おもしろい!
フェリーニ、トリュフォーやゴダールの作品知識がないと楽しめない
って聞いてたけど、知識なくても十分おもしろかったです。
さりげない心象描写、さりげないユーモア、もろ好み。
2人の男と1人の女の三角関係に、監督の「映画論」が
ちりばめられた、もう一つの「ニューシネマパラダイス」って感じ。
その主人公の3人は、
マルティーノ(寡黙な映画オタクでトリノ映画博物館の夜警、
ハンバーガー嫌いで太極拳とりんごが好き)、
アマンダ(博物館近くのハンバーガーショップ店員)、
アンジェロ(アマンダの恋人で車泥棒)。
3人の恋愛ドタバタ劇から繰り広げられる、映画論付き究極のラブコメディ。
(但し、タイトルのようなロマンチック性はないので甘~いものを期待しないように)
博物館の屋根の掃除夫が、友マルティーノに映画持論をぶつけます。
「オレは映画が嫌いなんだ。映画が見せる現実は自分が考える現実の
本当の姿とは違うんだ。赤裸々な現実じゃないんだよ。」
ところどころ流れるナレーションは、一々もっともで押し付けがましくない。
「感情の数学。永遠に足し引きを続けてゆき、総数は変わらぬまま、
常に新しい組み合わせを生み出す。映画も唯一の物語を語る。
それでも人々は驚きを期待し続ける。」
と、掃除夫への反論的映画論でクライマックスへ。
結末では、アンジェロが街の暴漢に撃たれ命を落とします。
限りなくさりげない感じで。
タバコを手に最後の一服、アンジェロが人生に潔い決別をする
のは、いつか乗りたいと言っていたジャガーのショールーム前。
その瞬間、荷台に大きく「より安全な街を」と書かれた
街の宣伝トラックが目の前を通り過ぎる。
「物語は灰のようなもの。ふわりと気ままな風に舞い浮かぶ。」
トリノ、24時からの恋人たち ハピネット・ピクチャーズ このアイテムの詳細を見る |
「トリノ 24時からの恋人たち」イタリア映画(92分)2004年
(原題:「Dopo Mezzanotte」(After midnight)
監督: ダヴィデ・フェラーリオ