テレビや新聞でニュースを見ていると難しい言葉が出てくることがあります。
先日のことです。
「合成の誤謬」と言う初めて聞く言葉がTVニュースで語られていました。
「ごうせいのごびゅう」と読みますが、皆さまははご存知でしたか?
「合成の誤謬」は経済用語で、その意味は、正確には「ミクロの視点では合理的な行動であっても、それが合成されたマクロの世界では、必ずしも良くない結果が生じてしまうこと」を指して使われる言葉です。
難しいですね。読んだだけでは理解できないと思いますが、平たく言うと、個人個人にとっては良いことも、全員が同じことをすると反対に悪い結果を生むことがある、と言うことです。
「合成の誤謬の具体例」
・具体的に説明すると、「合成の誤謬」の代表的なもに、「貯蓄」があります。
景気が悪化すると、人々は節約を進めて貯蓄を増やそうとします。この当たり前の行動が、経済全体の貯金額を減らす恐れがあるのです。
節約は消費の低迷を招き、企業の生産活動の低下を招き、給与の引き下げや解雇等のリストラなどへと波及します。
これによって景気がさらに悪化し、貯金を取り崩す人が増加してしまうのです。
貯蓄を増やそうとする個人の合理的な行動は、逆に貯蓄を減らすという反対の事態を招いてしまうのです。
・合成の誤謬の説明(ネットより)
・企業経営にも合成の誤謬が存在します。
景気が悪化すると企業は設備投資を減らしたり、リストラを断行したりします。
こうした行動が一斉に行われると、景気の悪化を加速させてしまうのです。
個々の企業としては当然の経営判断ですが、これが集まると企業経営を一層困難にしてしまうのです。
・合成の誤謬は、値下げ競争にも当てはまります。
商品が売れなければ、価格を下げて売り上げアップを図る手法を取り入れますが、これが値下げの連鎖反応を引き起こし、経済全体をデフレスパイラルに陥れることになるのです。
「対策」
このような「合成の誤謬」を個人や会社が防ぐのは困難です。
・そこで、政府が公共事業の増加などでお金を使い、その財源は国債発行による借金でまかなうという方法をとります。
節約どころか、借金してまでお金を使うという、個人や企業とは正反対の「誤った行動」ですが、政府があえて行うことで、合成の誤謬による経済全体のダメージを小さくしようとするのです。
・また、貯蓄をせずお金を使わせるために、政府が税制上の優遇措置などを実施することも、合成の誤謬を回避する方法の一つです。
「家電エコポイント」や「エコカー減税」はその一例なのです。
今年10月には消費税が10%に引き上げられます。
個人個人が財布のひもを固く締めて消費を抑えれば「合成の誤謬」に陥りかねません。
嘗て、松下電器の創業者・松下幸之助氏がお話されていたのを覚えていますが、”景気が悪い時こそ、私たちのような余裕のある人は積極的に個人消費をすべきだ”、と、このような内容のお話をされていました。
10月以降、消費税が引き上げられると消費の低迷が懸念されます、
高所得者で余裕のある方には、今まで通り、否、それ以上に個人消費を続けて欲しいものですね。