東洋経済社が、中国の京東集団(シンドン)が天津市に出店したロボットレストランの事を報じていた。最近の中国は、他国では想定もしないような画期的なものが出てくるようになった。民事だけに限ればよいが、」軍事にも出てくるようになると恐ろしい! 以下東洋経済のレポート。
ジンドンの売上高は2017年12月期で3623億元(約5.9兆円)、前期比約4割増と着実な成長を遂げている。そのジンドンが今、注力しているのが実店舗の運営だ。最近では生鮮スーパーや無人スーパーの展開を始めた。そして今年11月、ロボットレストランをオープンさせた。
店内に入り着席すると、机にQRコードが張られていることに気がつく。スマホでQRコードをスキャンすると、画面にメニューが出てきて注文できる仕組みだ。ちなみに注文のために、わざわざ専用アプリをストアからダウンロードする必要はない。メッセンジャーアプリの微信(ウィーチャット)内に組みこまれている専用アプリでQRコードをスキャンするだけで、メニューに飛ぶことができる。注文と同時に決済も終了する。
調理するのはコックではなくロボット
メニューはすべて中華料理。四川料理や広東料理など主要8地域、40種類の料理を味わうことができる。それらすべてを調理するのは、コックではなくロボットだ。調理ブースはガラス越しのため、客もロボットが作る様子を見ることができる。ちなみに、中華料理のバリエーションを増やすことは可能だが、日本料理を含めたほかの料理への展開は、現状では考えていないという。
肉や野菜など具材が入れられると、あとはロボットが事前にプログラミングされたレシピに従って調理。だいたい2~3分ほどで1品が完成する。ただロボットがすべての行程をできるワケではない。食材を切ってロボットに入れるのは人手を必要とする。現在は5台あるロボットを、スタッフ1人が管理する。
こうして出来上がった料理を運ぶのも、またロボットだ。スタッフが料理をカートのような配膳ロボットに載せると、席まで自動で運ばれてくる。客が料理を取り出し完了ボタンを押すと、配膳ロボットは自動で元の位置に戻る仕組みだ。
現状では、慣れないお客に対する案内や料理の取り出しを手伝うために、ホールにも数人が配置されている。ただ、理論的にはこうした人手がなくても、レストランの運営は可能だ。ロボットが進化して遠隔管理が可能になれば、「完全無人」も夢ではない。
1年で1000店舗の出店を目指す
今回、ジンドンがロボットレストランを開業した狙いについて、レストラン責任者の唐思宇氏は「ジンドンはコンビニやレストランを含め、消費者に新しい体験を提供したい。さらに、これら無人技術をほかのパートナーに提供することで、新しい経済インフラを作りたい」と語る。
ジンドンは成長戦略として「無界小売」を掲げ、EC・物流機能と実店舗を組み合わせたビジネスモデルを標榜する。今回のレストランもその一貫だ。ジンドンにとってレストランを運営することは、実店舗での顧客データを得ることにもつながる。ジンドンはここで得たデータで料理の売れ筋を分析、来店客に対するレコメンド機能も提供する。
ロボットレストランはこの天津が初の出店だが、今後1年で1000店舗の出店を目指し、外部企業への技術提供も模索中だ。「中国の外食業はコックが足りない、店員がすぐ辞めるなどサービスレベルが不安定。こういう技術を提供することで、つねに安定したレベルのサービスや料理を提供することができる」(唐氏)。
ロボットレストランの店内で、左上にある棚のようなものが配膳ロボット。
中国ECトップで、最大のライバルであるアリババグループも、無人レストランやロボットレストランを展開する。中国・杭州にある有名料理店「五芳斎(ウーファンジャイ)」といった外部企業にも技術を提供し、人手不足の解消に一役買っている。ネット上からリアル市場へ、EC業者の争いの場は広がっている。