名古屋するめクラブ

~名古屋発くうみるあそぶ~

浅田次郎著 「王妃の館」

2007年06月05日 00時33分30秒 | 読む

小説はあまり読みません。

理由は自分でもはっきりわかりませんが、映画も、
「ファンタジーもの」は苦手ということと何か関係があるのかもしれません。

面白いから読んでみたら?と貸して頂いたので読んでみました。

浅田次郎著 「王妃の館」。



王妃の館〈上〉
集英社
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王妃の館〈下〉
集英社
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初浅田作品でした。

ストーリーは、フランスの高級ホテルを使用時間を分けて
それぞれ2組のツアー客に提供するというドタバタ劇。

物語の終盤。

元定時制高校教師が事業の失敗を苦に自殺を企んでいた老夫婦に、
終戦直前、自己の意思に反し国のために命を落とした
海軍飛行予科練習生の戦友を思いながらこう語りかける。

「人の命はおもちゃじゃない。
だからどんな事情があっても自分の命をおもちゃにするな。
もっとジタバタしろ。迷惑をかけろ。
卑怯者でいいじゃないか。腰抜けでもいいじゃないか。
人間は木石ではない。生き物だ。
だから呼吸をしてこそ値打ちがある。
死んだ英雄よりも生きている乞食の方がましだよ。
私たちは人間という生き物なんだからね。
生きようとしなければいけないんだ。」

ともすると陳腐になりがちなこんなセリフも、浅田マジックにかかると、
涙なしで読むことのできない感動の一言として渋く輝きます。

これが噂の、『晩成苦労人・人情作家』浅田次郎の醍醐味か。

笑い、泣きました。

 

今日の1曲: Everyday I Write the Book BY Elvis Costello

Punch the Clock
Elvis Costello & the Attractions
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