三木奎吾の住宅探訪記 2nd

北海道の住宅メディア人が住まいの過去・現在・未来を探索します。
(旧タイトル:性能とデザイン いい家大研究)

【鎌倉円覚寺山門の屋根隅角部のナゾ】

2018年11月20日 06時53分11秒 | Weblog


日曜日に見学していた円覚寺山門の屋根の隅角部軒先です。
黒っぽく変色しているので、画像処理を加えて見ました。
下の写真にあるように屋根は2重になっていますが、
この隅角部の構造の作り方は上下で違った。
上の写真の左側が上で、右が下でした。
上の方が垂木が放射状に配置されているのに対して
下の方は、垂木が隅角部の構造材に対して直角に組み上げられている。
このお寺さんは鎌倉時代1282年の創建ですが、
永禄六年 (1563) には円覚寺が全焼した記録があるようです。
その後、衰微していたところを江戸期末期、
天明5年(1785年)大用国師誠拙周樗が再建した、とされています。

わたしは、社寺建築の中でのこのような隅角部の作り方に
いつも興味を持って見学することが多いのですが、
今回ははじめて2重の屋根の上下で作り方が違うというのに出会った次第。
建築的事実というのはそれだけなのですが、
そこではてと思ったのが、なぜこういうふうに違うのかという
素朴な疑問であります。
「円覚興聖禅寺」の額字は伏見上皇の勅筆とされる、ということなので、
この再見時にはそれなりの格式と伝統を尊重した作り方を考慮したに違いない。
このように仕上げたについては理由があったと思われる。
ふつうに考えれば上下とも同じように作った方が合理的と思われる。
たぶん放射状の作り方の方がより古来の作りようで
より仏教的に「位階の高い」上の方の作り方を上位として
下の方はより「簡易」な作り方として造作したのかも知れない。
あるいは、上のような作り方の部分が辛うじて全焼を免れて存続していて
それをありがたがってそのまま使い、下の方だけ新築したモノか。
さらにこうした構造の作り方の違いをはるかに後世に至るまで
明示的に存続させることの意味合いはどんなことだったのだろう、とか、
いろいろな想念が沸き起こってきております(笑)。
まぁ物好きな疑問ではあるのですが、
どうにも腑に落ちる理由には到底至らないような気がします。
この違いについて、ご意見をいただける事を期待して
謎は謎のママ、掲載したいと思います。乞うご教授。
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【東京猪俣庭園 吉田五十八の画像解像度】

2018年11月19日 06時47分43秒 | Weblog
ことしはなかなか東京を散歩する機会がなかった。
やはり建築とか住宅とかの仕事をしていて、
ときどきはそういう機会を持つべきだと思っています。
人間食わずきらいではいけない。
って、べつにわたしは関東・東京のデザイン感覚がきらいではありません。
マザー的な感覚とは違うけれど、多くのニッポン人のデザイン感覚DNAが
重層的に積層しているので、やっぱりいつもオモシロい。
今回は東京在住の息子の状況視察で東北からクルマで足を伸ばした。
仙台からの出発で行き土曜日は仙台東部道路〜常磐道を南下。
約370kmほどだそうです。
で、用件は顔を見れば大体3分間で済む(笑)。
帰りは、一転して東北道を北上するルート選択であります。
とても仙台までは体力的にムリそうだったので、福島県二本松周辺で宿泊。

ということでしたが、坊主は事前に知らせていたので
日曜日もスケジュールが空いているよ、ということで、
神奈川〜東京の美術と住宅建築探訪に付き合わせた。
まぁそのうちなんかの役には立つかも(笑)。
一応、吉田五十八建築が軸で葉山の山口蓬春記念館と東京世田谷の
猪俣庭園建築見学であります。
って、前日に坊主が行く、となったので急遽決めた次第。
まぁどっちもそんなに観光スポットではないし、
クルマで行くのがいちばん行きやすいという場所であります。
この2箇所とも以前に探訪していたことがあり、
そのときの「場所の印象」がどちらも克明だったのです。
で、今回は坊主とも意見が一致した猪俣邸の居間からの庭の切り取り方。
建築的意志がもっとも明確にあらわれる「開口」です。
コンピュータがパーソナルになって、人間のDNA的「視認」が
共通言語化され製品化されるようになって、
この画面の切り取り方って、たいへん大きなテーマに浮上した。
こういう人間感受性の「進化」ということについて、
Appleという会社は大きな寄与があったと思います。
Windowsを生んだMicrosoftも技術発展に果たした役割は大きいけれど
しかし、毎日使うという意味での人間DNA解析では、
やはりMacintoshは先端的に多くのことに取り組んで成果を挙げた。
そのなかでもこの左右寸法という領域での仕事はすごかったと思う。
人間がなにかをみるときに、どういう画角がもっとも人間的か、
こういった解析では建築の領域も歴史的に大きな関与をしてきた。
わたし的にこの猪俣邸の居間のフレーム感は好きであります。
建築というのはまずはたぶん人間のカラダのサイズが基本になったのだろうと
そういうふうに感じています。それが建材のサイズ、規格に反映し、
一定の「共通言語化」が成立している。
そのなかである種の「様式」が生まれても来るのでしょうが、
そういった制約を持ちながら、ある寸法感覚は偶発的個人意志的に生起する。
で、この猪俣邸のグリッドの感覚に、父子で共感を持てた。
画面としては左手にやや夾雑物がきのうはあったので、
そっち方向は少しカットしています。
みなさんはどうお感じになるでしょうか?
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【「かでる」や「おがーる」 日本語ネーミング進化】

2018年11月18日 06時32分41秒 | Weblog
先日投稿した「オガールイン」について
いろいろなコメントをいただきました。建築家の丸田絢子さんからは
設計者についての情報もいただきましたので、修正しました。
ありがとうございます。
で、ほかの方からも「おがる」というコトバについて指摘があった。
こっちもなかなかの「ツボ」でしたので、ネタとして使わせていただきます(笑)。

「おがる」って、東北北海道でよく使われる北方的方言のようなのですね。
って、わたしはあんまり耳にしていなかったので気付きませんでした。
大きくなる、成長するっていう意味「おがる」がベースのようです。
わが家系は広島県や兵庫県という瀬戸内海地域からの移民なので、
やや日本人としてのDNA系統が違う方言なのでしょうね。勉強になりました。
近年の「かでる」とかといった公的集合施設へのネーミングって
日本語の進化として、かねてからいい方向ではないかと思っています。
あ、かでる、というのは北海道庁の近隣に位置する公共施設で
札幌市中央区北2条西7丁目にあるので、「かでる27」とネーミングされている。
かでるというコトバは、「仲間にいれてあげる」みたいなニュアンスの方言。
「かでてやる」というコトバは北海道的人的コミュニケーションの
ごくベースにあるようなありようを端的に示していて
設立当時「なかなかやるな」感のあったネーミングだったのです。
わかりやすい「方言」をベースに、ときには若干アレンジも加えて、
現代的な再生をしていくというのは、国語審議会とは別の視点で
わたしは大いに賛同しているものです。
オガールってコトバの語感から言うとフランス語っぽいニュアンスもある(笑)。
たぶん、海外の方からすれば難しい日本語の指示代名詞だらけの
公的施設名称と比較して、圧倒的にわかりやすく親しみやすいだろうと思います。
「オガール?おおイエース(笑)」という反応が期待できる。
民主主義がそれほど成熟していると言えない国民性社会で
こういったネーミングは、わかりやすい民主主義実践ではないかと
ひそかに支援したくなる心理をいだかせると思っています。
・・・ってまぁ大袈裟ですが(笑)。
公共事業の成果物を多くの人たちの共有資産として育てていくために、
こういったネーミングがもたらす「イメージ」はきわめて重要だと思います。

<写真は「オガールイン」の朝食会場のインテリア。
キッチュなイメージでなかなか明るい雰囲気をつくっていて
たいへん好感を持てました。なんか楽しい(笑)。>
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【残念な「上下温度差」 断熱思想のないホテル環境】

2018年11月17日 06時59分32秒 | Weblog
きのう「オガールイン」の設計のことを書いたら
みかんぐみの竹内昌義さんと交流のある建築家の丸田絢子さんから
「設計者はたしか違うのでは」という申し入れをいただきました。
まぁ旅の合間のことなので、それほどわたしも調べてはいませんでした。
ただ、ホテルのご主人に「設計は竹内昌義さんですか?」と聞いたら
「あ、そう、そうです」という答だった。
みかんぐみHPのなかでも竹内さん、この建物に触れられていた。
で、そのように書いた次第でした。今度しっかり確認しますが、いまは
いろいろ旅程の立て込んでいるなかなので・・・。
と、いいわけであります(笑)。ふ〜〜。
でも設計者は不明でもなんか楽しいホテルでした。

で、本日はこれもビジネスホテルネタ(笑)。
本日は高速近辺の仙台市周辺のあるビジネスホテル。
あえてホテル名は書きません。というのは、残念感が強かったからです(泣)。
きのうのオガールインでは、大きなお風呂もあって、
その上、窓際は多少コールドドラフトを感じましたが
おおむね温度環境は悪くはなかったので、熟睡できた。
しかし、本日のこの写真のホテルでは「上下温度差」が強烈。
きのうはチェックインが夜10時頃だったので、
ホテルの方は部屋をエアコン暖房してくれていたので、
入った当座は「よかった、あったか」と一瞬思ったのですが、
二瞬目になってガッカリ感が募ってしまった。
室温は上がっているのだけれど、ベッドに入ったら隅々まで「冷たい」。
人間の熟睡にはカラダの「保温」が重要と言われます。
で、この冷たさが体温移動では追いつかないくらい根深い。
「あの、毛布ありますか?」とお願いして毛布も追加したのですが
なかなか保温状態までたどりつけない。
それでチェックして見たら、アタマの部分はたしかに温度が高いけれど
足下は相当に冷たいことがわかった。
典型的な「断熱不足」ですね。
ホテルには「エコ」だとかなんとかで、お風呂の蛇口に節水装置が付けられ
疲れていたので説明もろくに見ていなかったら、お湯もすぐに止まる。
日本のお風呂好きは暖房不足の変態形態なのだという話がありますが、
そういう「底冷え」からの回避策もままならない(泣)。
エコとかなんとか言う前に、だったら断熱くらいはちゃんとやれよ、
という内心の怒りがふつふつとしてきてしまった。
東北でも仙台や宮城は、地元よりも関東の常識が押しつけられている部分がある。
断熱という北国の常識が、このあたりでやや破綻してくるのですね。
室温は25度くらいまでエアコンは頑張っているけれど、
床面からしんしんと冷たさが襲ってきて、熟睡までほど遠い一夜でありました。
参った、しょがないなぁ・・・。
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【ビジネスホテル建築探訪 ♬ 紫波町オガールイン】

2018年11月16日 06時36分45秒 | Weblog




東北をビジネスで歩きまわっているので、
定点的な宿泊場所はとくには決まらない。
で、ビジネスホテルをWEB検索しながらクルマでのビジネス旅。
こういうイージーライダー(古!)的な過ごし方、好みでもありますが、
たまには少し、オモシロい建築にもめぐり会いたい。
ということでめぐり会ったのがきょう宿泊した紫波町オガールイン。
前日に盛岡のある方とビジネスで打ち合わせていたら
「きょうはどちらにお泊まりですか?」と聞かれて
「えっと、前にタウンを見学した紫波町オガールインです」
と答えたら「え、なんでまた、あんなところに・・・」(笑)。
まぁ盛岡の街の人にしてみたら、信じがたい選択だったようです。
しかし、このオガールタウンは数年前の建築当時、
エコロジー志向のその作られようを見学していて、
そこに宿泊施設ができたと聞いていたので興味を持っていた。
とくに調べてもいなかったのですが、なんとなく
設計は面識のあるみかんぐみの竹内昌義さんではないかと想像していた。
Replanでは数軒、その設計建築を取材しているのですが、
わたし自身ははじめて見てみる設計事例でしたので、興味を持っていた。
で、ホテルの方に確認したら「あ、そうそう、そうです(笑)」という返答。
この答え方のさりげなさがなかなかツボに来た(笑)。
<この部分、詳細情報です。建築家の丸田絢子さんからご指摘があり、
この建物の対面のオガールセンターは竹内昌義さんの設計ですが、
こちらのホテルが入ったオガールベースは氏の弟子スジにあたるという
らいおん・木村設計共同企業体による設計ということでした。
訂正してお詫び申し上げます。丸田絢子さんありがとうございました。>

雰囲気は写真を見ていただく通りであります。
わたし自身としては、非日常的なワクワク感が感じられて楽しい。
コスパに正直に徹していながら、配管をオブジェデザインに使っている。
配管業者の方、普段は床壁天井に仕舞い込まれるものを
こんなに主役扱いさせられて、さぞ緊張したのではと(笑)。
こういう露出作戦で天井高さは3mを超えている感じです。
ちょっとWEBで見てみたら、構造はRC壁式構造のようです。
WEBにあった氏の設計趣旨(オガールセンター)は以下の通り。
「オガールプロジェクトの一環として、公民連携という手法によって
出来上がったこの建物の設計は、紫波での暮らしを豊かにするという
コンセプトで選ばれたテナントとその必要面積の表からスタートした。
(中略)作りたいプログラムとその家賃から建築全体の面積を割り出した。
求められた防災性をRC壁式構造のメインボリュームで満たしつつ、
木造のアーケード部分とその縦長窓の反復が広場への表情ともなり、
オガールプラザからオガール保育園への連続性を確保できた。
高断熱気密性能や Low-Eペアガラス樹脂サッシなどにより
サステナビリティを考慮しながら、効果的に開口を取ることで、
抜けのある空間を実現している。外観はオガールプラザやオガールベースの
デザイン要素を繰り返しながら、エリアとしてまとめつつ、
インテリアはコンクリート打ち放しでまとめた。」とのこと。
宿泊してみての印象としては「縦長窓の反復」の窓からの
冷輻射がやや気になったところ。天井高さをたっぷり取った結果でもある。
そのためにLow-Eペアガラス樹脂サッシとはいえ、
タテ方向で1.8mほどの高さがあって、この時期の外気温でも
冷輻射が机の上周辺に落ちてきていた。まぁ体感ですが・・・。
しかしまだ慣れていないウブウブしさの感じられるホテルの方に聞くと
「いまのところ回転率は80%を超えています。
ビジネスホテルは70%を超えたら成功と言われているので」
というまことにうれしそうで正直なお答えが聞けました(笑)。
この盛況ぶりが、いっときの「物珍しさ」によるものかどうか、
「産直直営バイキング~充実した手作り朝食~」がウリとのことなので、
それなりにリピーターの安定的な支持が得られているものかも知れません。
朝食はまぁそれなりでした。手作り感はあるけれど野菜などは
イマイチ地元感、伝わり方が弱いかも。っていうかわからない。
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【北海道・東北・東京・関西 多方面作戦】

2018年11月15日 06時16分36秒 | Weblog
さて年末進行まっ盛りになって参りましたね。
今時期は、各スタッフはあちこちでの出張が常態化してきています。
かく言うわたしは、いまは仙台でこれから東北を北上予定。
一方で、きのう仙台で打ち合わせていたスタッフは本日東京へ。
月曜に関西から帰還したスタッフが北海道の各地との連絡を仕切っている・・・。
WEBが日常化するなかで日本の地理感覚は
ビッグバンしてきているように思います。
これまでの情報世界と比べて、個人間で深く情報交流できるので、
地理的隔絶を超えて共通認識が広がっているように思います。
メールという個人ツールで「対話」がスムーズになり、
SNSなどでの情報共有感覚は、物理的地理とは無関係になりつつある。

って言う状態ですので、地域限定ではなく
情報発信もWEB時代に沿って、全国メディアを活用させていただく方向に。
とくに北海道のブラックアウト以降、
多くのみなさんが北海道の、というか普段のエネルギーについて
相当深く考えられてきていることが伝わってきますね。
きのうお伝えしたアゴラさんでの情報拡散、おかげさまで
トップページ4番目くらいの「注目度」のようで、
くりかえし石油ストーブの写真がアイコンとなっております。
ただ、たぶん「バズ」るのは、この次の掲載原稿ではないかと思われます。
次回は、冬場の停電時での北海道のイマドキ住宅の温度低下の
実測データに踏まえた「対応策」を論考しているので、
ReplanWEBマガジンでも、2日間の拡散ぶりがなかなかなのです。
こういった全国メディアさんとのタッグで
情報内容をもっと拡散させて、エネルギー問題への関心を高めたい。
それが、北海道の住宅性能のアドバンテージをさらに高めると思います。
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【北海道真冬・暖房安全保障、WEBで情報拡散】

2018年11月14日 07時28分13秒 | Weblog


皇室の記事の隣で、トランプさんの記事の真上という
まことに畏れ多い場所でわたしどものReplanWEBマガジンの記事情報拡散です。
本日早朝より、先に太陽光発電設置提案を発信させていただいた
「アゴラ」さんで記事掲載になりました。
http://agora-web.jp/archives/2035676.html

北海道発の住宅雑誌として、先般の全道ブラックアウトは危機意識を刺激。
「真冬にブラックアウトが起きたら」という前提で情報を
編集していく責任があると感じています。
そんな「取材活動」の一環として、北総研・鈴木大隆所長への
非常時に際しての寒冷地住民の「知っておくべき情報の杖」をインタビュー。
地域が誇る住宅建築の研究機関らしい奥行きのある情報がまとめられました。
わたしどもの雑誌とReplanWEBマガジンで情報を発信していきたいと思っていますが、
この記事内容はたいへん公益性が高いものと判断して
情報拡散を進めていきたいと考えています。
今回の取材記事はWEB上では全3回の記事にまとめられますが、
この掲載された記事は約1カ月前にアップしていたモノ。
アゴラさんからは追って次の原稿も拡散していく方向とのことです。
今回掲載になった「石油ストーブ」の件は、
すっかり高断熱高気密が浸透した北海道では、前時代の「開放型ストーブ」への
無理解が逆に拡大しているだろうという危機認識からのもの。
9.6の地震後DIYショップなどで、燃焼空気を室内から取るポットストーブが
飛ぶように売れて品切れになった、という事実があったのです。
地震時には灯油を熱源とした「発電機」を室内で使ってガス中毒死した例もあった。
そういう例で考えれば、ポットストーブを高気密住宅で使うことも
あり得ると思ったのですね。喉元過ぎれば忘れることは多くある。
ただ、ほかに手段がない場合、暖房方法として石油式のポットストーブも
選択可能性としてはやむを得ない。
しかしそのときにガス中毒になったのでは、まことにむなしい。
そういうことから、警鐘を鳴らす意味を強く感じていた次第です。
情報拡散の意図はそういったところからのものでした。

できることなら杞憂で済んで欲しいと念願しますが
まず、身の回りでできることをしていきたいと思います。
北電さんはやはり「節電のお願い」を継続されていますね・・・。
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【増加するGDPと人口減少 「魅力ある住」とは】

2018年11月13日 07時41分05秒 | Weblog
刷り込まれてきた人口縮小の恐怖と
一方で相反するように増加するGDPということをきのう書きました。
政治の目的についてはいろいろな考え方があるでしょうが、
わたしは何回か書いていますが、基本的には政治の基本とは
「宰をふるう」というコトバに集約されていると思います。
そのコトバ、概念が生まれた語源の意味は、ひとびとの食べるものを
秩序を持って分配する、ということが宰相の目的とされている。
ひるがえって今日の安倍晋三さんは一度理念型で政権運営を行い
いろいろな困難に直面して退陣してのカムバック政権。
この再起にあたって「経済が要諦」ということにもっとも大きな比重を掛け
再度の政権運営に当たり続けていると思います。
なぜ、戦後ニッポンは保守政権が長く続いたのか、
それを支持した国民的メンタルをしっかり把握し、まずなにより経済運営に
重点的に取り組み、一定の成果も挙げて支持率を高く維持している。
少子化・高齢化するこの国の現在に置いて、
経済をしっかりと運営し成長させるという政治目的は核心的に重要。
一時期、非正規雇用という将来困難に見舞われた若年層の雇用不安に対して
明快な新規雇用の安定を実現してきている。
安倍政権が若年層に支持率が高いのには、こうした明確な根拠がある。
そしてきのう書いたように「人口減少下でのGDP増加」社会が現実化している。

この秋の総裁選挙の結果、安倍政権はもう少し続くことになった。
そのあとの政権がどうなるかにもよるし、政権の終わり方にも関わるけれど、
しかしこの「人口減少下でのGDP増加」政策には支持は高いだろう。
このようなリアルな認識に基づいて、そういう経済社会環境の中で
はたして「住」という分野はどのように魅力を輝かせていけるか、
そういうことを追究していかなければならないと思うのです。
「人口は増えずに生産力が上がる」ことが日本という社会で、
いったいどんな変化を顕在化していくのか、
とくに住宅マーケットではどんな趨勢になっていくのか、と。
まずは、住宅投資の主体、ユーザーのことを考えてみると
人口減少で「ニューファミリー」層は確実に減少していくのは明白。
しかし相対的に見て、この層がリードオフすることも間違いはない。
ただし、戦後の人口増加期には地方から首都圏などに職を求めて
大量に流入してきた層が、このニューファミリーの中核だったけれど、
いまは必ずしもこういう「地方から首都圏へ」という流れが
全社会的かというと、そうとも言えない。
・・・っていうように、住宅業というモノのさまざまな変化を
一気にフィールドワークで体感し続けていきたいと考えています。
いま、東北各地でいろいろな企業人、作り手のみなさんと対話し続けています。
そしてその先には多様なユーザーのホンネがありありと見える瞬間もある。
体力維持と健康に気を配りながら、走り続けていたいと思います。
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【人口減少でもGDP増、時代の住宅産業とは?】

2018年11月12日 11時23分39秒 | Weblog
今日のニッポンでペシミズムの源泉とも言えるのが人口減少。
人口が減少していけば、経済が不活性になるに決まっている論が支配的。
わたし自身も「これから日本はどうなるのだろう」と人口流失に悩む地方の現状などを
オーバーラップして無意識のうちに同意してきた。
しかし最近、高橋洋一さんが異議を唱えていると初めて知った。
氏は日本の元大蔵官僚、数量政策学者、経済学者。嘉悦大学教授。
政治的にはやや右派の方ですが、経済について一家言を持っているとされる。
人口減少がただちに経済をおかしくするというものでない、という説。
氏は安倍政権へもアドバイザリー的な立場と言われるけれど、
実際に、わずかずつとはいえ人口減少期に入っている日本は、
しかし、GDPは伸びてきてもいる。
人口減少というのは、あきらかに進行している事態なので「対応可能」な困難、
というスタンスであり、実際に安倍政権ではGDPを伸ばしているのが現実。
たしかに明瞭に見えている未来に対しては正確な対応をすることは可能でしょう。
ただし、それはこれまでと環境条件が変わらないということを意味しない。
国の経済規模それ自体は健全に発展させることは可能だとしても
その中身の需要は変わってこざるを得ないということなのでしょう。

住宅で言えば、このことはかなり想像力が試される事態。
住宅というのは基本的には人口態様でそのマーケット環境が変わるものとされた。
人口増加期には、たぶん大多数の作り手が「一生懸命やれば」成長できた時代。
住宅ビジネスをする企業・個人の周辺で人口増加条件があれば、
過去と同じような努力を重ねていれば報われる可能性が高かった。
圧倒的に都市に流入してきた家を持たざる者に「新築住宅」を提供すれば、
旺盛な需要があり続けてきたといえる。
ところが、GDPが伸びるのに人口は伸びないという現実がやってくる。
簡単に言えば、顧客は減少するけれど売上は伸びる可能性があるという市場環境。
その顧客も高度成長期のように自然発生的ではない可能性が高い。
いやむしろ、圧倒的な都市流入という流れ自体、資本主義の工場立地に
おおむね即応してきたものだったといえるでしょう。
変化はすでに大きく胎動を見せて始まってきているのでしょう。
大手メーカーでの積水ハウスから一条工務店への地殻変動。
これは大きな意味ではすでに「品質」が「宣伝」を上回ってきた、
価値の大きな変化が起こってきた証明であるのかも知れない。
しかしこの市場環境の変化は、そう単相的なものではないと思われます。
相変わらず環境変化に乏しい「リフォーム市場」などを見ても
構造変化は、相当大規模なものになる予感がしています。
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【街のもつマーケティング要素、仙台-札幌】

2018年11月11日 07時43分59秒 | Weblog
写真はたまたま仙台で適当に探して「じゃらん」で見つけたホテル。
前々から気にはなっていた「大観音」さんの目の前ホテル(笑)。
こういう感覚はどうも北海道人には縁が遠く感じる。

北海道と東北での住宅雑誌出版がわが社のメイン事業。
ここのところ原点回帰で身の置き所を半分ずつで過ごしております。
とはいっても自宅は札幌なので、本拠地感覚は北海道。
一方東北は、必ずしも仙台が中心というようには言えない。
国のくくり方で言えば東北は仙台が「中心」と言えるのでしょうが、
実際の東北の市場感覚でいえば仙台は並立的都市のなかのひとつ。
引き比べて北海道の場合には、札幌はほかの旭川、函館、帯広といった
地方中心都市との関連性がきわめて高い。
この感覚というのが、なかなかに無視できず大きい。
札幌人が「北海道は・・・」としゃべるのと、
仙台の人が「東北は・・」と語るのにはやや違いがある。
そうすると仙台という街はいろいろな感覚を持った街だと気付く。
ある意味では東京の一地方中心街区、たとえば町田とか八王子といった
東京との強い関連性があり、一方で地方都市の大きなモノという
ふたつの相反するような表情がみえてくるのだと思う。

札幌もリトル東京とよく言われてきた。
わたし自身は札幌育ちなのでそういった客観的印象をわからないのですが、
たしかに支店経済であり「なになには本社で」という会話は
よく聞き育ってきた感覚は持っている。
そういった部分は仙台でも同様ではあるけれど、
その皮相のちょっと下には東北の一地方である本質は覗き込める。
石巻などにはそういった「在地性」が強く感じられる。
それと共通する感覚が根本に強く感じられる。
札幌はそういった在地性が出来上がる前にすでに東京が支配していて
そういう在地性があるとすれば、それは北海道一円的なもの。
北海道であれば旭川だろうが帯広だろうが、違いがないというのが札幌。
仙台も表面側では東京のリトルタウンという表情が支配的だけれど、
基底部でそういった違いがあるといえるのでしょうね。

こういった街の雰囲気の違いが、はたしてどんなふうに家づくりに
反映されていくのか、きわめて興味深いモノがある。
そして世代別にもこのことはきわめて面白さをもっている部分。
北海道・札幌は無条件に近く「世界標準」が共通性になるけれど、
仙台を代表とする東北の各中心市街区がどのような表情の住宅に
馴染んでいくのか、これはいま現実に、
ユーザーが選択し続けているのだと思います。
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