さらなる問題は、高齢者になっても<薄い蓄え>で、高齢者向きの住宅を購入する余裕がなくなっているという大きな問題が発生するという。それに加えて高齢者向けのヘルスケアーを受ける金もなくなっているというから勝手は世界一豊かな国であったアメリカの高齢者問題派すざましい社会問題だろう。
すでに住宅を所有している人の割合も、少金融危機後に急激に減少している。017年に自宅を所有している65歳以上の世帯の割合は79%だった。だがそのすぐ下の退職を控えた世代では、持ち家率は04年以降、特に金融危機後に減少を続けている。例えば、50─64歳の世帯では、17年の持ち家率は74%で、07年の79%から大きく減らしている。高齢者住宅への改造も多く必要となるが、その対応も難しい。
ホームレスになる高齢者も増えている。この分野の研究は進んでいないが、住宅都市開発省のデータによると、62歳以上の「シェルターに収容されたホームレス」の数は、2007─17年にかけて48%増えている。また、JCHSの報告書は、ニューヨーク市の65歳以上のホームレスの数は、11─15年で倍近くに増えた。
その間、低所得層向け住宅支援の連邦予算は、ほぼ消滅した。連邦議会は2017年に高齢低所得者向けの住宅支援として500万ドルの予算を計上したが、こうした予算が組まれたのは2011年度以降初めてだった。議会は2018年は1億0500万ドルの予算を計上している。
JCHSの報告書はまた、高齢者の多くが人口密度が低い地域の戸建てに住んでおり、運転しなくなれば孤立する可能性があると指摘している。このことは今後、コミュニティーが新たな住宅や交通手段を提供する必要に迫られることを意味する。
「こうした傾向は分かっていたが、実際の数字は驚くべきものだ。50歳代や60歳代の人は大変な問題に直面している。住宅だけでなく、ヘルスケア費用の捻出にも困る人が出てくるだろう」と、高齢者サービス提供者の協会「リーディングエイジ」のリンダ・コーチ氏は言い、こう付け加えた。「そして、70や80になるのはあっという間だ」