三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

こどもと父の勉強空間

2006年12月09日 06時35分01秒 | Weblog

札幌市内で見学した住宅内部の様子です。
この家では、上下逆転プランが採用され、居間が2階にあります。
写真では天井面に木組みがあらわれていますが、
この場所は1階です。隣地との関係から1階の右側は壁一面の壁面書棚。
2階の居間には大きな開口部が設けられていて、
ちょうど天井からさんさんと明るい日射しが降り注いできます。
で、この場所は勉強コーナーとしてあるのです。
普通、勉強のための空間といえば、個室として子ども部屋を想像しますが、
この家ではふたりの子どもさんのコーナーを左右にして
真ん中にはおとうさんの書斎が兼用になっています。
まぁ、図書館の一角でみんなで勉強するような雰囲気ですね。

そのうえ、天井が開放されて、居間にいるおかあさんも
その様子が一体的に感じられる空間になっています。
その辺に配慮してか、テレビはありませんでした。
上で、おかあさんや家族が大音量でテレビなんかをかけっぱなしにしている中で
下で、しこしこと勉強するっていうのは、まぁ、ありえないですしね。
なので、このスタイル、テレビと、子どもの勉強、家族関係
すべてをふくめて、大変ユニークな生活スタイルをあらわしているもの。
親の側で、かなりライフスタイルを絞り込んでいる結果とも言えますね。
テレビの代わりに、ムーディな音楽は背景として流されていまして、
落ち着いた生活の旋律、とも思えました。
さて、くだんの勉強コーナー。
まず、勉強するのに孤立感が際だつ個室スタイルに比べて、
こういうスタイルだと、ある程度、家族の会話を楽しみながら
勉強を「一緒に」している、という感じが出てくるように思いました。
その分、普通のお父さんにはかなりプレッシャーになるのではないかと思いますが
お父さんは職住一体の設計事務所が仕事なので、
普段から、机に向かって仕事していく職業である、という要素があって
こういうスタイルでも、とくにイヤではないということのようです。
逆に考えれば、こどもといっしょに暮らせる人生時間なんて
案外限られているのですから、その時間を
きわめて有効に楽しむために、楽しいライフスタイル演出であるのかも知れません。
子どもが巣立ってからでも、この空間はお父さんの書斎として
ずっと活用することも出来るでしょうから、
ライフスタイルに柔軟に対応しているとも言えましょう。

たいへん変わった間取り配置の例でしたが、
さて、みなさん、こういうスタイル、いかが思われますか?
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする