一昨日、熊取町文化振興連絡協議会(以下、熊取町文振連)の社会見学会が催されたので参加してきました。
熊取町文振連とは、公民館等において、自主的な学習や文化活動を行っているクラブで組織している協議会であり、毎年この時期に社会見学会を実施しているものです。
今年は京都府南丹市の「美山かやぶきの里」と「京都御所」を見学するプログラムが組まれました。
今日から数回に分けてご紹介します。
「美山かやぶきの里」
『カーブを曲がると昔話の世界が広がります。「むかし、むかし、あるところに・・・」と語り出したくなるような日本の原風景がここにあります』
美山かやぶきの里のパンフレットはこのような表現で始まっています。
ここ美山町内には数多くの茅葺き民家が現存しており、北集落 知井地区には50戸のうち38棟がかやぶきの屋根だそうです。
伝統的技法による建築物群を含めた歴史的景観の保存度への評価も高く、平成5年(1993年)12月に国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されました。
1年を通じ、日本の原風景に出会える場所として、美山町を代表する観光スポットとして人気を博しているということです。
・かやぶきの里(北集落 知井地区)のメイン通りです。手前の畑には蕎麦の白い花が満開でした。
この集落は中世には丹波国桑田郡弓削荘に属し、林業を主産業とする山村集落でした。
集落の中を通る街道は、いわゆる鯖街道の一つとされ、京都と若狭の中間地であり、多くの旅人が行き来していました。
そういった背景から、この集落の建築や生活様式はいろいろな地方の影響を受けたといわれています。
・入母屋造りの屋根の上には特徴の一つである千木と雪割りが乗っています。
一番上の横木が雪割りで、それを支えている手前と奥に飛び出ている木が千木です。
ボランティアガイドによれば、現在のかやぶき家屋は寛政8年(1796年)建築のものが最古ですが、19世紀中頃迄の建物が18戸と江戸時代に建てられたものが多く、北山型民家に分類される特徴をよく伝えているのだそうです。
そして、かやぶき屋根と言えば岐阜県の白川郷が有名ですが、白川郷と当地の大きな違いは次のようです。
1.入母屋造り
2.板壁、建具は板戸
3.千木と雪割りを乗せている。千木は「馬のり」とも呼ばれ、雪割りは「烏どまり」とも呼ばれている。
4.あげにわ
なお、萱葺きの厚さは60センチほどです。
集落内の住宅は山麓の傾斜地を整地して建てられており、宅地正面には石垣が築かれています。
現存している茅葺き屋根の家屋の多くが江戸時代中頃から末期にかけて建てられたものであり、「北山型民家」に分類される。
丈の高い入母屋造の屋根と神社の千木のような飾りが特色となっています。
・萱の葺き替えです。上部の新しいところが今年吹き替えたところで、その下の部分は数年先に葺き替えるのだそうです。
この集落で最古のかやぶき屋根の建物で、220年ほど前の建物だそうです。
「放水銃」
萱ぶきと言うことで、火災に弱いことから、各家庭では放水銃を設置しています。
普段は屋根つきの囲いの中にありますが、火災発生時には、この囲い屋根は自動で開き、放水銃から放水する仕組みになっています。
この設備が集落の各家庭の全てに備え付けられており、火災から茅葺き建物を守っているのだそうです。