先端技術とその周辺

ITなどの先端技術サーベイとそれを支える諸問題について思う事をつづっています。

中国がついにブラックホールも生成へ? 世界最大の加速器を計画、引き離される日本

2019年10月16日 18時06分45秒 | 日記

 

産経新聞の【びっくりサイエンス】と言うカラムで、『中国がついにブラックホールも生成へ? 世界最大の加速器を計画、引き離される日本』と解説していた。日本、中性子の線形加速器では予算確保出来できず、作れるか否かの状態にあるのに、中国は着々と世界最大の加速器の建設に動き出し、完成すればそれによる成果で中国は続々ノーベル賞を獲得出来るであろうと言う。

他の自然科学の分野でも中国は大々的な投資を行っていて、電波天文学でも、500メートル球面望遠鏡(FAST)を作り、それまで世界最大であったアメリカのプエルトリコ・アレシボ電波望遠鏡300メートルを追い抜いている。出来て数年になるはずであるが、成果が報告されたという話を聞いたことがない。もしそうなら、一番の理由は、研究施設を世界中の研究者が使えるようにしていないのではなかろうか?海外の研究者も使えるとなると、外国の研究者との議論も活発に行われ、自国の研究者への刺激にもなって自国の研究レベルが上がる。

もしかしたら、加速器の分野でも、他国の研究者は使えないのではなかろうか?そうだとすると、中国の基礎科学分野の底上げも投資の割には上がらないのではなかろうか?


【びっくりサイエンス】

中国で建設が進む加速器の1つである「核破砕中性子源加速器」=広東省東莞(中国科学院高能物理研究所の資料より)

 科学技術の躍進が続く中国で、世界最大の円形加速器を建設する動きが本格化している。計画通り2040年に本格稼働すれば、現代物理学への大きな貢献が期待されるが、実験の副産物としてミニブラックホールが生じる見込みもあるのだとか。専門家は「心配ない」と断言するが、そこは何事もダイナミックな中国のこと。どうしても一抹の不安を抱いてしまう…。

 ■一周100キロの巨大サイズも

 日本や中国の専門家によると、世界最大の加速器は中国科学院(CAS)の高能物理研究所が建設を目指している実験施設で、「SPPC」と呼ばれている。SPPCとはスーパー・プロトン・プロトン・コライダー(super proton proton collider)の略で、プロトンは原子核を構成する陽子を、コライダーは加速器を意味する。周長は検討中だが最短でも57キロに達し、中には100キロを目指す動きもあるようだ。

 現時点で世界最大の円形加速器は欧州合同原子核研究所(CERN、スイス)が運転する「LHC(大型ハドロン衝突型加速器)」で、万物に重さを与える「ヒッグス粒子」を発見したことでも知られる。LHCの周長はJR山手線にほぼ匹敵する27キロで十分大きいが、中国のSPPCは最短でも2倍以上。周長が100キロともなれば加速器の直径は約30キロにも達し、東京23区がすっぽりと入ってしまう、とてつもない大きさだ。

SPPCとLHCのいずれも、非常に小さな粒である陽子をほぼ光速まで加速し、互いに衝突させることで生じた現象を観測する。LHCは13兆電子ボルトという非常に高いエネルギーで陽子同士を衝突させるが、SPPCが目指すのは4倍近い50兆電子ボルトという段違いのエネルギーだ。人類にとっては未知の領域で、実験によって新しい物理学の地平が切り開かれると見てよいだろう。

 ■ブラックホールは蒸発

 ここで一つ思い出されるのが、LHCが2008年に稼働を始めたころに「地球が飲み込まれてしまうのでは」と一部で懸念された「ミニブラックホール」の発生だ。結局のところ今に至るまで地球は健在だが、中国のSPPCはLHCの4倍近いエネルギーを出す。その分だけミニブラックホールが生じる可能性は高いようだが、高エネルギー加速器研究機構(KEK)の黒川真一名誉教授は「まったく問題ない」と一笑に付す。黒川氏によれば、仮に発生したとしても極めて小さく、ほとんど一瞬で消滅してしまうのだという。中国発のブラックホールにわれわれが飲み込まれるという悪夢は、杞憂(きゆう)のようだ。

 

■高いハードル、反対論も

 SPPCはまだ検討段階で、順調にいけば2021年にも建設が始まるとのこと。27年に初期の運用段階に入り、40年の本格稼働を目指している。

 建設の候補地は北京から東へ300キロほど離れた秦皇島(しんこうとう)という名の地方都市。万里の長城の東端である山海関に近く、渤海に面したこの場所が、将来は世界中の研究者が集まる物理学の中心拠点となるかもしれない。

 ただ、SPPCは建設が容易ではないのも事実だ。長大なトンネルは直径7メートルで、深さ50~100メートルの地下に掘られる。陽子のビームを円形の軌道に合わせて曲げるためには、LHCの2倍近い150キロガウスもの強さを持つ超電導磁石を何千個も大量生産して並べねばならない。これは大変な作業だ。

 建設に関わる予算は200億元(約3200億円)と見積もられているが、これで収まる保証はない。しかも、この金額は周長が57キロの場合とみられ、100キロに拡大した場合はさらに多額となるだろう。

 そのため、建設をめぐっては異論もあり、ノーベル物理学賞を1957年に受賞した中国物理学界の重鎮である楊振寧氏が「他にお金を使うべきだ」と反対意見を表明。これに対し、計画を進める高能物理研究所の所長が「SPPCは多くの人材を集め、オリジナリティーのある研究につながる」などと反論する事態となった。建設が本当に始まるのか、まだはっきりとは見通せないのが実情だ。

■日本は計画を縮小か

 現在、日本の主な大型加速器としては高エネ研の「スーパーKEKB」(茨城県)や高エネ研と日本原子力研究開発機構が共同運営する「J-PARC」(同)、理化学研究所の「スプリング8」(兵庫県)や日本初の新元素ニホニウムが作られた「RIビームファクトリー」(埼玉県)などが知られる。

 このほか、岩手・宮城両県にまたがる北上山地に直線状の大型加速器「国際リニアコライダー(ILC)」を誘致する計画もあるが、参加各国で分担する1兆円近い建設費が最大の課題となっている。そのため、加速器の全長を当初の31キロから20キロへと大幅に縮小する案が浮上。この場合、加速器のエネルギーが半分に落ちてしまうため、計画していた実験の一部ができなくなるという。

 中国が計画を進める加速器はSPPCだけではない。例えば高能物理研究所が広東省東莞(とうかん)に建設中の「核破砕中性子源加速器」は間もなく完成し、生命や材料科学、医薬品や国防研究などに用いられる。

 日本の次世代加速器計画が不透明になっているのを尻目に、積極的に前進しようとする中国。このままいけば、SPPCが本格稼働した二十数年後には中国が物理学における世界の中心となり、自国の研究者が秦皇島詣でをする日本の影は、薄くなっていても不思議ではない。


世界の特許出願、中国での受け付けが全体の半分!

2019年10月16日 17時22分00秒 | 日記
 

[ジュネーブ 16日 ロイター] - 国連の世界知的所有権機関(WIPO)は16日、2018年の世界の特許出願件数が330万件だったことを明らかにした。

 

出願の受け付け国では中国が前年比11.6%増の154万件と、世界全体の半分近くを占めた。業種別では通信・コンピューター技術分野の出願が目立ち、海外の発明者や外国企業が中国での特許保護を求めて出願したケースが全体の1割に達した。

2位は米国で、前年比1.6%減の60万件と、過去10年で初めて減少した。

2018年の世界の特許出願件数は330万件、商標権の出願件数は1430万件、意匠権の出願件数は130万件。全体の3分の2以上をアジアが占めた。中国は3分野すべてで1位。同国での特許の出願件数は、日本(3位)、韓国(4位)、欧州特許庁(5位)など2位以下の10カ国・地域の合計出願件数に匹敵した。

会見したWIPOのガリー事務局長は「知的財産の出願では(アジアが)世界の中心地として存在感を高めている」と指摘。インドで「目覚ましい増加」が見られるほか、「中国は大きな原動力で、中国からの出願や中国への出願件数、中国特許庁への出願件数は極めて突出している」と述べた。

事務局長によると、海外での特許出願件数が最も多かったのは米国。米国の企業・発明者は2018年に海外で23万件の特許を出願した。これに対し、中国の企業・発明者が海外で出願した特許は6万6400件だった。


中国のEV推進、真の動機は環境以外に

2019年10月16日 16時43分35秒 | 日記

 

WSJの解説記事によると、中国のEV推進、真の動機は環境以外にあって、中国は石炭の算出は際立って大きく、経済産業省の資料によると以下の様になっている。それ故、中国のEV政策は、CO2発生を抑えつつ、石炭による発電を維持し、外貨の流出を防ぐのが狙いではとエクソンが考えているのではと!

 
 
エクソンのCEOは「EVの電源が石炭火力発電で賄われるなら本末転倒」と皮肉った ILLUSTRATION: PETER ARKLE; CAR:TESLA By Lauren Silva Laughlin

 

WSJが中国のEV政策の真意を解説していた。 米エクソン・モービルのダレン・ウッズ最高経営責任者(CEO)は先月、石油・ガス気候変動イニシアチブで電気自動車(EV)をやり玉に挙げた。EVの電源が石炭火力発電で賄われるなら本末転倒ではないか、と皮肉ったのだ。 

EVの創生期だった2016年のドキュメンタリー映画「Who Killed The Electric Car(誰が電気自動車を殺したか)」は、石油メジャーの幹部を環境に優しい未来の敵として漫画チックに描いていた。実のところEVは今や、エクソンの主要商品を巡る将来の需要に大きな脅威となっている。

百万BTU(英熱量単位)当たりのCO2排出量出所:米ネエルギー情報局
瀝青炭ディーゼル&灯油ガソリン(エタノール除く)プロパン天然ガス050100150200250

 ただし、ウッズ氏の批判にも一理ある。世界最大の石油輸入国である中国は、EVの世界的リーダーでもある。だが中国は依然として、電源の大半を石炭に依存している。石炭は最も汚染度が高い電力源だ。中国はバッテリー市場の覇権も狙っているが、その生産工程が大量のエネルギーを要することを踏まえれば、EVはとりわけ環境に優しいとは言えない。少なくとも中国ではそうだ。

 米エネルギー情報局(EIA)によると、瀝青(れきせい)炭の百万BTU(英熱量単位)当たり二酸化炭素(CO2)排出量は天然ガスに比べ75%多い。先進国では環境規制への対応で石炭発電所が閉鎖されている。米国の場合はガス価格の低下が閉鎖の背景にある。ところが中国などアジアの国々では、石炭燃料がなお圧倒的だ。中国は再生可能エネルギーを強化しているものの、フィッチ・ソリューションズの調査によれば、2028年時点でも依然として石炭が発電源の5割近くを占める見通しだ。米国ではその比率は15%となる。

中国はEV生産で世界をリードしている(写真はテスラの上海工場) PHOTO: QILAI SHEN/BLOOMBERG NEWS

 EVブームは発電量の拡大を要する。国際エネルギー機関(IEA)の推計では、EVによって2030年までに発電需要は最大1100テラワット時(1テラワットは10億キロワット)増加する。これは現在の世界発電量の約5%に相当する。世界でもとりわけ汚染が激しい都市を複数有する中国では、EVや電気バスへの移行で排出ガスこそ減少するが、世界の気候変動対策にはそれほど貢献しないかもしれない。

 内燃エンジンは車の燃料のごく一部しか動力に活用できず、非効率だ。このため、IEAの予測シナリオでは、2030年には世界的なEV普及によって、「油田から自動車駆動まで」の温暖効果ガスの排出量が同数の内燃エンジン車の走行に比べ半分に減るケースも挙げられている。

 ただ、バッテリー生産にも大量のエネルギーが要るため、差し引きすると最終的な影響は不透明だ。

 
中国のゴルムドにある太陽光発電施設(2018年7月25日) PHOTO: QILAI SHEN/BLOOMBERG NEWS

 ドイツのIFO経済研究所は、ドイツ国内の電源構成とバッテリー生産に使われるエネルギー量を考慮すれば、バッテリーEVのCO2排出量は最良のケースでも「ディーゼルエンジンよりわずかに多い」と指摘する。

 一方、ベルファー科学・国際問題研究センターの調査は、中国でEVが普及すれば、バッテリー生産を含めても温室効果ガスの総排出量は減少すると結論付けた。ただし、汚染度の高い燃料を使う中国の特定地域では、排出量が増加するかもしれないと付記している。これに加え、石炭燃焼による二酸化硫黄や窒素酸化物など他の有害物質の排出量は高水準だ。

 エクソンがEVに懐疑的なのは利己的な理由からかもしれないが、中国がEV技術に積極的なのも、環境より資金が背景にあるかもしれない。中国の石油生産量は、世界で内燃エンジンに使われる石油全体の5%未満だ。だが石炭生産量は、世界のEV向け電力生産に使われる石炭の約45%に達する。米国ではエタノール補助金の負担が大きく、環境破壊につながるとの批判が広がっているにもかかわらず、自動車燃料向けに国産穀物を利用する世界最大の国となっている。中国もこれと同じで、エネルギー自給国となるために資金をつぎ込み、環境汚染企業の存在を耐え忍ぶことだろう。

乗用車に占めるEVの割合出所:米ネエルギー情報局注:持続可能な開発が前提
 
そればかりではない。中国政府は未来の自動車業界を牛耳ろうとしている。中国の欧米に対する市場開放は、内燃エンジン車の主要輸出国となるには遅すぎるタイミングだった。だがバッテリー生産に関しては、鍵を握る金属の原料確保など、覇権を握るべく積極的に動いている。補助金をふんだんに投じ、中国はすでに世界で突出した規模のEV市場を国内に擁している。

 石油メジャーがEV革命に前向きになるのも、これからかもしれない。天然ガスの生産が急伸する中ではなおさらだ。エクソンの天然ガス生産は4-6月期に150万石油換算バレル(BOE)と、総生産量の3分の1余りに上った。英蘭系石油大手ロイヤル・ダッチ・シェルはこの夏、2030年代までに電力生産で世界最大手の座を目指すと表明しており、天然ガスは大きな役割を果たす可能性がある。

 石油メジャーはEVを忌み嫌うかもしれないが、状況は見た目以上に複雑だとの見方は正しい。EVを支持する向きは環境保全を念頭に置いている。だが市場を変えられる最有力者の動機は他にありそうだ。