壁の厚みと言えば、現代では断熱材の厚みにストレートに向かいますが、
下の写真は、そのまんまでして、先日見学した300mm断熱住宅の壁面の様子です。
断熱材を300mmも入れるとするといろいろ施工方法は考えなければならない。
最近のブログでも、そういう施工中事例を紹介しましたが、
ここでも、壁の充填厚みは100mmで、内壁側に50mmを付加断熱し、
さらに外側に150mm相当を付加断熱しているわけです。
このようになってくると、窓のサッシをどこに入れるかが論議の対象になる。
いろいろな施工事例があって、その地域的な違い、
結果生じる窓の下枠面の利用法などによっていくつかのバリエーションも生まれます。
一方、これも先日見学した石巻市北上町の「萱」専門店の外壁です。
北上川河口地域では、萱が豊富に採取できるので
古来、住宅建材としての萱生産が盛んでした。
その萱ですが、戦後以降の合理化構法の普及に伴って
どんどん出荷が激減していったのだとか。
そういう流れに抗して、なんとか技術の衰退を防ぎ、
マーケットの減少を食い止めたいという願いを持って活動しています。
最近では屋根建材として、活用しようという動きも出てきているのだそうです。
断熱技術の側からは、合理性はなかなか見いだせないと思うのですが、
しかし、技術の側面からは、北方圏の家づくりの側でも危惧せざるを得ません。
この萱の壁の施工技術は日本には残っていなくて
施工に当たっては、北欧から技術者に来てもらったと言うこと。
北欧では、萱の壁の家は高級住宅の定番手法なのだそうです。
まさに価値観の違いといえましょうか。
そんなふたつながらの思いを抱きながら、
同じように「暖かさ」を求めた結果なのだと考えれば、
その違いと共通性に、面白いなぁと思う次第であります。