8日公表された統計によると、11月の中国輸出は前年比5.4%増加した。ロイターがまとめたエコノミスト予測は下回ったものの、成長が続いていること自体謎だ。トランプ米政権は、中国から輸入する製品の約半数に関税を課したが、米国企業はこれまで通り、中国からの調達を続けているようだ。対米輸出は先月10%近く増加した。
この傾向は、米国企業が関税実施前に在庫を積み増そうとしたことによるものではないかと、多くのエコノミストは指摘する。トランプ大統領は、2000億ドル(約22.7兆円)相当の中国製品に対する関税を10%から25%に引き上げる計画を延期した。だがそれでも脅威は残っており、輸入事業者が買い入れを加速させた可能性がある。貿易成長全体が先月減速したことで、駆け込み需要が一段落した、と分析する関係者も多かった。
だがクレディ・スイスのアナリストは、駆け込み発注の必要がない欧州輸入事業者からの発注と、米輸入業者のそれに大きな差はないと指摘する。米国では、関税影響を受ける製品と受けない製品の需要に大きな違いは見られない。
実際のところ、米国の好景気により、関税措置にもかかわらず消費者の中国製品に対する購買意欲が維持された可能性も十分にある。中国人民元がドルに対して過去6カ月で6%下落したことにより、米国における価格が抑えられたという事情もある。
もし「駆け込み需要説」が正しければ、中国輸出は今後急激に縮小して成長の重しとなり、経済が予想より急速に冷え込んでいるとの印象を与えるだろう。それは、金融政策や為替にマイナスの影響を与える。
だがもし外需が本物だとすれば、伸びは鈍化しつつも輸出は拡大を続け、急な崖から落ちる危険も低下するだろう。北京の政治家は、間違いなく後者であることを願っている。