三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

北方日本の暖房の歴史_7

2010年01月12日 06時21分55秒 | Weblog




北海道では、ほかの地域とはまったく違う暖房の発展を見せていた。
北東北の一部で、北海道に追随するような動きが見られたけれど、
それ以外ではまったく暖房が進化する、という動きは少なかった。
たぶん、セントラルヒーティングと言っても
関東以南では、聞いた人が理解できなかったものと思います。
そういう状況だったところに
各電力会社が、「オール電化」住宅ということを唱えだした。
いまから20数年前ということになります。
家中のエネルギーを全部電気でまかないましょう、
とくに北海道では「電気で暖房しましょう」ということがポイントだった。
こういうキャンペーンを行ったのは、
世界的にもきわめて珍しかったのではないかと思います。
北欧の一部で電気による暖房は行われていたとはいえ、
それは豊富な北海石油のお陰で国内の電気料金が大変低コストで入手できる、
というような条件があってのことであって、
日本のような電気コスト構成の中での提案は珍しいものだったと思います。

こういう提案は、
しかし、住宅性能の向上が基本的な背景としてあったもの。
高断熱高気密になれば、室内空気を必要とする燃焼系機器では
室内に水分を結果させることもあり、確かに合理性はあった。
また、社会全体のエネルギー利用として考えたら、
昼間の必要電力量にあわせた配電システムを維持するためには
たとえ、利用されなくても深夜にも電気を通電させていなければならない。
その社会的な無駄になっている「余剰電力」を
生活利用する、というのは大きな意味での無駄をなくすることにつながる。
どうせなら利用した方が社会にとって価値がある、
っていうような側面もあったのです。

まぁ、とにかく北海道では
「え、電気で暖房するの? 大丈夫なのかなぁ」
というのが一般的な反応だったと思います。
それはコストの心配が一番大きなものだったといえるでしょう。
深夜電力利用普及のために、ドリーム8(北海道電力)などの
低価格な電力メニューが用意され、大きくPRされていきました。
さらにこのようなエネルギーの転換のために
地域密着型企業の典型とも言える電力会社が、一生懸命にセールスする、
というような意味合いでも、画期的だったと思います。
それぞれの地域で、地域で住宅を造っている企業に対して
営業活動を行っていったワケですね。

写真は蓄熱暖房器ですが、
安価な深夜電力を夜間に通電させて
それを内部のレンガ蓄熱体に熱として貯えておいて、
ゆっくりと室内に暖房熱源として放熱していくのです。
また同時に温水器で給湯をまかない、
キッチンではクッキングヒーターで調理する、という3点セット。
まぁ、北海道や東北ではそういうセットだったのですが、
それ以南の地域では、とくに暖房のないオール電化というものだったようです。
北海道の常識では「え、なにそれ」というところですが(笑)
しかしそれだけ北海道の住宅が性能進化してきていることも表していた。
住宅ビルダーの方にしてみると、
燃焼系のエネルギーを使っている分には
たとえ、性能の良くない住宅を造っても
暖房費はかさむけれど、まぁ購入時点ではそれほど問題にならない、
そういうふうにも逃げ道があった(?)けれど、
オール電化と言うことになったら、電気機器の暖房熱量には
はっきりと計算値としての限界が設定されるわけで、
そういう意味で、明確に住宅性能のそのままがユーザーにも知れ渡ることになる、
っていうようなプレッシャーがあったものと思います。
従って、北海道の住宅性能の向上には、
このオール電化という考え方は、相乗的な効果を持っていたといえるでしょうね。
しかし、当初のキャンペーンでは
「未来の住宅のかたち」というような訴求が多くて
モデルハウスを一般の人が見に行って、
「あんな高額なのでは、ウチには無理」と感じていたという声も聞きました(笑)。
そんな反省から、徐々にコスト的にも安心だというキャンペーンに
方針転換が行われ、浸透していったと思います。

さて、きのう坊主が名古屋合宿から帰還。
相当に疲れ切っている感じで、まぁ、修学旅行みたいなもので
きっと合宿先で寝不足に陥っているものと思います(笑)。
疲れていて何が怖かったのか、父の寝床の隣に来て
爆睡モードであります(笑)。





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