さて,一行は,王の財産を隠してある地下室の入り口へ。ドアは2つの錠前で閉じられ,1つは王,もう1つは市長が持っている。そして,しっかりと封印されていて,壊された様子もなし。
「このドアの向こうに階段があるのですね?」とコーベット。ウォーフィールド「はい,しかし壊されています。もし誰かが押し入ろうとしたらすぐ見つかります。で,マーサの姉妹ですね?」
マーサの姉妹のメンバーの居室は暗く,何かもの悲しい雰囲気。女性達は皆濃い青のベールを被っている。彼女達は一行を見ると話すのを止める。コーベットが進むにつれ,何故かケイドと修道士達は後ろに離れてあたかも身を隠したいかのよう。
「ここで何をしているのですか?」と尋ねるコーベットに,上座に座っていた白髪の女性が立ち上がって手を耳にかざす。右側の長身の女性が「これは我々姉妹の会合である。そなたらはノックもせず,立ち入り許可も得ていないであろう」
「奥方様,我々は国王の命令でここにいます」
すると白髪の女性は,手を叩いて静粛を促す。長身の女性が降りてくる(コーベット,その間に女性を数える,17人いる事を確認)
「レディ・キャスリン・フィッツウォレンである。主人であるレディ・イメルダ・ド・レイシー様からご質問だ。そなたらは誰だ?」(朝鮮王朝の尚宮様風にしてみました(笑))
レディ・フィッツウォレンは白髪ではあるが,顔にシワ1つなく若い。しかし,堅苦しい感じの女性だ。コーベットは宮廷の威厳の空気には慣れている。発言は最小限に控えた方が良い事はわかっている。
「あああ,そなたらは知っておるぞ…」とレディ・フィッツウォレンは軽蔑の眼差しを修道士達に向けケイドを骨ばった指で指して「そなたは不幸な女性達を殺した犯人を捕まえる事のできない二流捜査官であろう。」
コーベット,ここは気をつけないと,と,言い聞かせる。ド・レイシィとかいう婦人は,70才位,国王の助言者の未亡人,フィッツウォレンはウェールズで活躍した将軍の未亡人だ。ラナルフに警告の目線(笑)を送る。
「奥方様,私はサー・ヒュー・コーベットといい,国王の諜報局長官であり,法廷の書記長です。」
(これはすごい,今で言えばMI6長官と最高裁の裁判長を兼任しているという事だ)
するとフィッツウォレン女史,手を差し出してキスを許す。(ラナルフおかしくてしょうがない様子)フィッツウォレン女史は,修道士は必要ないであろうと言って2人を追い出すと,椅子を用意。
ここでド・レイシィ夫人,意外な位はっきりした声で,「さて,陛下の使者に,我々の事について少し話しておいた方がよかろう。我々はロンドンの枢機卿に従って,ロンドン市街を歩き男共の汚らわしい要求を満足させなくてはならぬ女性たちの為に働いておる」と,コーベットを軽蔑の眼差しで睨みながら話す。コーベット,ラナルフの足を蹴り「笑ったら首へし折るぞ」と小声で注意,すると,ド・レイシィは耳に手をあてがい「何事だ?!」「何でもありません奥方様,従者に馬をつないだが確認しただけです」するとド・レイシィ,金槌で机を叩き「しかと聞け! お前に話しているのだ!」
コーベットが周りの女性を見ると,皆下を向いて,何人かが肩を振るわせている。これがおかしくてしょうがないのは自分だけでないとわかってほっとする(^^;)
「話が終わったら,レディ・キャサリンとレディ・メアリー・ネビルに協力させよう。」とド・レイシィ。指名されたメアリー・ネビルという女性は大変美しく,ラナルフ一目惚れ! ところがコーベットはもっと驚く。この女性,亡くなった最初の妻にあまりにもそっくりなのだ。
すると「まだ話は終わってないぞ,気取り屋の騎士と難聴の従者よ!」と怒鳴り声(笑)
しかしコーベットは,この女性達が世の中から無視される哀れな女性達を庇護している事に尊敬の念を感じてきた。それに,ド・レイシィは口こそ悪いが(笑),その話から恵まれない人々への篤い同情の想いが汲み取れた。
話終わって,フィッツウォレン女史とメアリーを残し,退場する際,イメルダ夫人,コーベットをまた怒鳴る…ただし,王の健康を案じるセリフ(笑)
いよいよフィッツウォレン女史,メアリーとコーベット,ラナルフの4人でお話する段になる。ラナルフはあまりにもメアリーばかりじっと見ている。困るコーベット。2人の女史は,娼婦達についてはあまり知っている事はないが,サマービル夫人の死に関しては多少お話できることがあるとメアリー。
メアリーはサマービル夫人の死の当日の5月11日の月曜日,一緒にバーソロミュー病院に行っていた。そこで別れたが,その後彼女は家に着いてない。
そしてサマービル夫人はある悲しみを抱えていた。数年前にスコットランド戦線で戦っていた夫を亡くしたが,夫との間にはギルバートという息子がいる。
しかし息子の興味の対象は享楽。父は王の将軍として首に矢を受けた以外何もしてないじゃない?などと言って,母をがっかりさせていた。
レディ・メアリーによれば,その日サマービル夫人は,教会から出てくる修道士達を見て,何度も
"Cacullus nos facit monachum: the cowl does not make the monk"と繰り返していたそうだ。
さらにフィッツウォレン女史,サマービル夫人は,殺される前の週,自分達の仕事は本当に役にたっているのか質問され,金曜日には,会合に少し遅れて来たが,何かとても心配している様子だったと言う。その日彼女はベネディクト神父に会ったそうだ。
そしてメアリーは突然思い出す。そういえば,あの日彼女は会を離れるような事を言ってました,私は反対しましたが,彼女は,寺院には何か邪悪な物があると。。よくわかりませんが。
しかしサマービル夫人はリューマチを患っていて,主な仕事は教会の衣服の洗濯等をする事だったそうだ。それだとすると,寺院の邪悪な物,というのは,ちょっとおかしい。
ベネディクト神父については,優しい神父様だったという以外,特に新しい情報なし。
衣装部屋を見せてもらうと,そこには僧服や頭巾等がかけられていた。この時点では特に変わった事なし。
ここでひとまず終了。2人の女性は今夜お食事でも,と,声をかけたが,ミーヴが怖くてお断りするコーベット。(笑) この間何故かずっとおとなしかったケイドは,外に出てようやく喋り始める。
近くの宿屋でケイドと別れた後,彼は一体何を隠しているんだろね?といぶかしがるコーベット。ラナルフと2人,聖バーソロミュー病院に向かう。