ことしは冬の終わりに山形県米沢に行って参りました。
福島県会津はかなりの積雪地とは聞いておりましたが、
それ以上というのが、米沢ということ、実感いたしました。
写真は取材した住宅の平屋部分の屋根を見たところ。
ごらんのように、板金の合わせ目を大きく立ち上げています。
また、端部ではこれも頑丈な金属棒状のものがしっかり固定されています。
北海道は札幌もけっこうな豪雪地だと思うのですが、
って、年間積雪が6mを超すほど。
ですが、雪止めを付けるといっても、こんなごついことは少ない。
というよりも、そもそも雪止めを付けること自体少ない。
米沢の年間積雪を聞いたら、札幌とほぼ同水準。
では、この違いはなんだろうとなるのですが、
端的に言って、雪質の違いなんですね。
北海道の雪は、気温が低いこともあって
サラサラとした、言わば「乾いた軽い雪」。
それに対して、海からもやや離れた盆地的な気候の米沢は
重く湿った雪が、しんしんと降る感じのようなんですね。
そうした雪は重たい積雪荷重となって屋根に負担をかけ、
そして、端部では落雪時、事故を引き起こしやすいのですね。
基本的には屋根傾斜などを工夫し、
「雪を落とす」工夫を屋根の構造で考える。
この家でも、主要部では交差型の屋根を採用していて、冬の終わりながら、
雪はまったく屋根にありませんでした。
一方で、平屋部分で落とす敷地的余裕が確保できない場合には、
このように重厚な雪止めを工夫することになるのですね。
さらにこの写真の雪止めには、米沢特有の季節風を上手に活かした
風洞的な工夫も施されていて、
基本的には風で端部の雪が溜まらないような工夫もされていました。
ちょっとした風穴を方位を考えて工夫するということ。
設計施工の米住建設さんにこの点、興味を持ったので、
札幌での「雪庇対策」についてのご意見を伺ったのですが、
なかなか、ユニークなご意見をいただきました。
こんど、札幌の建築業者さんに実験を勧めてみたいなと思いました。
ということで、雪国同士のアイデア大会になった(笑)
米沢での取材時のひとこまでした。