三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

ふしぎな郷愁感

2006年12月11日 05時50分43秒 | Weblog

表題に書いたような、縁もゆかりもない場所なのに、なぜか郷愁を感じる
っていうような感覚に捉えられる風景の場所がありまして
いろいろと想像して楽しんでいます。
この写真の場所は、青森県の黒石市の山側でして、
八甲田山系を縦断する道に面しています。
前にも一度、通りかかったことがありまして、
つい先日、1ヶ月ほど前にも通りかかりました。
まぁ、なんの変哲もないような、こんなような風景でして、
前面に川が流れていて、その先に段々状の畑地や田んぼが連なっていて
里山の背景として、低い山が連なっている。
というような、それこそどこにでもあると思える風景ですね。

SF的な想像力はあんまり興味がないし、
べつに疲れ切っていての「既視体験」というものでもないのは
2度目にも、やはり同様な印象を抱いたことから、明らかです。
というようなことで、考えてみると
どうも、3才まで過ごしていたという幼少期のわたしが
見ていたに違いなさそうな光景と似ていそうだ、ということに気づいた次第。
わたしは北海道栗沢町と岩見沢市の狭間の川縁の農家住宅で育ったのです。
3才といっても、実際には、丸2年間
こういう風景とよく似た土地に建っていた家で過ごしていたようです。
まぁ、そういう時期ですから、定かな記憶があるわけでもありません。
いまは高速で行けば、そう時間もかからないので、
折に触れて通りかかることがある生地の風景と符合する印象。
といっても、普段はそんなに気に留めているわけでもないのに、
そういう記憶を、この写真の場所は思い起こさせるわけですね。

最近よく、「住む場所」っていうことについて考えます。
現代の都市生活って、縁もゆかりもない土地に、
上下水道だとか、交通の利便性だとか、という住宅地としての機能条件で
希望したり、やむを得ずっていうようなことで
多くの人が住んでいるっていうのが一般的。
あんまり土地とのつながりや連関性というのは、希薄になっています。
まぁ、古民家とか取材していても、そういう側面はまるでないとはいえませんが、
しかし、多くの場合は、根がらみで土地と生活基盤は密接に結びついていた。
苦労や、大変さもあったけれど、土地への愛着・執着はあった。
一方、現代では、定年後の団塊世代の「移住」の話題が
政府や行政機関の主要なテーマとして浮かび上がるほどに
土地との連関性が薄い暮らし方が、一般化した。
今、住んでいるだろう場所に、愛着などあろうはずがない、
というような前提が、こうした団塊世代移住には視点として存在する。

そのようにしか考えられない地域に、
長い人生時間を関わらせるのが、現代生活なのかなぁ、と思う次第。
地縁というようなものは存在せず、
定年退職という職縁関係の消滅という時点で、居住地域などという部分は
どうとでも変えられるのだ、ということなのですね。
中国なんかでは、国家の政策変更で容赦なく庶民から
土地を奪っていくのが平気で行われているそうですが、
多少の違いはあっても、似たようなものとは言えるのでしょうか。

考えてみれば、こういうのって、すごいことですよね。
その家を巣立った子ども世代からすれば、
かけがえのない生家の記憶を消し去ることでもありますね。
確かにこれだけ、移動の手段が高速化し、
情報の重要性の方が増してきている社会では、
土地へのこだわり、とかという部分は意味がなくなっていくものなのかも知れません。
しかし、本来的な意味で言えば、
家は、住宅は、その本質的な部分で、それが建っている敷地から
無縁ではいられない、というもののような気がします。
さてこのあたり、どのようになっていくのか、思いが沸いてくる部分です。
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日本的ガーデニング装置

2006年12月10日 06時41分04秒 | Weblog

写真は福島県白河市での取材先でのもの。
古い城下町としての敷地割りの土地に建つ住宅で、
間口が狭く、そのかわり敷地の一番奥には、代々丹誠を込めてきた
四季変化をたっぷり楽しめ、見事な樹種が咲き誇る。みごとな庭があります。
生活を楽しむ、という装置としての庭の存在が、この家の最大ポイント。
その土地で現代的な暮らしが可能なように建て替えることで
代々の住まい手である祖先の暮らしの息づかいまで
感じられるような空間に抱かれて、過ごされているのです。

このテーマに沿って、敷地の奥のほうに寄せられた玄関から、庭にむかって
ウッドデッキが広く取られています。
隣家との間にはごらんのように目隠しとしての収納が装置されています。
これは庭作業をいろいろに展開するウッドデッキのために
庭仕事などの道具やら、その他、家の中にはしまい込めないものを
保管しておくための、外物置的な装置。
しかし、そのデザインでも、しっかりとライフスタイルをわきまえて
扉を目透かし状に、ルーバーのように造作していました。
ちょうど、庭で採れた、とうがらしの乾燥に使われていましたが、
こういう扉デザインにしておけば、物置内部に確保するたっぷりの通気を
こうやって、外側でも吊り下げて使うことで利用できるのですね。
ルーバーって面白くて、デザイン的に見れば
普段の時はその中の収納物って、そうは気にしないが、
案外気をつけると、その中に仕舞ったものはおおまかに認識できる。
来訪者などは、その中のものなんて、ほとんど留意しない、
そんな「あいまいさ」をもたらせてくれるもののような気がします。
ここでは、そういう装置が実にうまく生かされているなと感じました。

ガーデニングって、一時期、英国風のスタイルとして
もてはやされたと思いますが、
日本の伝統的な生活装置のなかには、実に巧みな手法が
たくさんあり、また、日本の植栽に似合ってもいると感じます。
それにしても、こういう風情って、
いかにも日本的な季節感を醸してくれていて、
その土地での暮らしの味わいそのもの、という印象を持ちましたね。
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こどもと父の勉強空間

2006年12月09日 06時35分01秒 | Weblog

札幌市内で見学した住宅内部の様子です。
この家では、上下逆転プランが採用され、居間が2階にあります。
写真では天井面に木組みがあらわれていますが、
この場所は1階です。隣地との関係から1階の右側は壁一面の壁面書棚。
2階の居間には大きな開口部が設けられていて、
ちょうど天井からさんさんと明るい日射しが降り注いできます。
で、この場所は勉強コーナーとしてあるのです。
普通、勉強のための空間といえば、個室として子ども部屋を想像しますが、
この家ではふたりの子どもさんのコーナーを左右にして
真ん中にはおとうさんの書斎が兼用になっています。
まぁ、図書館の一角でみんなで勉強するような雰囲気ですね。

そのうえ、天井が開放されて、居間にいるおかあさんも
その様子が一体的に感じられる空間になっています。
その辺に配慮してか、テレビはありませんでした。
上で、おかあさんや家族が大音量でテレビなんかをかけっぱなしにしている中で
下で、しこしこと勉強するっていうのは、まぁ、ありえないですしね。
なので、このスタイル、テレビと、子どもの勉強、家族関係
すべてをふくめて、大変ユニークな生活スタイルをあらわしているもの。
親の側で、かなりライフスタイルを絞り込んでいる結果とも言えますね。
テレビの代わりに、ムーディな音楽は背景として流されていまして、
落ち着いた生活の旋律、とも思えました。
さて、くだんの勉強コーナー。
まず、勉強するのに孤立感が際だつ個室スタイルに比べて、
こういうスタイルだと、ある程度、家族の会話を楽しみながら
勉強を「一緒に」している、という感じが出てくるように思いました。
その分、普通のお父さんにはかなりプレッシャーになるのではないかと思いますが
お父さんは職住一体の設計事務所が仕事なので、
普段から、机に向かって仕事していく職業である、という要素があって
こういうスタイルでも、とくにイヤではないということのようです。
逆に考えれば、こどもといっしょに暮らせる人生時間なんて
案外限られているのですから、その時間を
きわめて有効に楽しむために、楽しいライフスタイル演出であるのかも知れません。
子どもが巣立ってからでも、この空間はお父さんの書斎として
ずっと活用することも出来るでしょうから、
ライフスタイルに柔軟に対応しているとも言えましょう。

たいへん変わった間取り配置の例でしたが、
さて、みなさん、こういうスタイル、いかが思われますか?
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帯広日帰り出張

2006年12月08日 05時38分10秒 | Weblog

ちょっと厳しいスケジュールになってしまって、
まぁしゃーない、行ってみるか!
ってことで、無謀な予定で動いてしまいました。
札幌帯広往復、約500km。
用件はアース21という、このブログでも何回か紹介している
工務店ネットワークの今年最後の会議への出席と一件訪問。
前日がどうしても外せない会議出席で夜まで札幌。
なので最初は、JR移動を考えまして、
前日、当日両方考えたのですが、
いずれにせよ、帯広からはレンタカーで移動しなければならないのです。
そうすると、今の時期って、レンタカー会社の営業開始時間が
なんと、早くて8:30からなんだとか。
会議は8:15からなので、都合1時間以上遅れるのは明白。
前日に何とか入っても、今度はレンタカー、終わる時間も夕方7時。
結局、なんも考えずに車で往復するしかないな、
と、朝4時半に家を出て、えっちらおっちら、走らせました。
行きは日勝峠頂上付近ですこし吹雪いた程度で
無事に会議にも間に合い、訪問先も片付けることが出来ましたが・・・
さて、帰りは十勝の平野部から吹雪き始めていまして、
日勝峠は視界不良のなか、おそるおそるの上り下り。
そこからも山間部はずっと吹雪模様の荒天続き。
今冬シーズン、はじめての長距離の走行でしたので、
夜、8時過ぎに家に帰り着いたときには、疲労困憊の体。
いやはや、なさけないような体力ダウンを実感いたしました。
まぁ、冬道でなければ、それほどでもないのですが、
刻一刻、状況が変化する冬道運転は、通常の走行の倍は疲れます。

きのうの会議については、webを使って報告も求められています、が、
やっぱり、疲れると考えも断片化してしまいます。
すこし頭と体を落ち着かせてからでないと、考えがまとまってきません。
でもたいへん有意義なお話がたくさん聞けて、
この会議、有益に参加させていただいています。
いつも、建築のいまの、ナマな問題・話題に触れることが出来るんですね。
ま、すこし体を休ませてから、一部をご報告いたします。
ふぅぅ、やれやれ。
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和デザインのツーバイフォー

2006年12月07日 04時19分11秒 | Weblog

とても大空間を実現させながら、
暖かくて、気密性がすぐれたツーバイフォーで和風という住宅を拝見。
和のしつらいが施されたアプローチ、玄関を入って、
見上げるばかりの大空間が高々と迎えてくれました。
これだけの大空間を在来木造で作るとすると、
相当大きな構造材が必要になってくるはず。
そういう意味では、ツーバイフォーで作ったというのは合理的な選択といえます。
在来では小屋組だけでも、たくさんの構造材があらわれてくるはずですから、
その点だけで考えても、ツーバイフォーのほうが合理的。
大空間で、ほんわかと暖かい室内環境も実現していて、
でも、天井にはなんと、葦簀(よしず)も張られている和の空間。
って、在来工法では、普通こういう仕上げは考えないようなデザイン。
全体としては和風の感じを持つのですが、
ちょっと違う、スケール感覚の違う和風、という感じでしょうか。
写真は2層分の吹き抜け天井空間を持つ2間続きの和室から
隣接しているリビングルームを見返したところ。
ちょっと不思議な感覚に襲われるようなインテリア空間です。

ビルダーさんに聞いたら、建て主さんの要望が和風住宅ということで、
ツーバイフォーを専門に作っているけれど、
在来工法でも積算してみたのだそうです。
そうすると、構造材だけでもかなりのコストがかかる計算になったので、
こういう和風ツーバイフォーフォーという住宅に
挑戦してみようということになったのだとか。
とくに玄関からすぐの2間続きの和室は確かに壮観。
天井は高々と10m近くあり、間延びしないようにと、
1階天井部分には木組み格子もデザイン的にあしらっています。
とてもデジカメでは全景を表現することが出来ません。
今度1月15日発売のリプラン東北版に掲載予定ですので、
興味をお持ちの方は、ぜひごらんください。
まぁ、買っていただくのは強制ではありません(笑)、って宣伝っぽいですけど(汗)。
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さて、根雪かなぁ?

2006年12月06日 05時53分45秒 | Weblog

ことしも師走の訪れから、はや6日。
札幌もすっかり冬景色が似合って参りました。
といっても、雪が降り始めてから、まだ1週間程度でしょうか?
北国に住んでいると、雪の降り方がその年ごとに違いがあって、
そういう自然との対話が、みんなの共有する関心事になっていると思います。
それはそうなりますよね、だって何日か地吹雪が続くようなときには
みんながお互いを気遣っていかなければ、過ごせない部分がある。
垣根や塀というようなものがあまり見られないのが
北海道の街並みのひとつの特徴でしたが、
それは、屋根からの落雪を溜めておくスペースがお互いに必要、という
側面が大きかったのです。
道路幅も、本州地域のような狭さでは、雪のことを考えたら
ちょっと降っただけで、すぐに交通がマヒしてしまうことから、
必要に迫られて、そのように都市計画がされたのだと思います。
札幌の何条何丁目、という地割りの地域では、
中通りの道路幅で8m、通常道路でも16mなんていう地割りになっています。
こういう都市計画に現代のわたしたちは感謝しなければなりません。
札幌が、現代都市として、交通インフラの面で他の日本の都市とは
比較にならないくらい車社会に見事に対応できているのは
こういう部分が大きいのですね。
昨年の秋田の大雪などでは、即、大交通マヒが日常化していました。
2車線道路が、そのようにまったく機能していなかった。
片側一車線になってしまえば、都市の機能としては致命的です。
ただまぁ、札幌でも最近はさすがに
中心部への車の集中で、冬場の渋滞が常態化してきてはいますけれど。

今年も余すところ、あと4週間ほど。
結局、いまのこの雪が根雪になりそうな雰囲気です。
だんだん、家のまわりのことには無頓着になってきておりまして
かろうじて、アオキのほうには薦被りをかぶせましたが、
ツツジには、雪の備えをしておりません(汗)。
でもツツジの下には、緑の下草もまだ見えております。
このまま、積もる雪が、断熱材の役目も果たすようなんですね。
だから、春になって雪が消えるとすぐに緑が甦ってくる。
この時期の北海道だから感じられる光景でしょうか。
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オーニングか、エアコンか

2006年12月05日 05時54分52秒 | Weblog

先日の宮城県石巻市近郊の住宅にて、オーニングを発見。
オーニングって、日射の制御には大変有効といわれるものです。
室内のカーテンなどでは、熱を取り入れてしまってから
伝導を少し緩和させる、くらいの効果しか期待できないのですが、
オーニングでは、強すぎる日射熱を遮るので、室内への伝導熱を抑えることが出来ます。
まぁ、エアコンをガンガン使うよりは省エネルギーであることは明確。
ところが、なかなかデザイン的に、取り入れるっていうビルダーさんは少ない。
エアコンの室外機は、しょううがないと考えるのに
どうしてなんでしょうかね。
それと、オーニングのメーカーなんかも、もっと工夫して
マンション用とか、ビル用とかいろいろ開発すべきなんでゃないでしょうか。
地球温暖化防止の、省エネルギーという面では、効果は高いと思われるのですが・・・。

北海道などの雪国では、積雪加重の問題もあるので、
普及しにくいと思いますが、
本州の温暖地域では、大いに地球温暖化対策にいいのではないでしょうかね。
コスト的には、確か、エアコンとほぼ同じくらいの負担になります。
このあたりが心理的に、エアコンならば暖房にも使える、という
心理を刺激して、2の足を踏ませるのかも知れませんね。
でも、この家でもそうでしたが、ウッドデッキが増えてきているので
それへの屋根かけ、と考えればコスト面でもけっこう有用性は高い。
大いに普及して欲しいオーニングって、
少し語呂かけにもなりますが、いかがなものでしょうかね。
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外を見る窓、開ける窓

2006年12月04日 05時27分44秒 | Weblog

高断熱高気密が一般的な家の作り方になって、
その重要性が増してくるのが、換気の必要性です。
そのために24時間計画換気が導入されるのですが、
窓の開閉の仕方なども、いろいろな工夫が凝らされるようになります。
日本の伝統的な窓の開閉の仕方といえば、引き違い窓が一般的ですが、
北方圏仕様では、低気密でとても似合わない。
金物を工夫した北欧製の回転窓などが使われるケースも増えてきます。
そして、そういうなかには、窓の機能をふたつに分けたようなタイプも
増えてきているんですね。
ごらんの窓は、高い天井空間で2枚の窓を上下に二つ並べるほどの大きさです。
そして、それぞれの左右に、
「換気用の開閉窓」がセットになっています。
こちらの窓は、網戸がセットアップされていて、
必要な時期、夏場などには常時開けはなしておくことが可能です。
回転式の窓(このケースで言えば、大きい窓自体が開けられるようになっている)
の場合には、いったん開けてから網戸をセットするひと手間が避けられません。
そういう面倒さが、この様式ではありません。
明確に、窓の用途がふたつに、
外を見るための窓と、外気のさわやかさを取り入れるための窓に
機能として分離しているのですね。

そのように機能としての明確さがあらわされた窓なのですが、
一方でインテリアの表情としてみたときには、
窓枠の幅広さ、というようにも見ることができます。
それが豊かな表情を見せる木質である、ということで、
堅牢性や、重厚感といった印象をもたらせてくれていると感じます。
そして、ほかの壁や床の素材・質感と合わせて、
いろいろな表情を持たせることが可能でしょうね。
木製窓は、たとえて言えば外の風景という絵の額縁。
その額縁のバラエティと考えれば、いろいろに変化があるのもいいもの。
やはり、プラスチックやアルミという素材よりは
木製の窓という方が、より質感に満ちた空間演出が可能でしょうね。
もちろん、性能的にも高いものです。
まぁ、塗装したりしなければならないという、メンテナンスの必要性はありますが、
家の表情に風格を与えてもくれます。
北方圏住宅らしい、ひとつの空間バリエーションだと思います。
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上りやすい階段

2006年12月03日 05時08分27秒 | Weblog

階段って、その家によっていろいろあります。
毎日のように取材している側からすると、
必然的に、上りやすい階段っていうことに興味を持つようになるもの。
写真は、つい先日ふたたび伺った、建築家・ヒココニシさんの自邸。
多くの住宅のプロのみなさんの見学会だったのですが、
この家の階段は、まちがいなく上りやすさ、折り紙を付けられます。
っていうことを言ったら、ちゃんと上がりの踏み段の高さや、
踏み板の寸法などをさっそくチェックした方もいました、
この家の場合、主要な居室は2階にある関係から、
とくに階段には入念な計画性が凝らされている、とも聞きました。
最後は寸法にまで至るわけですが、
まずは、左側のポリカーボネートの開口部からの採光がいい。
明るく、開放感に満ちているから、浮き立ってくる。
一本型で、すっきりとしたプロポーション。
デザイン的には、その明るい背景の中で、
厚い針葉樹合板の表面に渋い色合いで塗装仕上げしていて、
視覚や皮膚感覚にもここちよい。
また、踏み段の1段目が大きな床面になっていて、安心感をもたらす。
そのうえで、一本の野太くてシャープな鋼鉄が力強く支えてくれる。
踏み板はシャープな印象なんだけれど、板の厚みがけっこうなので、
これも繊細さと言うよりも、安心感を与えてくれている。
さらに聞いたら、踏み板の奥行きは通常よりも大きめにしているそうです。

こういうさまざまなディテールが動員されて、
使う側に、使いやすい階段、上りやすい階段、という印象を与えるのですね。
毎日毎日、体が叩き込まれるように使うものだから、
絶対に重要性が高いのです。
こういう部分、デリケートな感受性を持った作り手と巡り会いたいものですよね。
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汽車の旅

2006年12月02日 04時33分25秒 | Weblog

前の日に札幌で夕刻から会議があって、抜けられず
翌日1時には、青森県六ヶ所村に行かなければならない、
というスケジュールになりまして、
久しぶりに早朝、あさ7時からの列車による移動ということになりました。
北海道内での移動では、大体が車による移動になるので、
列車利用って、まずないんですね。

思い起こすと、学生の頃は東京の大学だったので、
よく汽車に乗っていましたね。
当時は、確か青函連絡船乗船を含めて、一昼夜かかっていたように思います。
いまは函館で乗り換えで、2本の特急列車での旅。
ひさしぶりに地面をひたすら走り続ける風景の連続を味わいました。
ただし、今の汽車は速いですよね。
八戸までだと、朝7時から札幌を出て、午後2時前には着く。
そこから新幹線に乗れば、夕方5時には東京駅に到着する。
都合、10時間くらいで札幌から東京に着くんですね。
これが新幹線が開通すると、5~6時間に短縮するのかなぁ。
それでも飛行機を利用するだろうけれど、
東北への移動なら、新幹線も増えそうですね。
うちの仕事も、北海道内の高速道が整備されて、
北海道全域に広がったものなんですが、
新幹線が通ったら、東北と北海道の経済交流、広域化は
必然的に進むだろうし、期待できるでしょうね。
メリットは双方にあるでしょうけれど、
より、北海道の経済人にとって、メリットは多いと思います。
北海道からの進出を考えたら、現状では一気に東京、っていうほうが
交通的にはいまはむしろやりやすいのですが、
それだといろいろ、他の条件的に中小企業では難しい。
そう考えると、交通条件が東北に対して良くなるメリットは大きい。

っていうようなことばかり考えていると、
風景はどんどんと移っていって、昔は感動した
駒ヶ岳の偉容も、そうは感じなくなってきています。
よる年並みとともに、感受性の鈍磨は進行する一方ですね。
でも、たまの列車移動、らくちんで、楽しめました。やっぱいいね。
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