三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

【クロマニョン人にみる豊かで美しい人生】

2017年05月21日 08時49分12秒 | Weblog
なかなか東京への出張機会がなく、観に行けないかなと思っていた
クロマニョン人の遺した世界遺産「ラスコー壁画」展、
なんと、東京から移動して仙台の「東北歴史博物館」で行われている情報を得た。
それがちょうど東北フォーラムの年度総会開催時期と重なっていた。
ということで、楽しみにしていたのであります。
この展覧会については、期待感を拙ブログでも一度書きましたが、
その見学感想についても書きたいと思った次第です。

まず、クロマニョン人についての研究の最新成果ではかれらは
現生人類ホモサピエンスの仲間とされているようです。
「違う人類が見ていた芸術世界」というように前回書いたのですが、
その点は大きく認識、理解を改めさせられました。
現代のわれわれからすると、遠い先祖の一部にあたるとされている。
このラスコーもアルタミラも、かれらクロマニョン人が遺した人類の芸術遺産。
顔料は日本画と同様に鉱物などの粉末。
高所への描画についてはハシゴなども開発されていたに相違ないとされていた。
さらに洞窟は、その入り口近くが居住用に利用されただけで、
地中奥深くまでの壁画描画という行為は、
相当に目的的な営為だと言うことも展示から教えられました。
そして作業用のパレットや、描画手法でも繊細な方法がとられていた。
そういった道具の開発についても、種族的な才能を感じさせられる。
同時並行的に生きていたネアンデルタール人と比較して、
食料としての動物獲得についての方法も、
より合理的で知的な先端的技術を持ってあたっている様子が示されていた。
しかしそれにしても、
洞窟の奥深くまで、光源となる動物油分を利用したランプを携行して
多くの動物相を描画し続けていた、その起動力はなんだったのか?
美的センスに優れていたかれらは、ネックレスなどの装身具も
その遺体痕跡などから発見されたりしている。
非常に高度の狩猟技術、食文化を持ち、
こうした洞窟壁画のような芸術を理解し、愛好していたという、
まことに豊かな人生を謳歌していた様子に、はげしく揺さぶられます。
どうも相当に高いレベルで、かれらクロマニョン人は「人生を楽しんでいた」。

かれらは4万数千年から1万年前くらいまで生きていた。
アフリカ起源のホモサピエンスの一種族で、
ヨーロッパの西部方面に至ってこのラスコーなどの周辺を生存地域としていた。
一方、わたしたちユーラシアの東岸から日本列島方面に進出してきた種族は
「航海」というあらたな領域でのフロンティアになっていったとされた。
行って帰ってくるのに、船でしか行けない2点間移動記録が発見されてきている。
ちょうど、人類史という領域に知的興奮を感じているなかで、
動物としてかなりおかしな存在である現在のわれわれが持っているものが、
結局、多くのこうした先人たちのたゆまぬ営為に起源している。
ほかの動物、もっとも近縁である霊長類との明確な違いである
われわれがいま当然としている知的能力や当たり前の技術精神について
その動機と方法開発を現生人類は日々生み出し続けてきたのだという
ごく当然で科学的な理解に至ります。
クロマニョンの人々の観念のなかの美的世界に圧倒されていました。
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