記事「傾圧不安定波のイメージ」では、傾圧不安定波の形成について取り上げました。これは温帯低気圧の発達メカニズムとして重要な理論として知られています。ここで「傾圧」とは、簡単に言えば「等圧面が傾く」性質です。
一方、等圧面が傾かない場合を「順圧」と言います。傾圧大気と順圧大気の詳しい定義は専門書に譲るとして、両者の取り扱いの大きな違いは、現象の構造を「立体的(3次元)に考える」か「平面的(2次元)に考えるか」です。
傾圧大気は、「水平方向」に広がる等圧面が「鉛直方向」に傾くので、立体的(3次元的)に考える必要があります。しかし、順圧大気の場合は、等圧面が「水平方向」に広がるだけで「鉛直流は発生しない」ので、水平方向の平面的(2次元的)に考えることが出来ます。
今、一層の平面的な大気層を考えてみます。判りやすくするために、真っ直ぐに分割する線を引いてみます(但し、仕切りは設けません)。
この分割された左右の両側で同じ流れとなっていれば、この大気層はそのままの状態(流れ)を維持し続けます。
一方、左右の両側の流れが異なれば、両者の境界付近で流れの乱れを生じます。この乱れが小さいものであれば、復元力が働くため、流れの乱れは抑えられ、バランスが保たれます(安定)。
しかし、この乱れが大きくなるにつれて、境界線上では渦度を生じます。この渦度が強められるにつれて、流れのバランスが崩れ、乱れが増幅していきます(不安定)。
この乱れが増幅すると、やがて渦列や波動を生じます。例えば、JPCZ(日本海寒帯気団収束帯)上に生じるメソスケールの渦列やロスビー波などが挙げられます。
ここからは東西に並ぶ渦列を例に、ロスビー波の西進を考えてみたいと思います。
次の図の様に、正または負の相対渦度(ζ>0、ζ<0)を持つ渦が東西方向に交互に並ぶ渦列を考えてみます。ここで、緑の線は波動を表しています。正の渦(ζ>0)は波動の下(南)に凸となる位相(トラフ)に相当する一方、負の渦(ζ<0)は波動の上(北)に凸となる位相(リッジ)に相当しています。
記事「ベータ効果のイメージ」では、「ベータ効果」と「絶対渦度の保存則」の考え方を紹介しました。この記事は、地球自転に伴う台風の北上効果を例に挙げましたが、同じ考え方で、上記の渦列を分解して考えてみます。
上の図において、波動の「トラフ位相」は「ζが正に変化」する所へ進み、波動の「リッジ位相」は「ζが負に変化」する所へ進もうとします(渦度の移流)。つまり、次の図の様に位相がシフトするのです。
この結果、波動(渦列)は全体的に西向き(図では左向き)に移動して行きます。
一方、等圧面が傾かない場合を「順圧」と言います。傾圧大気と順圧大気の詳しい定義は専門書に譲るとして、両者の取り扱いの大きな違いは、現象の構造を「立体的(3次元)に考える」か「平面的(2次元)に考えるか」です。
傾圧大気は、「水平方向」に広がる等圧面が「鉛直方向」に傾くので、立体的(3次元的)に考える必要があります。しかし、順圧大気の場合は、等圧面が「水平方向」に広がるだけで「鉛直流は発生しない」ので、水平方向の平面的(2次元的)に考えることが出来ます。
今、一層の平面的な大気層を考えてみます。判りやすくするために、真っ直ぐに分割する線を引いてみます(但し、仕切りは設けません)。
この分割された左右の両側で同じ流れとなっていれば、この大気層はそのままの状態(流れ)を維持し続けます。
一方、左右の両側の流れが異なれば、両者の境界付近で流れの乱れを生じます。この乱れが小さいものであれば、復元力が働くため、流れの乱れは抑えられ、バランスが保たれます(安定)。
しかし、この乱れが大きくなるにつれて、境界線上では渦度を生じます。この渦度が強められるにつれて、流れのバランスが崩れ、乱れが増幅していきます(不安定)。
この乱れが増幅すると、やがて渦列や波動を生じます。例えば、JPCZ(日本海寒帯気団収束帯)上に生じるメソスケールの渦列やロスビー波などが挙げられます。
ここからは東西に並ぶ渦列を例に、ロスビー波の西進を考えてみたいと思います。
次の図の様に、正または負の相対渦度(ζ>0、ζ<0)を持つ渦が東西方向に交互に並ぶ渦列を考えてみます。ここで、緑の線は波動を表しています。正の渦(ζ>0)は波動の下(南)に凸となる位相(トラフ)に相当する一方、負の渦(ζ<0)は波動の上(北)に凸となる位相(リッジ)に相当しています。
記事「ベータ効果のイメージ」では、「ベータ効果」と「絶対渦度の保存則」の考え方を紹介しました。この記事は、地球自転に伴う台風の北上効果を例に挙げましたが、同じ考え方で、上記の渦列を分解して考えてみます。
上の図において、波動の「トラフ位相」は「ζが正に変化」する所へ進み、波動の「リッジ位相」は「ζが負に変化」する所へ進もうとします(渦度の移流)。つまり、次の図の様に位相がシフトするのです。
この結果、波動(渦列)は全体的に西向き(図では左向き)に移動して行きます。
前回は、歯車を使って説明されており、その発想自体がなかったですし、他の本でも見たことがありません。
ありがとうございます。
気象学(をはじめ物理学全般)に出てくる数式は、何らかの「物理的な意味」を持っています。
数式それ自体が意味を持つ場合もあれば、導出過程の出発点において何らかの思想が反映されている場合もあります。
私自身、もともとは異分野の専門だったこともあり、未だに理解のために試行錯誤を繰り返しております。
そのような中で、ふとした瞬間に浮かんだイメージを落書きしていたものがあったので、それをブログに出してみました。
気まぐれで書いているブログですが、皆様の理解のお役に立てれば幸いです。
順圧が水平、傾圧が鉛直の乱れというのは、文字では理解していてもイメージが出来ていなかったのですが、前回のと今回のとでイメージを掴むことができました。
またロスビー波の西進についても、他のところでも似た感じの図があっても、どういうことかピンときていませんでした。しかし、この記事のおかげでイメージを掴むことができました。
疑問に思っていたことが、次々と理解できて嬉しいです。ありがとうございます。
これからも勉強、頑張ってください。