
きのう朝、前から一度は行ってみたかった、
輻射熱暖房器メーカー・ピーエスさんの岩手県の工場オフィスを訪問。
ピーエスさんのこと、その歴史などを詳しくは知らなかったのですが、
なんとなく単なる暖房器メーカーというよりも、
その企業のめざすものの静かな開示という姿勢が、その生みだした建築に
明瞭に浮き出ているという点で、あるリスペクトを持って受け止めていました。
北海道北広島の工場、ゲストハウス見学でもその思いを強くしていました。
東北岩手、盛岡近郊の松尾八幡平ICを下りてすぐにこの建物は立地している。
「PS」という企業ロゴだけの入り口サインを抜けていった森の中に
めざす建築はたたずんでいました。
先日、新建築住宅特集さんが特集された「環境住宅特集」に
やや違和感を感じ、ちょっと申し訳なかったけれど異議申し立てしたが、
やはり環境建築というもののありようとしては、
その佇まいにおいて、ある静寂性、静かな主張性というような要因が
欠かせない属性・感性なのではないかと思い続けていた次第。
声高に主張すると言うよりも、できるだけ主張しない
シンプルな構成要素、選び抜かれた簡潔さこそが好ましく思える。
その選択においては、それこそコンセプトに忠実で正直であること、
そのようなものとして「環境」という建築はあるべきなのでは。
喧噪の中で、これ見よがしに騒ぎ立てるようなものとしてではなく、
静粛な主張性こそがふさわしいのではないかという思い。
ピーエスさんの企業のありよう自体に感じてきたことが、
そういった思いのベースのような気がして、訪ねてみたくなったのかも。
聞いたら、ピーエスさんの輻射暖房は、
1972年札幌冬季オリンピックの時に、主に北欧からの選手たちの
暖房器に対しての感受性の申し立てがあって、普及が進んだとのこと。
それまでの暴力的な暖房、空気暖房のけたたましさに対する違和感。
より静寂で、人間を「暖める」思想への志向性ということでしょう。
北国人としては、この部分には深く共感を持つものです。
簡素な素材たちで構成された空間、建築に、
共感とともに、深く癒されるなつかしさを感じた次第であります。