤毛で緑目って今までメンションされてましたっけ?(^^;) まるでカールだわ。ますますヴァンヘルぽい(笑) そして前の本からシリーズに加わったマルトートはふっくらした金髪の少年(だったんだ…なんか痩せた人物を想像していたんだけど(笑))
マルトートは一応兵士で,馬の扱いは最高なのだが,武器を持つのがまるで苦手。。
2人を見つけたコーベット,まずロンドンへ行く事を話し,マルトートには,馬を2頭出し,妻のミーヴへ,ウェールズ行きは少し延長する旨を伝えるよう話す。実はコーベット,自分で言う勇気がない(笑)