ネリネの花
先日、池坊中央研修学院研究員の三浦先生が生けたネリネの花が読売新聞に載っていました。
「華やぎと繊細さ」というタイトルで仕上げられた作品で、下記の画像がそれでした。
作品の解説には下記のように記されていました。
奥行きを出すため緩やかにカーブした横長の花器を側面を前にして置きました。合わせたのはスチールグラス。繊細な雰囲気で、折り曲げていることで空間に変化も生まれました。白いヒペリカムの実とグレーのヒューケラの葉を足元に交互に挿してリズム感も表現しています。と解説していました。
・新聞に載っていた三浦先生の作品です。
そのネリネが我が家で咲いたのでご紹介することにしました。
ネリネ は南アフリカ原産のヒガンバナ科の花で、主にイギリスで品種改良され、日本へは大正時代の末期に渡来しました。
姿形がヒガンバナに似ていることもあって、日本では、従来あまり人気がなかったようですが、近年になって切り花や鉢物として注目されるようになりました。
ネリネはキラキラ輝いてとても美しく、光沢感のある放射状の花弁とすらりと伸びた茎が華やかな印象を与える花です。
・鉢植えの我が家のネリネです。 長く伸びているのは蕾包で、この中には15~16個の蕾が詰まっています。
ネリネの花弁は日の光を受けてキラキラと宝石のように輝くことから、欧米では「ダイヤモンドリリー」の名前で親しまれており、育種が盛んに行われているそうです。
・ダイヤモンドリリーの名前の由来となっている花弁の輝きです。この花びらの白くなっているところがそれです。
太陽の光を受けると現れます。
ネリネはヒガンバナ科なので彼岸花によく似ていますが、葉が出てくる時期が違います。
彼岸花は花が咲いた後に葉が出ていますが、ネリネは花と葉を同時に見ることができます。
・これが秋に咲いた彼岸花です。花の形や咲き方はネリネとよく似ています。
我が家の花の色は赤ですが、ほかにもピンク、朱色などがあり、1本の茎に花径5~6㎝の花が15~16輪つきます。
「伝説」
ネリネという花名はギリシャ神話の中でも美しさで有名な海の女神「ネレイデス」からきています。
ギリシャ神話に登場する水の妖精ネレイデスは、エーゲ海の底に住んでいる父ネレウスの宮殿で、いつも黄金の椅子に座り、歌ったり、踊ったり、糸をつむいだりするなど、地上の人間の”箱入り娘”と同じような優雅な日々を送る生活をしていました。
ネレイデスとは、海の神ネーレーウスの娘たちのことです。
この内の一人であるアムピトリーテーは海の大王であるポセイドンの妻になりますが、とても美しい女性だったと伝えられています。
ギリシャ神話でエチオペア王の妃である“女王カシオペアは「我が娘のアンドロメダはネレイデスより美しい」といって、ポセイドンを怒らせる”というエピソードがありますが、華やかできらきら輝くネリネは、それくらい圧倒的な美しさに見えるということのようです。
なお、この神話からネリネの花言葉が「箱入り娘」となりました。