三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

【小さくはじめる「最小限オフグリッド」生活】

2017年05月22日 07時50分50秒 | Weblog


みなさん、オフグリッドってご存知ですか?
系統の電気とは関係なく、電気の自給自足をめざす試みですね。
電気を自分の宅内で発電するのには太陽光発電が考えられるので、
こっちの方は、比較的に一般化してきている。
ただし自然の太陽光に依存するエネルギー創出なので、
天候条件などでどうしても不安定な供給状況になる。
そうするとそのエネルギーを「蓄えておく」装置、蓄電池が必要になる。
同時に太陽光発電からの電力を家庭内で利用する転換装置も必要になる。
これらの設備をフルユニットを導入すれば、
系統の電力に依存することなく、いわば電気の独立自営が可能になる。
考え方はこのような単純なことですが、
大きな壁はそれら設備機器のためのコスト上昇と、性能問題。
解決されていくためには、現状では蓄電池の機能向上・流通問題がある。
現実にそういった志向性を持った動きは札幌でもありますが、
アメリカ製の蓄電池製品の輸入が遅れに遅れたりしている。
そもそもリチウムイオン電池の寿命問題もある。
蓄電のトータル回数で上限がまだまだ発展余地が大きいとされている。
・・・っていうことで、なかなか進展を見せないのですが、
きのう札幌市内で見学会が行われていた建築家・櫻井百子さん関与住宅で
「災害時電力自給」を実現させた、いわば「最小限オフグリッド」住宅を見学。

これは外壁側面に取り付けた0.2kwの太陽光発電で発電させた電気を
床下のコンバーター・蓄電池に貯め、家庭用に転換させて
災害時にもっとも不可欠な暖房装置、この家の場合にはペレットストーブへの
供給電力として利用させるというもの。
もちろん、通常時にも家庭用の電力として照明などには利用する。
200Wということなので、どんどん使える、あるいは家庭中の電力を賄うということは
パワー的にできない相談なのですが、
このように災害時の安全確保という考え方は、現実的で
受け入れやすいし、コストもごく安価に済みそうなのであります。
東日本大震災時にも、ほかの熱源による暖房機器はあっても、
起動には電気が不可欠であって、結局利用開始は電力の供給回復頼みだった。
少なくとも生命維持のためには、災害時に暖房用エネルギー確保が必要。
そういう意味で最小限オフグリッドという、こうした提案は有意義。
もちろん断熱がしっかりしていて、発生させる熱の保持が容易であることとの
合わせ技で実現することではありますが、
北海道での現在の住宅性能レベルであれば、容易に実現させられるでしょう。
ありそうでなかった、面白く有意義な住宅提案だと思いました。
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