本はゲイツの生活に欠かせないものだ。ネットフリックスの新ドキュメンタリー番組シリーズ『天才の頭の中: ビル・ゲイツを解読する』では、このトートバッグが繰り返し登場している。同番組は、ゲイツがハードカバーの本をトートバッグの上部いっぱいまで慎重に詰めている様子から始まる。このバッグには約15冊の本が入り、中には500ページで重さ1キロほどのものもある。
友人らによると、ゲイツは「学ぶことに喜びを感じている」という。ゲイツのアシスタントは毎週本を入れ替え、ゲイツが遠出するたびに本をトートバッグに詰めている。番組の中では、アシスタントの女性が本をバッグに詰めながら題名を読み上げる場面がある。本のジャンルは人気のノンフィクションから、ワクチンや量子力学についての科学書までさまざまだ。
ある友人は、ゲイツが旅行に14冊の本を持ってきたときのことを思い出し、次のように語る。「彼はある一つのことについて、1冊ではなく5冊の本を読む。そうした本の大半は、生身の人間にとっては難解過ぎて読めないようなものだ。彼はほぼ常に、話す相手よりも多くの知識を持っている」
同じく熱心な読書家として、ゲイツの良き友人のウォーレン・バフェットがいる。バフェットはかつて、知識は複利のように蓄積されると語った。読書を重ねるほど知識は増える。ゲイツは面白い場所に旅し、世界トップレベルの科学者たちと会っているが、「私が新たなことを学び、自分の理解を試す主な方法はそれでも読書だ」「それぞれの本が、探索すべき新たな知識の道を開いてくれる」と語っている。
ビル・ゲイツは能動的読書家で、読む本全てから最大限のものを得る。まずゲイツは、余白に多くのメモを書き込む。また、読書の時間には決して邪魔が入らないようにしている。
「自分の頭に取り組ませることは限られた数だけ選ばなければいけない」とゲイツ。「自分が気にすべきものが何かを決めなければならない」。何に関心を傾けるかを決めると、ゲイツは自分をその話題に没頭させ、その議題に関するあらゆる側面について学ぶ。それに必要なのが難解な本を読むことであれば、それもいとわない。
シリーズ最後となる第3回では、ゲイツが自宅の巨大な図書室の中に立ち、少なくとも30冊の本を収蔵している一つの棚を指差す。そこにある本は全て、カナダのエネルギー科学者バーツラフ・スミルの著書だ。
ゲイツはスミルの本を読むことで、二酸化炭素の排出量を減らしつつ世界の電力需要を満たすクリーンエネルギーを作り出す方法について学ぼうとしている。著書の一部はゲイツにとっても非常に難解だ。ゲイツはまだ読み終わっていない1冊を棚から取り出し、「この本の自然な読者は1人未満かもしれない」と冗談を飛ばした。
ゲイツはリーダーたちに向け、成功の手掛かりとなるかもしれない重要な教訓を与えている。それは、どのような分野でも読書は成功に「絶対に」欠かせないものだという点だ。ゲイツはかつて米誌タイムのインタビューで次のように述べた。
「学びをやめるまでは、本当の意味で歳を取ることはない。全ての本は、私に新しい知識を授け、物事を違う角度から見る手助けをしてくれる。(中略)読書により、世界についての好奇心がたきつけられる。私のキャリアは、それにより前進してきたと思う」