先端技術とその周辺

ITなどの先端技術サーベイとそれを支える諸問題について思う事をつづっています。

スマホは使うがパソコンは苦手──コロナ禍で露呈した日本人の弱点

2020年05月26日 10時16分28秒 | 日記
ニューズウィークが、 『スマホは使うがパソコンは苦手──コロナ禍で露呈した日本の労働力の弱点』なる記事を載せていた。著者はマルガリータ・エステベス・アベ(米シラキュース大学准教授)で、日本の生産性は、イタリアやスペインといった南欧諸国より低いという。
日本生産性本部が、まとめたデータによると以下のようになっている。この表の信頼性は問題だが、低いには違いなさそう。そのりゆうは、IT 化が遅れていることと、日本政府は既得権益には獲得に熱心だが、国民全員に利益がある教育機関のIT化投資を長らく怠ってきたからだという。
 
以下ニューズウィークの記事を引用する:::::::::::::::::::::::
 

 

<日本は新型コロナウイルスの危機を、労働生産性の向上を促すカンフル剤とすべきだ――。本誌「ポストコロナを生き抜く 日本への提言」特集より>

かつての日本は、ハイテクの国であった。ところが現在ではIT化が遅れ、労働生産性もイタリアやスペインといった南欧諸国より低い。

日本は高齢化による若年男性労働者数の減少を高齢者と既婚女性のパート就業率を高めることで対処したので、労働力の質が下がり、労働生産性が落ちたという人もいる。しかし、やはり超高齢化が進むドイツは日本同様、高齢男性と既婚女性のパートタイム労働の就業率を底上げしてきたが、時間当たりの労働生産性は日本よりもずっと高い。

 

国際成人力調査(PIAAC)という、16歳から65歳までの労働者のスキル調査によると、日本の労働者の読解力と数的思考力は国際的にもトップレベルである。加齢による能力低下を考慮しても、国際的に非常に高いレベルを維持している。

なぜ、世界トップクラスの人的資本に恵まれている日本の労働生産性が低いのか? その理由の1つはIT化の遅れだ。日本では他の先進国に比べ、職場や自宅でコンピューターを使わない労働者が(若年労働者を含めて)非常に多い。

日本は、スマホ普及率の増加に伴ってコンピューター使用率が減少した稀有な国でもある。桜田義孝前五輪担当大臣兼サイバーセキュリティ戦略本部担当大臣が、パソコンも使わず、USBが何かも知らないことで物議を醸したが、その桜田氏もスマホは使っており、「桜田現象」は日本の現状の象徴でもある。スマホのアプリ開発で日本が世界を凌駕しているわけでもない。単に教育機関や職場のIT化が非常に遅れており、せっかくの良質な労働力の真価が発揮されていないだけだ。

オンライン授業なぜできない

新型コロナウイルスによるパンデミックへの対応を見ても、日本のIT化の遅れは顕著だ。学校閉鎖になった小中高では、オンライン授業への移行が全くなされなかった。IT化がもっと進んでいる大学でも事情は他国とかなり違う。首都圏では新学期を1カ月ほど遅らせる大学も多いが、知り合いの関係者の話によると、この期間を使ってオンライン授業への移行を準備する意味合いもあるらしい。これには衝撃を受けた。

学期中にパンデミックに対応せねばならなかった欧米の多くの大学は1週間程度でオンライン授業に移行した。もともと米国の大学では授業用のオンライン・プラットフォームが整備されており、オンライン授業への移行も既存の仕組みを利用することができ、年齢層の高い教員を含め、無事に一斉オンライン化ができた。南欧の大学でも、既存のプラットフォームと無料ソフトなどを利用して、授業を続行した。

 

欧米の大学よりもずっと準備期間があったはずの日本で、なぜ多くの大学が新学期を遅らせる必要があったのか? 自宅にインターネット環境がない学生がいる、コロナ騒ぎで外国人留学生が4月初旬までに入国できないなどの理由が挙げられたが、一方で、東京大学は暦どおり4月からオンライン授業を開始した。

 

IT化の遅れの元凶は、日本の政治と組織にあるのではないか。政府は既得権益には優しいが、一般国民全員に利益がある教育機関のIT化投資を長らく怠ってきた。民間組織も、初期投資が大きく、年功序列のヒエラルキーをひっくり返してしまうIT化になかなか踏み切れないのだろう。日本の「ハンコ文化」が典型的だ。

日本の超高齢化社会を持続可能にするためには、労働生産性の向上は不可欠だ。今回の危機が日本の大学や企業にとってショック療法となり、日本のIT化に弾みをつける契機になることを期待している。

 


音楽は仕事の集中力アップに役立つ?

2020年05月26日 09時56分50秒 | 日記

ニューズウィークが、『音楽は仕事の集中力アップに役立つ? 心理学者が「最適な組み合わせ」教えます』という、解説記事を載せていた。

 
ジョン・アイエロ(ラトガーズ大学心理学教授)、マヌエル・ゴンザレス(ニューヨーク市立大学バルーク・カレッジ博士課程)の研究結果だという。実験は、1つは簡単な課題で、単語のリストを見てアルファベットのaを含む単語にバツ印を付けるといったもの。もう1つはより難度の高い課題で、単語のペアをいくつか覚え、片方の単語を見て対になる単語を思い出す、などだ。音楽は、2つのケースで行ったという。①単純な音楽とは、楽器は1つか2つで、メロディーが頻繁に変わらず、テンポもおおむねゆったりしたもの。②複雑な音楽とは、多様な楽器で編成され、メロディーが頻繁に変わり、テンポがおおむね速いものだ。
 
その結果は、簡単な課題では、音楽なしのグループと単純な音楽を聴いたグループの成績はほぼ同じで、複雑な音楽を聴きながらやったグループの成績が最も良かった。逆により難度が高い課題では、音量の大小や旋律の複雑さにかかわらず、音楽を聴きながらやったグループのほうが、音楽なしのグループより成績が悪かった。
 

比較的単純な反復作業をするときは、音楽を聴けば効率アップが期待できる。だが知的リソースを目いっぱい使う仕事をやるときは音楽なしのほうがよさそうだ。

 

音楽を聴きながら作業すると集中できるというが 

 

<どんな作業のときにどんな楽曲を聴けば、ノリノリで仕事がはかどるのか。リモートワーク中の人たちのために、心理学者が実験を行った。本誌「リモートワークの理想と現実」特集より>

巣ごもり生活が長引き、子供がいる家庭では自宅がオフィス兼学校兼子供の遊び場になっているはず。そんな環境では何時間も集中して仕事に取り組むのはとても無理だ。

音楽を聴きながら仕事をしたらどうだろう?

音楽が大好きな私たちは本職の心理学の手法でこの問いに挑んでみた。

音楽がスポーツや数学などのパフォーマンスにどう影響するかを調べた先行研究は多くある。だがこうした研究の多くは特定の能力に的を絞ったものだ。私たちは多くの人の参考になるよう、大まかな設定で音楽の効果を調べることにした。

実験では、被験者に2つのタイプの課題を与えた。1つは簡単な課題で、単語のリストを見てアルファベットのaを含む単語にバツ印を付けるといったもの。もう1つはより難度の高い課題で、単語のペアをいくつか覚え、片方の単語を見て対になる単語を思い出す、などだ。

被験者の一部は音楽を聴かずに、これらの課題に取り組んだ。その他の人たちは音量が大きいか小さい楽器演奏、または単純か複雑な音楽を聴きながら課題をこなした。ここで言う単純な音楽とは、楽器は1つか2つで、メロディーが頻繁に変わらず、テンポもおおむねゆったりしたもの。複雑な音楽とは、多様な楽器で編成され、メロディーが頻繁に変わり、テンポがおおむね速いものだ。

知的リソースをどう使うか

この実験で興味深い結果が得られた。簡単な課題では、音楽なしのグループと単純な音楽を聴いたグループの成績はほぼ同じで、複雑な音楽を聴きながらやったグループの成績が最も良かった。逆により難度が高い課題では、音量の大小や旋律の複雑さにかかわらず、音楽を聴きながらやったグループのほうが、音楽なしのグループより成績が悪かった。

この結果から何が分かるだろう。

私たちの解釈はこうだ。音楽を聴くことと課題をやることはいずれも知的リソース(資源)を使う。知的リソースが十分に使われていないと、退屈して注意が散漫になるが、逆に知的リソースを超える負荷がかかった場合も疲弊して集中が途切れる。

簡単な課題はあまり知的リソースを使わずにこなせるので気が散りがちだ。その場合は音楽を聴けば適度な刺激が与えられ、単調な作業でも飽きずに続けられる。一方、難しい課題ではそれだけで知的リソースを使うので、そこに音楽が加われば過大な負担になる。

つまり課題の難易度と音楽のタイプの「最適な組み合わせ」があって、知的リソースが最適に使われたときに最も効率が上がると考えられる。加えて、音楽の効果には個人差もありそうだ。

音や周囲の事物など外部の刺激に注意を向ける度合いは人によって違う。私たちの実験では、外部刺激に注意を向けがちな人は、簡単な課題に取り組む場合でも複雑な音楽を聴くと成績が悪くなった。

まとめれば、比較的単純な反復作業をするときは、音楽を聴けば効率アップが期待できる。だが知的リソースを目いっぱい使う仕事をやるときは音楽なしのほうがよさそうだ。

蛇足ながら、あなたがノリノリで仕事をこなせる音楽が、周りもノリノリにするとは限らない。音楽を聴くならイヤホンを使おう。


中国の5G戦略が世界をリードする?

2020年05月26日 09時27分06秒 | 日記

ニューズウィークが、『中国の5G戦略が世界をリードする』という記事を載せているが、新型コロナ災禍以降、中国製の基地局や、スマホや、あるいは5G対応装置を輸入しようという動きはなくなっている。因みに日本の無線通信会社、ドコモ、au、ソフトバンクなどはAPPLE、サムソンそして日本メーカーのしか扱っていない。

そうなると中国政府の意向は、5Gにより、中国国内の産業革新を行い、先進性を示して、外需を復活させる狙いがあるのだろう。

中国では年内に5G基地局が約50万基新設される予定 

 

<コロナ危機で各国の5G導入が遅れるなか、中国は国家主導でインフラ整備を着々と進めている>

新型コロナウイルスの感染拡大による行動制限が完全には解けていないのに、中国は5G関連プロジェクトにエネルギーを注入している。北京の中央政府は「5Gネットワークの建設へ向けて邁進する」とうたい上げた。

 

中国の国有通信事業3社は、既に100億ドル相当に迫る5G契約を締結し、今年中に5G機器に255億ドルを投資する予定だ。さらに中国の全都市に5Gの通信サービスを提供するため、基地局を約50万基新設する。これまでのところ、契約額の90%近くは中国企業の華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)と中興通訊(ZTE)に、10%がスウェーデンのエリクソンに流れている。

欧州から見れば、中国への警戒心がさらに高まりそうな数字だ。欧州では新型コロナウイルスの感染拡大によって5G製品投入が遅れるなか、中国の国家主導による5G政策が優位に立つのではないかという懸念が強まっている。

今回のパンデミック(感染症の世界的大流行)における中国のプロパガンダへの怒りは、中国企業に対する欧州勢の警戒心につながってきた。1月にファーウェイの5Gネットワークへの関与にゴーサインを出したイギリスでさえ、ドミニク・ラーブ外相が「この危機の後、(中国と)これまでと同じようにビジネスを行うことはできない」と語ったほどだ。

米政府も中国のパンデミック発生源の隠蔽疑惑を理由として、「共産主義体制によって支配される可能性のある全企業の徹底的な調査」を実施し、アメリカのネットワークへの接続を許可すべきかどうかを検討するとしている。アメリカのこの姿勢は、中国につながる国際的な通信インフラプロジェクトに影響を与える可能性がある。

外国経済を羽交い締めに

この流れの中で、中国は5G競争を加速させている。既に中国政府は、2025年までに次世代情報インフラと「世界でもトップを行くモバイル通信ネットワーク」を構築する動きを進めている。ファーウェイはアメリカ発の技術に頼らずに、多くの5G基地局を売り出している。

この流れは、パンデミックによって増幅された。中国が5Gサービスを急速に拡大しているのは、産業の自動化を推進して企業がパンデミックによる行動制限に対処できるようにするためで、「経済的影響を相殺する新しい消費の可能性を解き放つ」(通信会社会長)ことが目的だ。

方、輸出市場が落ち込み、中国の内需が期待できないなか、5月22日に開幕予定の全国人民代表大会で発表されるGDP成長率目標を達成するためには、国家主導の新しいインフラへの投資が必要になってくるという事情もある。

 

今年の冬までに5G展開の第1段階を終え、現行の4Gネットワークから独立して機能するスタンドアローン・サービスを構築する第2段階へ突入すれば、国有企業が基地局の調達とインフラのシステム部分の構築を推進し、地方政府がそれを促進するという中国の統制経済的な側面が示されるだろう。このインフラの可能性を生かすのは、中国の民間企業の役割になる。

こうした積極的な動きは、今までの外国との競争と相まって、4Gでの中国の経済的成功を支えてきた。この傾向は5Gでさらに顕著になるだろう。5G技術を先導する中国企業は国外市場へと進出し、技術エコシステムにおける中国経済の影響力を一層強化。外国経済を「羽交い締め」にしかねない。

いずれにせよ、今のところ世界の5G競争のトップに立っているのは中国とみてよさそうだ。

 

 

<11月1日に中国国内50都市で5Gサービス開始。基地局提供のファーウェイにアメリカは危機感を募らせるが>

超高速・大容量通信によって産業やライフスタイルを一変させる5G(第5世代移動通信システム)で主導権を握る国はどこか。各国がしのぎを削るなか、中国が大きな一歩を踏み出した。

 

中国移動通信(チャイナ・モバイル)など国有の通信大手3社は11月1日、北京や上海など国内50都市で5Gの商用サービスを開始。事前登録した契約者数は1000万人を超えており、世界最大規模の5Gネットワークになるとみられる。

米中貿易戦争が長引き、景気の減速が懸念されるなか、中国は5Gを切り札に経済を活性化し、国際競争力を高めたいと考えている。今回の計画では、アメリカから「スパイ容疑」で制裁対象とされている5G関連機器最大手の華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)などが基地局を提供。アメリカは各国にファーウェイ排除を要請しているが応じる国は少なく、同社は既に累計で40万件以上の5Gの基地局を輸出している。


「 IIJ、ドン・キホーテと呼ばれても」意地でインターネットに参入

2020年05月25日 08時16分54秒 | 日記

2019年日経電子版で連載した「ネット興亡記」で、インターネットイニシアティブ(IIJ)創業者の鈴木幸一氏の苦悩話が掲載されていた。なかなか面白いので、メモって見た。

IIJはなじみのない企業であるが、インターネットの中枢を握る、インターネットバックボーンを抑えている唯一の民間企業である。Wikipediaも解説を引用する::::::

国内外の主要なインターネットエクスチェンジとのピアリングも積極的に推進し、電信電話系ではないIP通信専業のISP事業者としては国内最大規模の主要都市間を接続するインターネットバックボーンを独自に構築している。また、アジア太平洋地域の国際バックボーンであるA-Boneの構築にも関与するなど、インターネット接続環境の整備にインフラ面で大きな貢献を果たした(1995年に株式会社アジア・インターネット・ホールディングを設立。2005年に吸収合併)。

主要な顧客層は官公庁と法人で、11,000社以上を抱える。特に、高度・大規模なシステムインテグレーションを必要とする大企業に対するシェアは圧倒的で、各業界トップ10企業の半数から、セクターによっては大半の主要企業を顧客とする。

IIJ自体が村井純・吉村伸を始めとするWIDEプロジェクトのメンバーが中心となって設立された企業である関係から、現在もWIDEプロジェクトやEPCglobalを始め、インターネットに関する研究・調査・実証実験・標準化等の活動に積極的に参画している。ISP事業者の中では、研究投資の比率は比較的高い方である。

 

 

日経の「ネット興亡記」に戻る::::::::::::::::::::::::::::::

 

商用インターネットの事業化を認めようとしない政府との苦闘を語る。会社はつくったものの何も出来ない「空白の1年3カ月」。鈴木氏は思い切った行動に出た。

この国のインターネットはいったい誰がどうやって始めたのだろうか。その起源をたどれば、ある男が経験した苦悩の物語があった。

鈴木幸一の個人オフィスに2人の知人が訪ねてきたのは1992年の夏のことだった。ひとりは慶応義塾大学助教授(当時)の村井純。84年に大学を結ぶネットワーク「JUNET」を築き、現在では「日本のインターネットの父」と呼ばれる。もうひとりはアスキー部長の深瀬弘恭だった。

「今こそ日本にインターネットを広げる時です。やりましょう」

2人は鈴木に、日本で初となる商用インターネット接続事業会社の設立を持ちかけた。2人が来訪するまで昼寝していたという鈴木は面食らうが「インターネット」と聞くと、熱い思いがこみ上げてきた。鈴木は当時、46歳。脱サラして個人で経営コンサルタントをしていたが、インターネットには並々ならぬ関心があった。

 「インターネットは20世紀最後の技術革新。(それまでは電算機と言われた)コンピューターと通信が同じ技術基盤の上で動く。どんなものができるか、想像するとすごいものになるなと。世の中の仕組みを変えてしまうようなことが起きると思っていました」

 

 

 

■21世紀の覇権を占う技術

3人はそのまま居酒屋に場所を変えて気炎を上げた。村井と深瀬が「今こそ日本にインターネットを」と力説する理由が、鈴木には理解できた。冷戦が終わったばかりの当時、米国がいち早く動いていたからだ。

 「日本が戦後に製造業で稀有(けう)な経済復興を遂げると、米国は(製造業では)ついてこれなくなった。だが同時に金融や通信のプラットフォームを米国が独占することで21世紀に再び世界の覇権を握るという意識で議論もし、政策も打ち出していた。単なる新しい道具、おもちゃとして考えた(日本という)国のインターネットに対する態度とは全く違うものだった」

鈴木は「誰もやらないのはまずい」と思い立ち、この年の12月にインターネットイニシアティブ(IIJ)を設立した。だがそれは、苦難の始まりだった。

村井と深瀬は「東京電力から10億円単位の出資を受ける話をつけている」と言っていたが、東電幹部に聞くと「そんな約束はしていない」。集まった資本金は1800万円。100年をかけて築かれた電話にとって代わる通信インフラを担うには、話にならない額だ。

大企業に出資を持ちかけても相手にされなかった。新日本製鉄(当時)の幹部には「インターネットが事業で使われるようなことになれば、全裸で逆立ちして銀座を歩いてみせますよ」とまで言われた。

 「『面白そうだけど使えないんじゃないか』という意味でした。あの頃は天井に届くほどの分厚い提案書を書いた。でも、彼らが生きてきた世界とは違っていた。これほど無理解かと思いましたが、僕も片意地を張って始めちゃった」

 「それでも絶対に変わらなかったのが、これが世界の覇権にかかわる技術なんだという思いです。もう、バカみたいに、ドン・キホーテみたいに、でもやろうと。錯乱と言えば錯乱ですね」

■証明不能の難題

鈴木に立ちはだかったもうひとつの壁が役所だった。インターネット接続事業を始めるには国の認可が必要だが、監督官庁の郵政省(現総務省)の幹部は「通信は公益事業」と言い、鈴木にこう言い放った。

「IIJが絶対に潰れないという証明をしてください」

あっけに取られる鈴木に「例えば3年間、全く契約を取れないということもあり得るでしょう」と言う。それでも倒産せずにサービスを続けられる証明をしてみろというのだった。

まさに証明のしようがない「悪魔の証明」――。鈴木の目に、郵政省は認可する考えなど毛頭ないように映った。

 「日本はちゃんとした良い国なんだと思います。ちゃんとした仕組みがあり、だからそれを壊せない。でも、許せないと思いました」

 

インターネットという技術革新とともに人生を歩んだ

インターネットという技術革新とともに人生を歩んだ

 

IIJは事業を始められないまま時間を浪費していく。資金はすぐに底をつき、鈴木は金策に走るが、次第に社員への給与の支払いにも窮するようになった。IIJのオフィスは解体されることが決まっていた廃屋のようなビルに入っていた。ブラインドを買う金もないため、社員が席に日傘を持参していたほどだ。

 「まるでお化け屋敷。(食費を切り詰めるため)会社で飯ごうで米を炊くバカがいて、大家さんにも怒られました。でも、僕も給料をちゃんと払えと言われれば『確かに』と言うしかない。だから(他の階の空き部屋に)卓球台を持ってきて、給料日が近づくとそこに逃げこんだ。社員は『また(社長が)いない』と」

 「社員はそんな食っていけるかどうかも分からないような技術を勉強していた変わり者たちですが、みんなトップのエンジニアだった。みんな若くて協調性はゼロだけど熱いパッションを持っている。会議でよくケンカになってペットボトルを投げるので、会議室には持ち込み禁止にしました」

鈴木はついに覚悟を決めた。友人のツテで郵政省幹部と新年会を開いてもらうと、その場で「このままの状況が続くなら郵政省を提訴する」と迫ったのだ。すると後日、郵政省から「条件は3億円の財務基盤を示すこと」という連絡が入った。

■ヤマト運輸トップからの手紙

さっそく銀行を回った鈴木。突破口になったのが住友銀行(当時)だった。役員が20分だけ会ってくれるという。熱弁を振るう鈴木に、その役員が最後に、インターネットのユーザーはどれほど増えそうかと聞いた。当時は研究者を中心に1000人ほどだが、10年後には最低でも3000万人になると言う鈴木。その役員がこう言った。

「ほう、3万倍か。そこまでのホラはなかなか聞けないな」

すると、こう付け加えた。「私は正直、インターネットのことは分からないけど、あなたの顔は失敗する顔じゃないね」。1億円の融資保証を約束すると言う。これに他行も続き、鈴木は「3億円の保証」をかき集めた。「悪魔の証明」が解けた瞬間だった。

ちなみに鈴木の「ホラ」は外れた。10年後の日本のネット人口は7700万人を超えていたからだ。

 

米ナスダック上場から6年後の2005年12月、東証マザーズに上場した

米ナスダック上場から6年後の2005年12月、東証マザーズに上場した

 

そして1994年2月28日、ついにIIJに認可が下りた。なじみのバーで一杯ひっかけてから、鈴木はオフィスに向かった。

 「みんな喜びを忘れるくらいへたっていたよ。毎日会社に来てもやることがないから。でも『やっとできるよ』と」

 「僕も破産間近だったけど、(役所は)IIJが何を言っても無関心。これは訴訟しかないなと思いました。唯一応援してくれたのが会ったこともない人だった。ヤマト運輸(元社長)の小倉(昌男)さん。『君は役所とケンカしているそうだね。がんばれ』という内容の手紙が来た。あれはうれしかったねぇ」

激しく役所と対立しながらも宅配便を生み出した小倉は、分野は違えど国を相手に信念を曲げずに戦う鈴木の気骨を買ったのだろう。この国にインターネットをもたらした鈴木は73歳になった今もIIJ会長として陣頭指揮をとる。鈴木にとってインターネットとはなんだったのか。

 「なんでこれで人生を潰しちゃったのかな、とね。僕は本来、本を読むのが好きだったのに。本当にこの世界が僕にあっているのかどうか……。でも、ついついはまっちゃった。空間と時間の概念を根本的に変えたインターネットという技術革新は、やっぱり面白い」


ポストスマホは「音声」が主役?? しかしやはりスマホが主役!!

2020年05月25日 07時38分53秒 | 日記
 
LINE

2017年の記事ではあるが、CNetJapanにポストスマホは音声という、LINEの創業者の見解記事が出ていた。  当時は、スマートスピーカーが流行り始めており、音声コマンドでインターネットなどが簡単にできると言う事で、さらにAIを導入して、音声コマンドをより広範に高精度で行ったらというのがこの会談の結論。しかし、2020年は、TV 会議の復活で、スマホで、TV 会議飲み会。もしか、したら、日本人の50%はZOOMを使ってはいないだろうか? そして言えるのはポストスマホはスマホではなかろうか?しかしSY¥スマホはスマホではなくなる? ではどう変わる?それをとらえたものは、次の成功者だろう!


2011年の東日本大震災をきっかけに生まれたメッセージアプリ「LINE」は、長年にわたり電話とメールが主流だった日本のコミュニケーションスタイルを、わずか数年でガラリと変えた。そして2017年、LINEはAIと音声によって再び人々のコミュニケーションに革命を起こそうとしている。

 上場しても「スピードは落ちてない」

――LINEが生まれてから間もなく6年が経とうとしています。現状をどのように評価していますか。

舛田氏 : おかげさまで数億人に利用していただけるコミュニケーションサービスになり、プラットフォームとしてゲームやスタンプなどの事業も生まれました。また、ニュース事業では王者ヤフーの背中が見えるところまで成長できましたし、そのほかの事業も順調に成長しています。これを一言で表すなら「幸運」だなと。努力はしてきましたが、会社全体として運が良かったと思います。

 ただ、我々の経験から痛いほど分かっているのは、こういった幸運はサボればなくなる、変化をし続けなければなくなるということです。ですので、社内で「成長してよかったね」という空気が流れている期間があったかというと、恐らくこの6年間一度もなかったと思います。もちろん、(目標の達成や上場など)イベントごとにみんなで喜びましたが、そのあとみんなの顔を見るとすぐに戦闘モードになっているんですね。経営陣ではなく自分たち自身で、気が緩まないようにしている。次の10年目、20年目に向けて、そこは変わってはいけない精神だと思っています。

――2016年7月には上場も果たしました。社内外で変化や影響はありましたか。

出澤氏 : 変化という意味では、まだ我々が一番弱小な勢力ではありますが、世界的なプレーヤーと同じフィールドで戦える準備ができたと。非常に強いグローバルな企業と戦っていくには、ありとあらゆるリソースが我々には足りない状況でしたが、上場することで資金を調達して、新たな人材が入りやすい状況になってきましたし、日米同時に上場したことでグローバルな企業からもいろいろなオファーをいただけるようになりました。そこが一番大きなメリットというか、我々が得たものだと思います。社内の雰囲気についても舛田が言った通り、みんな高い目標を持っていて、ユーザーに価値を提供したいという思いが強いので、そこまで変わらないですね。

ニューヨークでの上場の様子
ニューヨークでの上場の様子

――上場するとスピード感が失われるのではないかという懸念もありましたが。

出澤氏 : それはないんじゃないかなと思います。往々にしてスピードが遅くなるのは、組織が肥大化する中で、縦割りになったり、官僚主義的になったりすることだと思います。そこは非常に工夫をしていて、まず役職の階層を薄くするために、経営陣、ミドルマネジメント、一般従業員の3レイヤーくらいに分けています。また、プロジェクト単位でチームビルドして、プロジェクトが終わったら解散するというフレキシビリティを担保する組織設計をしているので、スピードが落ちたとは思っていません。逆に、上場準備中のほうがプロセス上の問題で動けないこともあったので、そこから解放されてこの1~3月はサービスのリリースが続いていますし、動きも早くなっているように感じますね。

撤退する事業には「次がある」

――現状、伸びている事業と苦戦している事業をそれぞれ教えてください。

出澤氏 : 2016年に伸びたのはニュースですね。(公式アカウントを開設してニュースを配信できる)アカウントメディアに参画いただけるメディアが増えて、ニュースソースが多様化したことと、LINEに追加したニュースタブがかなりうまくいっていて、ユーザーからも非常に好評です。また、「LINE Pay」は1000万アカウントを超えましたし、「LINEモバイル」はリアル店舗も順調に立ち上がっています。

2月にLINEアプリを大幅刷新して「ニュース」タブを新設
2月にLINEアプリを大幅刷新して「ニュース」タブを新設

舛田氏 : 上手くいかなかった事業はもう整理をしています。我々は判断が早い会社なので、この方向じゃないなと思ったら閉じるようにしています。ただ、注意してみていただくと分かると思うのですが、閉じたサービスの中で何もアクションをしなかったものはないんです。たとえば、フードデリバリーサービスの「LINE WOW」を閉じましたが、その領域を諦めたわけではなく、次に出前館という業界ナンバーワンの会社の筆頭株主になりました。また、過去には「LINE KIDS動画」というサービスがありましたが、そのチームが次に進んだのが「LINE LIVE」です。

 実は終了するプロジェクトには、その理由と次のアクションが社内では走っているんです。1つ1つチャレンジして検証を進めるのが我々のやり方で、大きくどーんということはそこまでないですね。たとえば、LINEモバイルも最初から全国に店を開いたらいいじゃないかというお声もいただきましたが、やはり大事なのはそのサービスがユーザーニーズと合致しているかどうかです。合致していることが確認できれば、いつも通りアクセルを踏みますし、そのアプローチが違うならまた次のアプローチに切り替えるというのが、我々のある種ものを作っていく時のルールになっていますね。

――各事業の進捗も聞かせてください。LINEモバイルは、3月から全国の店舗展開やテレビCMを開始しました。“コミュニケーション”に続き、“通信”の領域もシェアを獲りにいくフェーズに入ったということでしょうか。

LINEモバイルではIoTを見据えていると舛田氏
LINEモバイルではIoTを見据えていると舛田氏

舛田氏 : 「なぜ、LINEがモバイル事業なのか」というご質問をいまだにいただきますが、我々はスマートフォンで生まれたサービスで、スマートフォンによって成長してきました。ただ、日本におけるスマートフォンの比率は徐々に増えてはいるものの、まだまだ低い。私どもとしては、スマホユーザーが増えていけさえすれば、ユーザーに価値のある体験を提供できると思っています。

 もう少し広い視点でみると、我々は「Closing the distance」というミッションを掲げていて、“人ともの”をつなぐと言っているんです。IoTの領域ですね。ここを考えると、当然そこはWi-Fiだけでは普及しきらないですし、そもそもWi-Fiが家に飛んでいるかどうかも分からないという方も非常にたくさんいる。その中で、IoT領域においてどのような形でLTEを普及させていくか。そういった観点から、LINEにとってモバイル事業は非常に重要な位置づけだと思っています。

――続いて、モバイル決済サービスの「LINE Pay」について。日本で資金移動業者が送金サービスを提供するには、送り手と受け取り手の双方が免許証などで本人確認をしなければならず、友人間などで気軽に送金するには適していません。この状況をどう考えますか

舛田氏 : まず、我々が考えているのは、スマートフォン上のウォレット(財布)になることです。そのためには、ユーザーのお金とつながっていなければいけませんので、クレジットカードやプリペイドカード、銀行などとの連携や整備に時間をかけてきました。入金があれば出口が必要ですので、2016年の後半からはコンビニと協力して、いろいろなところで(プリペイド形式の)「LINE Pay カード」によるオフライン決済を可能にしました。

「LINE Pay カード」
「LINE Pay カード」

 個人間送金もそうした手段の1つだと思っています。個人間送金だけで何かをしようという考えはまったくないんですが、ウォレット機能の1つとして個人間送金や個人と法人間の送金なども視野に入れています。本人確認についても、「ここまでの使い方については認証が必要ですよ。ただ、この使い方については認証は少し軽くできるんじゃないか」といったことを、まさに我々の中で日々検討を進めているところですので、どんどん使いやすい形に変わっていくと思います。サービスのどこでつまづいたか、どこでアクティブになったかという、ユーザーの利用データもかなりの量が溜まってきているので、そこからいろいろな展開を考えています。

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ポストスマホは「音声」--LINE流の攻め方

――3月に発表したクラウドAIプラットフォーム「Clova」についても詳しく聞かせて下さい。AI事業への本格参入を決めた狙いは。

出澤氏 : LINEはスマートフォンで大きくなった会社ですが、スマートフォンの“次”を真剣に考えるタイミングにきていると思っています。IoTによってあらゆるものがインターネットにつながり、ディープラーニングから始まるAIも進化しています。その中で、ポストスマホの世界でいうと、次は“音声”がひとつの大きなテーマになるという確信があって、PCのOSやスマートフォンのアプリストアよりも非常に大きいエコシステムが生まれると思っています。それは、「Amazon Echo」や「Google Home」など海外のトレンドを見ていても分かります。

 そこに対して我々もチャレンジするということです。音声の領域では、これまでのインターネットよりも生活に溶け込んでいく、日常生活で普通に会話をする感覚でものとつながります。そういう世界では、ローカルな感覚や言語、コンテンツが重要になりますが、我々は(世界各国でメッセージサービスを展開することで)そこに強みを持っています。社内で議論して、次に挑戦する領域として相応しいだろうと判断し、現在は舛田と慎(同社取締役の慎ジュンホ氏)がリードしてプロジェクトを進めています。

ポストスマホは“音声”が大きなテーマになると出澤氏
ポストスマホは“音声”が大きなテーマになると出澤氏

舛田氏 : 恐らくスマートフォンが1人1台の世界になったからこそ、そこですべてを完結させることが難しくなってくると思うんです。実際、下を向いてスマホをずっと見続けることは生理的に不自然ですよね。情報とインターフェースの関係を考えていくと、ディスプレイやタッチ操作に縛られている世界の次に行く必要があると思います。(音声認識について)すごく原始的なことだと思うんです。声であるとかモーションであるとか、視覚も含めて、そういったところがデバイスとうまくリンクして、いろいろな情報やサービス、コンテンツなどを呼び出せる。そこで重要になるのがコミュニケーションです。

 音声でやり取りするには、コミュニケーションがなければいけませんので、そこはLINEを提供してきた我々の得意分野なんだろうと。そして、音声で検索をしてレコメンドして返すところも、グループのNAVERが10年以上やり続けてきた、ある種のコアテクノロジです。この2つのコアテクノロジと、我々が日本と韓国で大量に保有しているデータを活用して、どのようにAIに学習をさせていくか。たとえば、コマースで取れるデータは確かにマネタイゼーションでいうと金の卵ですが、人はただものを買うだけではありません。環境に溶け合う状態を作り出すにはもっと幅広いデータが必要なのです。データの量と種類に関しては、恐らく我々が日韓ともに1位ですので、非常に強みは出てくると思います。

 そして、もう1つのコンテンツとサービスですが、音声デバイスとして、どういう体験がいいのかという答えはまだ誰も見つけられていません。これを見つけ出すには、クラウド側のAIとつながるサービスやコンテンツが一体でないといけない。我々は、キラーサービスとして日本ではLINE、韓国ではNAVERを持っていますので、音声デバイスが普及していく中で、グッドケースを作り出せるのではないかと思います。ただ、我々はデバイスのプロではありませんので、ソニーやLG、タカラトミー、そして“俺の嫁”(バーチャルホームロボット「Gatebox」)を開発するウィンクルなどの企業とコラボレーションすることで、デバイスからアウトプットまでのユーザー体験を一気通貫で提供できると思います。

バーチャルホームロボット「Gatebox」を買収することを発表
バーチャルホームロボット「Gatebox」を買収することを発表

――お二人は「Amazon Echo」や「Google Home」を実際に使われたのでしょうか。また、その感想も聞かせてください。

出澤氏 : 当然ながら使ってはいて、やはりこの領域はくるよねという感想です。また、英語の認識精度をAmazon EchoとGoogle Homeで使い比べたりしています。ただ、それと同時に使い続ける必然性がなければいけないとも感じていて、そこをちゃんと見つけたいと思っています。

舛田氏 : (使ってみて)私もありだなと思うのですが、やはりまだ正解ではないと思います。音声でできることって少ないんです。非常に便利なんですが、(スマートフォンに比べて)求めるアウトプットに対する情報量が当然少なくなるんですね。音声だからこそのキラーサービスやコンテンツが必要で、大体思いつくのが、リマインダや音楽、占い、ニュース、天気予報、あとはスマートホームなどの用途ですね。この辺りは、音声デバイスのかなり表面的な部分だと思っています。音声スピーカ「Amazon Echo」(左)と「Google Home」(右)

 なので実は私、いま非常に楽しいんです。これまではスマートフォンを中心に、LINEと連携させたらこうなるよね、ということを考えてきたんですが、音声デバイスはゼロイチで考えられます。たとえば、リビングだったら、ベッドルームだったらどういう使い方なのか。もし、スピーカではなくウェアラブルデバイスのような形だったら、音声はどこまで助けてくれるんだろうということを模索しています。

 結局、音声デバイスってただのコマンドマシーンなんですよ。要求すれば答えてくれますが、それ以上でもそれ以下でもない。これをもっともっとアクティブにしていくには、デバイス側からの発話が必要です。つまり、ルールベースとコマンドがハイブリッドでなければいけないんです。なので、Clovaはハイブリッド型で設計していて、ここが差別化のポイントになると思います。

Clovaはハイブリッド型で設計している
Clovaはハイブリッド型で設計している

 心地よい距離でパートナーとしてそばに置いておきたいと思われるには、コミュニケーションが重要ですし、そこには表現力も必要になると思います。もしかしたら、いろいろな“人格”があるべきなのかもしれません。実は(音声認識は)ここの戦いなんじゃないかと思っています。搭載されているレコメンデーションの精度については、どれだけデータを学習させ続けるかということなので、最終的には各社それほど変わらなくなっていくはずです。

――夏に発売するAI搭載スピーカ「WAVE」では何ができるのでしょう。

舛田氏 : 日韓で少し違ってきます。NAVER側が持っているサービスは韓国版WAVEにつながりますし、日本ではLINEが提供するサービスの一部がつながります。(メッセージアプリの)LINEは当然、使えるようにします。あとは音楽やニュースなど、まさにベーシックなサービスですね。WAVEに関していうとショーケースというか、まずはIoTデバイスのプロトタイプとして開発しています。なので、夏に発売するWAVEは、かなりオーソドックスなものになると思います。これをベースに、さまざまなパートナーと、それぞれのデバイスに必要なコンテンツやサービスを出していくマイルストーンになります。恐らく、2018年ごろからいろいろなデバイスが出てくると思います。

AI搭載スピーカ「WAVE」
AI搭載スピーカ「WAVE」

――WAVEはいくらで販売するのでしょうか。

出澤氏 : 良い質問ですね(笑)。

舛田氏 : (最新の)iPhoneのような値段ではないですよ。そこまで手が届かないものにはしません。ただ、いままさにどういうビジネスモデルにすべきかを考えているところです。