多面体F

集会報告、読書記録、観劇記録などの「ときどき日記」

母親の手料理 代々木・志乃ぶ

2013年10月29日 | 居酒屋・銭湯紹介
志乃ぶは、代々木駅から山手線に沿って渋谷方向に坂を下り路地を右に入ったところにある。入口付近に4人掛けのテーブル2つ、奥の右手が6席のカウンター、左手が2人掛けテーブル席2つだけの小さな店である。「志乃ぶ」という店名やのれんのかかった入口の様子から、いかにも高級小料理屋という感じがする。しかし道路に置かれた立て看板には、さんま塩焼(900円)、銀ダラ西京焼(900円)などと、定食のメニューが書かれている。
はじめて訪れたのは2―3年前の正月明けだった。ネットで「代々木で一番の店」というような書き込みを見つけたのがきっかけだった。カウンターにはずらりと常連さんが陣取って盛り上がっていたが、なぜか自然に迎え入れてもらえた。店を出るときには縁起物の春の七草をおみやげにいただいた。一見客にまで渡すのかと感激し、以来誕生日などことあるごとに通っている。

スタッフは「熟年」女性2人。ママさんは鹿児島出身、ただし鹿児島市内ではなく空港の近くということなので、霧島や加治木の近くだろうか。東京オリンピックより前、中学生のときに上京した。独身のときは大田区池上にいて電機会社で働いていた。結婚して代々木に越した。そして二十数年前、駅からすぐの代々木会館2階に店を出した。「定食屋をやりたかった」のだそうだ。梅なか、海燕、やきとり七福、紀州 津軽などの同業者がいた。

代々木会館にいまも残るかんばん
ところがビルの建て替えで立退き命令を受け、いまから10年前の12月に現在のビル1階に転居した(ただし代々木会館は2013年10月現在1階で営業している店があるせいか、いまも建っている。)。なおママはいまは渋谷からバスで通勤している。
もう一人はママより3歳上で5月生まれの夏ちゃん。かつてママが住んでいた代々木の同じマンションのフロア違いに住んでいた。高田馬場早稲田口の居酒屋で長年働いていたとのこと。ママさんに声をかけられこの店で働くことになった。
ママさんは築地の場内市場に通って魚を仕入れている。魚がうまいのは当然だが、キンピラのごぼうやほうれんそうなど野菜もうまい。野菜は市場に出入りしている方から直接仕入れている。

この日わたしが注文したのはカジキまぐろの煮つけと焼きナスだった。夜の8時ごろでも定食があるらしくびっくりしたが、隣の女性はサバの味噌煮定食と冷やしトマトを注文していた。たいへんおいしそうにみえた。この店はさすが定食屋をやりたくてはじめた店だけある。そしてごはんがおいしい。夜の8時近くになっても定食を食べられるし、大きくて温かいおにぎりがメニューにある。さすが定食屋を志しただけある。そういえばビルの袖かんばんは「家庭料理 志乃ぶ」になっていた。
その他、冷や奴400円、厚揚げ焼き500円、ニラ玉とじ600円、茄子のしぎ焼600円など。焼酎は、イモが伊佐大泉、麦がいいちこ。伊佐大泉(大山酒造)は鹿児島北部の伊佐、いいちこ(三和酒類)は大分県宇佐の酒、どちらも九州の酒である。

毎年9月に鳩森八幡の祭礼が催され、代々木の駅前にはちょうちんが並ぶ。だいたい駅周辺の古い店が出すことが多いのだと思う。その左上に志乃ぶのちょうちん3つ並んでいた。2段目に日本共産党のちょうちんが5つ出ていたには少し驚いた。地元に愛され、地元に溶け込むことを目指しているのだろう。 

今後の抱負を聞くと、細身のママさんは、とりあえず70までガンバろうとのこと、それで大丈夫なら80あるいは、もっと先もやろうと元気に語った。

電話: 03-3379-5848
住所:東京都渋谷区代々木1-21-12 ガイヤビル 1F
営業: 11:30~15:00 17:00~22:30 土日祝休
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