数年前、親しくさせていただいている建築家・圓山彬雄さんから
面白い家があるから見に来ないかい、というお誘いを受けました。
こういう場合、あんまり期待を裏切られたことはないので、
速攻で見に行ったのが、この家。
非常にわかりやすい、コンセプトの明快な家で
いきなり階段を上って、2階になっている玄関を入り
まっすぐ居間にはいると、写真右側の丸窓。
昔からわたし、木の上で暮らすというのは夢でした。
小さいとき、原始の札幌の自然景観をそのまま遺す北大植物園に面した家で
毎日林を見ながら育ったことが関係しているのか、と。
でもこういう願望って、けっこう普遍的なんだそうで
類人猿以来、人間の本能に近い願望なのかも知れません。
な、ものですから、この光景を見て
そのまんま、やんけ~
って、あっけにとられてしばし呆然とたたずんでおりました。
この丸窓、大きくて通常の床から天井までの
まるで「生活のスクリーン」とでも呼べる大迫力の大きさ。
丸窓から、隣接して繁茂する木々の四季変化が居間に写り込むんですね。
まるで、本当に木の上で暮らし続けている気分。
って、本当に木の上で暮らすのは、大変ですよね(笑)。だから
木の上で暮らす喜びプラス、現代的生活の快適さもあるんですね。
この家、明快なコンセプトを実現するために
居間の大空間すっぽり、コルゲートパイプと呼ばれる
まるでトンネルの中にいるような感じで構成しています。
で、天井には一面に吹きつけの断熱材が施されて、そのまま素地あらわし。
丸窓とこの丸天井で、より求心的に木々の移ろいに視線が向かいます・・・。
若葉の頃には、まさに耐えられない美しい光景を
日々、居間から楽しめるのだそうです。
もちろん葉の落ちた冬枯れから、夏の圧倒的な緑まで
四季折々、木の表情とともに暮らせます。
よく建築家のみなさんから聞きますが、
人工的な風景って、3日見続けると飽きます、
一方で、自然の変化は絶対に飽きが来ることはありませんよ、ってね。
まぁ当たり前だと思います。
むかし植物園の木々を一日中、見続けてきたわたし、激しく同感。
ちなみにこの家は、市街化調整区域に面して建てられているので、
この丸窓からの景色は変わることがないのだそうです。
すっごい、ぜいたくだなぁ、って羨ましかった家です。
みなさん、どうですかね?