京都出張での見学先のひとつであります。
歴史民俗博物館の日本建築の特集企画では
「日本の木造住宅の原型」とされています。
室町時代後期、ということなのですが、
なぜ、室町期というのは今日に至るさまざまな文化伝統が
そこからスタートしているのか、本当に不思議だなぁと思います。
まぁだいたい500~600年前ということになりますね。
いわゆる「書院造り」や、茶室の初期形態とかが
この建物に集中的に実現されていて、
四畳半という間取りも、ここから始まっているのだとか。
創建者は足利義政ですが、
この足利さんという氏族は、京都という街に大きな文化足跡を残した。
氏族の中興の祖、というか、創業者といった方がふさわしいのか、
足利尊氏という人物から始まって
本当は下野の国の足利市が出身地でありながら、
すっかり京都文化の精緻を体現したような人物を輩出する。
さかのぼれば、八幡太郎義家に出自がある家系であって
そうした武家貴族としての素養を意識していた家系ということなのか。
それまでの貴族層の藤原氏の残した文化遺産と比較して
自省的というか、内省的というか、
現世利益的な部分よりも、精神性に重きを置いたような文化を感じる。
鎌倉という武家権力の剥き出しのリアリズムを踏まえて
王朝文化とは異なる独自性の高い文化を生み出した。
そういったあたり、
近世にまで連なってくる「個人主義」的な萌芽を
感じさせるのかも知れないと思います。
日本人はそこから、戦国に突入しての
信長・秀吉・家康という3大スターのほうに目を奪われてしまうけれど、
生活文化という側面からは、
むしろこの足利将軍家の感受性の方をこそ、
もっと研究した方がいいのではないかと思われますね。
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