三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

【平屋+大空間・個室減 「人口減少期型」間取り】

2018年08月27日 06時29分26秒 | Weblog


写真は先日の旭川地域での住宅事例・芦野組さんの施工物件から。
今回の見学では、間取り的に対照的な事例が見られていた。
ひとつはこの家が典型的ですが、平屋で間取り的には個室数が少なく、
主要居室である居間・台所・食堂が大空間志向の家が多いタイプ。
注文住宅の最近の間取りの主要な傾向をそのまま表現している。
一方でモデルハウス的な住宅事例では、2階建てで
2階に個室群をたくさん配置してあるという従来型が多数派。
まぁ、どちらかといえばファミリー層を想定した間取りということが鮮明。
この2つの傾向が両極化という様相でいま、家づくりがあると感じます。

考えてみればいまの日本の「家族」のカタチが
そのまま間取り選択の傾向を反映しているということでしょうね。
団塊ジュニア世代までの家づくりがほぼ終焉してきて、
戸建て注文住宅を依頼する層が2極化していることが、
こういう結果になってきているということでしょう。
9月発売のReplan北海道の特集も「平屋の間取り」特集ですが、
より特徴的な注文住宅の傾向として、表題のような志向が顕著。
平屋が大きな流れとして顕在化してきた7−8年前くらいから、
小家族化傾向が顕著になってきていた。
また、子どもが2人いたとしても、そのためにわざわざ個室を持たせることに
懐疑的な考え方が増えてきていると実感します。
それは高齢化とも関連していて、個室が必要な子育て期間は
たかだか10年程度であり、むしろ子育て後は使われない個室が
ただただ物置になっていくことに否定的なひとが増えてきた傾向がある。
大体50-60代で子育て期間が終わり、高齢化で子育て後の人生が
そこから先、人生が80-90年と伸びるようになり、
そういう20-30年の居住環境として、平屋環境の方がより永続的だと
考えられるようになって来たことが大きい。
そういった心理の背中を押すように、子育て期でも個室では勉強に集中できず、
むしろ「成績のいい子」にはリビングの一隅といった環境の方が適合している
という社会的教育効果アナウンスが行き届き始めた。
(これが真実かどうか、都市伝説かも知れないけれど。)
こういう変化はしかし、大手メーカーなどの大多数向け間取りとしての
「モデルハウス」的な作りようではメジャーにはなりえない。
一般的多数派対応のそれらではこれまで同様の「無難な間取り」として
個室群をそなえたモデルハウスが建てられる傾向にある。
建て売り的な作り方と、注文住宅的作り方の大きな傾向分化でしょうか。
こういう傾向は既存住宅流通でのニーズとウオンツの
ミスマッチ的なことにも繋がっていく可能性が高いですね。要注目。
コメント
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