おら~、ぶ~ちゃんです。
この間のブログでの ポんちゃん怒る を補足します。
先日閣議決定された原子力損害賠償支援法案の前に、もともと在る原子力損害の賠償に関する法律(原賠法)をさらっておきます。
この中では簡単に言うと、無過失でも原子力事業者がすべての損害を賠償する責任を負う旨定めています。
つまり東電に過失が無くても原発事故の損害に対して東電自身が賠償する責任がありますよ、と言っています。
ただし、ご存じのように、損害が異常に巨大な天災地変によって生じた時には免責となる、とも謳っています。
にゃ~んだ文句あっかっ
さて今回の原発事故が、この免責に該当するかどうかがいろいろと言われています。
事故当初、東電や保安院は自己の責任回避のため、やたらと地震、津波を想定外と強調していました。
これらつまりは、原賠法の免責に当ると言うことを東電と国とが、メディアを通じて早々に世論作りを行ったと見ることができるでしょう。
そこで今回のケースが免責に当たるかどうか考えて見ると、
津波について言うと、過去に大津波が起こっていたことが5年ほど前には確認されていました。
実際に東電はこの大津波の対策を行うよう、ある研究者から指摘もされています。
であるならば、東電は電源喪失に対してのバックアップ措置を講じなければならないのです。
ゆえに今回の彼らの言うところの想定外の巨大地震及び巨大津波は、異常に巨大な天災地変には該当しないと言えます。
仮に該当するにしても、東電による回避可能性が十分に存在した可能性があり、東電が原賠法上免責になることはあり得ないのです。
このことは、東電が有責を前提とする原賠法に基づいて、国に支援要請したことからも明らかです。
ここでもう一つ、ニュースなどで1,200億円と言う数字を耳にしたことがあると思います。
これは地震による事故賠償には政府補償契約が締結されていて、上限を1,200億円として国による補償給付がなされると言うものです。
これを超える部分について東電が責任を負い、実際上は資産の限度で賠償することを前提に、残る賠償責任に対して国が必要な援助を行うと定めています。
つまり、1,200億円は出してあげるよ、でもそこから先は東電が売れる物全てを売って弁償しな、で足りなきゃ後は国が必要に応じて面倒みるよ、と言うことです。
この中には、東電の責任を縮減したり、債務超過にさせないよう支援すると言ったことは趣旨に含まれていません。
つまり、原発事故に対しての損害賠償は、国の援助よりもまず東電資産による負担が優先されなければならないのです。
ここで言う東電の負担とは、株主、債権者、経営者、料金負担者などのステークホルダーによる負担を言います。
考えられる賠償負担とは、株式の100%減資、債権放棄、経営陣の退陣(可能性として資産の差し押さえ)と電力料金の値上げと言うことになります。
では国の監督下にあった以上、国も責任を負う(援助する)べきだと言う話になると思います。
心情的には経産省、保安院も東電も一蓮托生のように思えますが、原賠法の解釈によれば
国の賠償責任は、法令上、担当公務員(保安院)が具体的な福島第一の危険性を認識していたにもかかわらず、
東電が取ろうとしていた安全対策措置を阻止したような場合に限られる、と言うことで国は賠償責任者には成りえないのです。
たいくつだよ~ぶ~ちゃん
そこで今回閣議決定した原子力損害賠償支援機構法案をみてみると。
同法案は、原発を保有するすべての電力会社に「相互扶助」という形で,新たに作られる支援機構への負担金を求めています。
この負担金を中心に、政府は東電に交付国債によりる拠出を行います。
これは機構が東電の求めに応じ、必要な時に必要な額だけ現金を東電に支払うと言うものです。
つまり東電は賠償支払いに必要な額だけ,交付国債を現金化できると言うことなのです。
当然政府としては発行時に全額を予算化しなくてよいので、国のバランスシートを棄損することはありません。
さらに言うならば、政府は全額を負担金で賄うことも考えているかも知れません。
政府にとって国民負担つまり税金(増税)による拠出は、国民のコンセンサスを得にくく、そればかりか支持率の低下につながるからです。
ならば、負担金の増額、つまり電力料金の大幅値上げを行った方が都合が良いのです。
さらに驚くことに、10日付け日経によると東電発表では、この交付国債によって東電に支払われる現金は、交付金と言う形で特別利益となるとのこと。
つまりP/L上では賠償補償による支払は特別損失となり、同額を特別利益で賄える、プラスマイナス0と言う神業的仕組みなのです。
東電の賠償支払額が膨らんでも(現時点で2兆円まで、こんなのはいくらでも上限は上げられる)絶対に債務超過にはならない、東電は痛くも痒くも無いと言うわけです。
この法案の言うところは、東電の現形態の存続と、東電の株主、債権者等を保護することが前提となっているのです。
結果として、株主、社債権者、一般債権者、特にメガバンクや大企業の利益は守られ、
同時に、東電の経営陣、電力事業者、監督官庁(官僚)の既得権益はしっかり守られていると言うことなのです。
つまりは、銀行、大法人などのステークホルダーの利益を護持し、引き換えに国民と原発事故に何の関わりも無い他電力管内の料金負担者、
さらに原発事故の直接の被害者である人たちへ、電力料金の大幅値上げと言う形で負担を押し付けるのです。
地域独占ゆえの選択肢の無かった利用者の犠牲の下に、株主や債権者そして経営陣等を先に守るのは全くの不公平と言わざるを得ません。
さらに言うならば、この「相互扶助」制度は、すでに起こってしまった事故の後始末に関して、事故の防止可能性の無かった赤の他人を巻き添えにするもので、
他の電力事業者の株主の財産権を侵害し、かつ納税者の利益を不当に侵害するものなのです。
よって、この法案は国民の側に立ったものでは無く、政、官、業の電力利権死守の側に立ったもので、
東電を絶対に債務超過(破綻)にさせないための物である、と見ることができます。
国民の一人として、許しがたい法案だと考えます。
(ちがった、おら~市民権の無いぶ~ちゃんだった)
*
債務超過=破綻とは必ずしも同じではありません。
東電に関しては賠償金額が莫大となることが明らかなので普通ならば債務超過になります。
その場合東電の保有する資産の額では到底賄いきれない、ということで破綻させるのです。
あ~ぁ、あたま痒い~ ボリボリ
東電を破産(会社更生法)させても、事業の停止を意味するものでは有りません。
政府が債務保証等を通じて電力安定供給に責任を持つ限り、電力の安定供給に支障が生じると言うことは絶対無いのです。
政、官、業による電力利権を崩すことが、新しい日本の夜明けとなるはずです。
その為には資本主義の原則に従って、東電の法的破綻処理を行うことがまず必要なのです。
そしてそうすることが、被災した地方と住民の救済(補償)のスタートラインに立ったことを意味するのです。
以上のことを、これからの原発の有り方を考える上での参考にして下さればと思います。
いろいろ調べてみての個人的な考えです。
間違っている所もあると思います。
ぶ~ちゃんの一人(一匹)言でした。