三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

安芸宮島厳島神社

2013年11月17日 05時36分44秒 | Weblog



やはり建築に関連した仕事をしているので
こういった機会には一度は見ておかねばと言うことで
厳島神社、謹んで見学させていただきました。
こういういかにも、という観光地化したところは、やや苦手なんですが、
喰わずに過ごすわけにも行かない(笑)、というところでしょうか。

行った時間はちょうど干潮から徐々に潮が満ちてくる時間帯。
潮が干上がって、ランドマークの海上の鳥居の根元まで露出している。
自然木の根の部分をそのままに見せている足下も確認できました。
そういった干上がった状態から、時間の経過と共に
潮がふたたび本殿に向かって満ちていく。
わかっていても、やはりなかなかに劇的。
こういう自然の摂理をそのままに建築の意匠に活かしきるという
建築文化創造における感受性が、
日本人の心性に強く訴えかけ続けてきたのでしょうね。
それはやはり永遠に継続していくことは明らかなわけで、
建築文化として、すばらしい勝利だと思います。
いまでは、このように観光地化されていますが、
平清盛の創建時、この社殿で千僧供養の読経が読み上げられる中、
御座船に天皇を乗せて社殿に船着きさせた清盛の政治的演出を想起すると、
この建築は確かに文化のひとつの極点を垣間見せたのでしょう。
建築だけで文化の核になった、そして主としてデザインの希少性が
最大の訴求ポイントになった、という意味でも
日本人にここまでなにかを刷り込んだ建築もなかったのでしょう。

観察としては、
やはり潮をデザインしているわけですから、水平ラインの強調が特徴。
満潮と干潮の間での見え方の変化に力点が置かれたのでしょう。
背景としての神体である弥山とのバランス上からも
水平ラインでデザインされるのには、調和性がありますね。
還暦を過ぎてからはじめて見させていただいたのですが、
単純にその構想力に感嘆させられていました。
写真は、祀られている神さまのひとつの御座所のようです。
こういうキッチュな色使い、それと木組みの単純で簡素な美しさの調和は
日本人的に似合っている、というか、こういう文化的建築自体が
日本人であるということに大きく影響してきたのでしょうね。
設計者・施工者のことに深く思いをいたさせられた次第です。
コメント
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