五十嵐淳さんという北海道の建築家が旬になってきた感じです。
2~3年前、吉岡賞という建築家の新人賞とも呼ぶべき賞をかれは取った。
最近は北海道内での建築で、イタリアの建築国際賞も受賞したということ。
リプランとかれはゆかりが深い。
札幌で建築を学んだあと、郷里の佐呂間町にもどってから
実家の建築会社の社屋を設計。
その作品の写真をリプランに投稿してきた。
佐呂間というのは、北海道北見市の北・1時間くらいの小さな街です。
常識的に考えて、設計で身を立てていくほど仕事があるとは思えない土地柄。
誰もがそう考える街から、かれはわたしたちにメッセージを送ってきたのですね。
その建物の写真には、でもやっぱり若い創造意欲がビシビシと感じられて
こっちの取材日程の都合が付いた時期に行きますよ、撮影に。
と、返事することにした。
なんか、久しぶりに元気のいい若いひとを見る感じがしたのですね。
建物は白の内装を基調として、光と陰の陰影感を体感するような建物でしたが
たいへん清々しい印象を持ったのを覚えています。
それ以来、こちらも積極的に北海道内の地方取材を活発化させたこともあって
ちょこちょこと取材する機会が増えました。
地方でもがんばって自分の思う道で活躍の場を作り出そうという、かれの意欲を
多くの人が共有できれば、いいことじゃないかと考えたのです。
建築による、地域おこしとまではいえないまでも
そうした活動を応援したい、ということですね。
しかし、こっちをそういう気持ちにさせるだけの熱さが、かれにはあったと思います。
吉岡賞を受賞したあと、会う機会があって話したら
東京での授賞式で、同年代の設計者から言われたというある言葉を聞きました。
若い人らしい、強い向上心をその言葉のやりとりから感じたものです。
いま、かれが札幌などで講演すると、わかい設計希望のひとが
たくさん集まってくるのだそうです。会場がフルハウスになった、と聞きました。
さらに、すこしずつ発表してきた住宅の作品性の高さが多くのユーザーの
注文を呼んできているようで、各地でかれの設計した建物が建ってきています。
写真の住宅は、最近リプランで掲載された釧路市近郊の住宅。
地域に根ざしたメディアって、こういう楽しい出会いがありますね。
これからも、こっちもワクワクするような、若い人、
こころざしを感じるような人と、出会いたいものだと思っています。