三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

マンション騒音問題

2007年10月04日 06時21分58秒 | リプラン&事業




マンション上階に住む幼児の足音は騒音、36万支払い命令
10月3日20時28分配信 読売新聞

 マンションの上の階に住む幼児の騒ぐ音がうるさく、精神的苦痛を受けたとして、東京都内の男性が、幼児の父親に240万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が3日、東京地裁であった。
 中村也寸志裁判官は「幼児の騒ぐ音は我慢できる限度を超えていた」として、36万円の支払いを命じた。
 判決によると、男性は東京都板橋区のマンション1階に住んでいたが、2004年4月ごろに幼児の家族が2階に引っ越してきて以降、幼児が室内を走り回ったり跳びはねたりする音に悩まされるようになった。抗議をしても、幼児の父親は「文句があるなら建物に言ってくれ」などと取り合わなかったため、男性は騒音計などで音を測り、提訴。幼児の家族は05年11月に転居した。


わたしどもの「住宅クレーム 110番」 http://npo.house110.com/
は、きのう、用があって調べてみたら
直近の半年間ほどでも投稿数は合計533件。
とにかく切れ目なく次々といろいろな悩み事の相談が寄せられます。
もう、10年近くやっているワケなんですが、
始めた当初は雑誌のスタンスが戸建て住宅中心なので、
住宅性能のことを中心に、ユーザーの方たちの悩み相談というものを
基本的には考えていたのです。
ところがいざ、ふたを開けてみたら、どんどん来るのは
「マンションの騒音問題」が圧倒的に多数なんですね。
一時は投稿テーマの2~3割を占めている時期もありました。

考えてみれば、日本の住宅密集地・首都圏や関西など
大都市圏地域では、住宅といえばむしろマンションの方が多数派で
戸建て住宅というのは少数派であるという現実もあります。
で、そのなかでまったく語られない問題がこの騒音問題なのだと知らされた次第。
マンションの情報って、一般的には販売時点の広告情報くらいで、
切実になる、「住んでからの情報」っていうものはほとんど出てこない。
たまに触れられることがあっても、生活騒音の問題なので複雑多岐。
建築的なことから、むしろ近隣関係・人間関係に属するテーマまで幅広く、
一概に論じることも出来ない問題なんですね。
そういうなかで、司法的判断が出ていたので、気になっています。

個別のケースについて、個別の判断があり得ると思うので、
この事例について裁判所がこのように判断した、というところだろうと思います。
これだけを取り上げて、こどもが普通に歩き回るのを禁止する、
というように拡大解釈して捉えてはならない。
こういう判断が出ると、近隣関係の問題が
大量に裁判で争われるようになるのではないか、という懸念も持ちます。
基本的には公共的共同住宅としての近隣受忍限度と、
拡大する一方の個人主義的な権利主張とのバランスの問題なので、
線引きを単純化することは出来ないと思います。

なのですが、さて、こういう判例が出て、どうなりますか、
少々気になったもので、取り上げた次第です。みなさん、いかがお考えでしょうね?
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