三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

もういっかい、減築って?

2006年01月04日 06時59分46秒 | Weblog

きのうのブログ、わかりにくかったと思います。
すいません、正月ぼけしているようですね。で、若干補足します。
減築って、ようするに床面積を現状よりも減らすリフォームのことです。
高齢化社会を迎えて、夫婦ふたりだけの暮らし、っていうのが
一般的に多くなってきています。
実はそれに似合った間取り・使い勝手の住宅は案外少ないのです。
大きい家に少ない家族が暮らす、ということから、
掃除からして大変だし、エネルギー消費・光熱費などの面で不利になっているのです。
考えてみれば当たり前で、以前は子育て優先でとにかく個室の数が必要だったので
何LDKというものが、住宅の機能性をあらわす意味に使われたりしていましたよね。
間違っても、気積(立体的な大きさを表す)で何立米の家、なんていいません。
(ほんとうは性能的には、これが一番わかりやすいとは思うのですが)
一般表記自体が、個室の数を最優先した基準になっていた。
まぁ、それはそれで素晴らしいわかりやすさだったですけど
いまや、そういう概念で住宅を表すのが、意味を持たなくなってきています。

こうした流れというのは住宅リフォーム取材でよくわかります。
個室数優先だったので居間や台所といった
生活の基本部分の広さはその分、不足している。
こうした日常生活の豊かさに直結するスペースを拡大するタイプが
リフォームの間取り変更では一般的にたいへん多い形なんですね。
しかし35坪前後の床面積の住宅で4人家族想定という「平均的な」住宅では、
そうした改修を行ってもなお、床面積が広いというケースも多い。
極端に言えば、ほとんど2階は使わなくなったから、1階だけでいいわ、
というリフォーム需要というのもあるんです。
実際に秋田県で、こうしたリフォームを取材しました。
ここではいわゆる「減築」まではしませんでしたが、事実上、同じことをしました。
老夫婦だけの暮らしなので、断熱向上・住み心地の改善を1階だけ部分的に行って
2階はほとんど倉庫にしてしまったということなのです。
このケースでは2階建てが、使いやすい平屋に変更になったようなモノ。
間取り的には和室1部屋と、大きなリビングキッチンダイニング。
約22~3坪で1LDKの広さになったわけです。
こういう老夫婦にとって、使い勝手・間取りがほとんど変わらず
しかも暖かくリフォームされるっていうのは、すごく居心地がいい。
いくらいい家でも、使い勝手・間取りが変わるっていうのはストレスになるんですね。
高齢者住宅のモデルっぽいリフォームだなぁ、と思ったのでした。

こうした点から考えて、リフォームのときに「減築」するっていうのも
これから広がっていく動きなのかも知れません。
そういう意味合いから、朝日新聞の記事に注目したという次第だったのです。
わたしたちは戸建て住宅がメインなので、集合住宅は考えが及びませんでしたが
記事では、10階建てを7階建てにするみたいな、集合住宅の「減築」まで触れられていました。
そういう都市の再構築に近いことまで含めて、
どうもこれから、テーマが動き出すということなのでしょうか、ね。

<写真は仙台空港近くの海辺から蔵王方向をみたもの。
記事とはあんまり関係ありません>
コメント
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