2018年5月10日(木)
ハクセンシオマネキである。



昨日、イトヒキハゼを釣ろうと波止にタナゴ竿を置き竿にしたまま散歩。
こんなどこでもあるような小さな干潟にいた。

環境省レッドデータ絶滅危惧Ⅱ類、広島県準絶滅危惧種である。
「うわっ! ここにもおったんかいっ!」
この街に暮らして30余年。
休日は、仕事とも遊びともいえない形でこの街の水生生物を調べてきた。
大概の干潟も見てきたつもりが、ここの水系の干潟はすっかり見落としていた。
工場やクレーンが立ち並ぶ地域で、立ち入りにくく
汚染も進み、いるわけがないと思い込んでいたせいもある。
生活圏内で、私の知ってるハクセンシオマネキのコロニーは数箇所。
そのうち、安定した大きなコロニーは1ヶ所のみ。
3ヶ所ほど消滅した。
残りも衰退して消滅寸前。
カニの仲間だから
ノウプリウス⇒ゾエア⇒メガロパと、幼生期にプランクトン生活をおくる。
潮の流れで適地にたどり着き、またそこで回復して増えそうな気がするかもしれない。
が、適地そのものがなくなりつつあるのである。
また、適地での生息密度も上限が決まっている。
移住させて高層マンションのようにに密集させるわけにもいかない。
私の経験則から言えば、再び回復することはほぼない。
一見自然が回復したように、一見魚が増えたように見えたとしても
例えば、ヤリタナゴからカネヒラへと明らかに魚類相が変化している。
突然高密度になる年もある。
が、それは絶滅の前ぶれみたいだと知人の学者さんたちもみな同じ体験を語る。
自然回復なんて簡単にできるほど、人間は自然のことを知ってはいないといつも思う。
自然に対して謙虚であらねばといつも思う。
私の街に流れる川から絶滅したと思われる魚たちもすでに数種類。
しゃがんでじっくり観察することに。
巣穴作りも上手いヤツもいればヘタクソもいる。

立派なハサミを持つ熟年オスもいれば

社会人1年目もいる。

寿命は数年。
右腕と左腕、どちらのハサミが大きくなるかは決まっていない。

しかも、このハサミ、求愛行動以外ほとんど役に立っていない。
大きいハサミを振りまわし、オス同士の争いが始まった。

ちなみに、この大きなハサミを白い扇のように振りまわすことが
メスへの求愛行動で、潮を呼んでいるように見えることから
「白扇潮招き」というステキな名がつけられた。
「貧しかった子どもの頃、このハサミをもいで、おやつがわりに食べてたよ」
「ほんのり甘くておいしかったよ」と、お年寄りからの聞き取りもしたなあ。
と、思い返してると、右腕の大きなヤツが勝ったね。

メスとじっくりご対面。
さて、ソッとゴカイを落としてみる。
以前試してみた消滅寸前の小さなコロニーでは、飛びつくように抱え巣穴へともぐり込んだ。
ところが、ここのコロニーでは付着藻類を食べるのに夢中なのか、見向きもしない。
どうやら豊かな栄養物があるみたいだ。
「ええいっ! どけっ! どけっ! 邪魔すんな!」と次々にハサミで門前払い。
ところが、たまたまそのハサミの節に道糸がからまったどんくさいヤツが・・・
「あっ! ハクセンシオマネキがもつれた・・・」

そう、ハクセンシオマネキ、もつれたのだ。
釣ったといえるのかの判断は、私任せなので158種目なのである。
なお、コイツの場合、紹介したいがために、あえて釣りに挑んだ次第である。
もちろん、撮影後はソッと戻したのだが・・・
実はこの漁港も湾岸工事の真っ最中なのだ。

赤く波打った鉄板の向こう側にコロニーがある。
だから、ここのコロニーも近い将来消えてしまう運命なのである。
明日、行政へ報告だけはしておく予定。
ハクセンシオマネキである。



昨日、イトヒキハゼを釣ろうと波止にタナゴ竿を置き竿にしたまま散歩。
こんなどこでもあるような小さな干潟にいた。

環境省レッドデータ絶滅危惧Ⅱ類、広島県準絶滅危惧種である。
「うわっ! ここにもおったんかいっ!」
この街に暮らして30余年。
休日は、仕事とも遊びともいえない形でこの街の水生生物を調べてきた。
大概の干潟も見てきたつもりが、ここの水系の干潟はすっかり見落としていた。
工場やクレーンが立ち並ぶ地域で、立ち入りにくく
汚染も進み、いるわけがないと思い込んでいたせいもある。
生活圏内で、私の知ってるハクセンシオマネキのコロニーは数箇所。
そのうち、安定した大きなコロニーは1ヶ所のみ。
3ヶ所ほど消滅した。
残りも衰退して消滅寸前。
カニの仲間だから
ノウプリウス⇒ゾエア⇒メガロパと、幼生期にプランクトン生活をおくる。
潮の流れで適地にたどり着き、またそこで回復して増えそうな気がするかもしれない。
が、適地そのものがなくなりつつあるのである。
また、適地での生息密度も上限が決まっている。
移住させて高層マンションのようにに密集させるわけにもいかない。
私の経験則から言えば、再び回復することはほぼない。
一見自然が回復したように、一見魚が増えたように見えたとしても
例えば、ヤリタナゴからカネヒラへと明らかに魚類相が変化している。
突然高密度になる年もある。
が、それは絶滅の前ぶれみたいだと知人の学者さんたちもみな同じ体験を語る。
自然回復なんて簡単にできるほど、人間は自然のことを知ってはいないといつも思う。
自然に対して謙虚であらねばといつも思う。
私の街に流れる川から絶滅したと思われる魚たちもすでに数種類。
しゃがんでじっくり観察することに。
巣穴作りも上手いヤツもいればヘタクソもいる。

立派なハサミを持つ熟年オスもいれば

社会人1年目もいる。

寿命は数年。
右腕と左腕、どちらのハサミが大きくなるかは決まっていない。

しかも、このハサミ、求愛行動以外ほとんど役に立っていない。
大きいハサミを振りまわし、オス同士の争いが始まった。

ちなみに、この大きなハサミを白い扇のように振りまわすことが
メスへの求愛行動で、潮を呼んでいるように見えることから
「白扇潮招き」というステキな名がつけられた。
「貧しかった子どもの頃、このハサミをもいで、おやつがわりに食べてたよ」
「ほんのり甘くておいしかったよ」と、お年寄りからの聞き取りもしたなあ。
と、思い返してると、右腕の大きなヤツが勝ったね。

メスとじっくりご対面。
さて、ソッとゴカイを落としてみる。
以前試してみた消滅寸前の小さなコロニーでは、飛びつくように抱え巣穴へともぐり込んだ。
ところが、ここのコロニーでは付着藻類を食べるのに夢中なのか、見向きもしない。
どうやら豊かな栄養物があるみたいだ。
「ええいっ! どけっ! どけっ! 邪魔すんな!」と次々にハサミで門前払い。
ところが、たまたまそのハサミの節に道糸がからまったどんくさいヤツが・・・
「あっ! ハクセンシオマネキがもつれた・・・」

そう、ハクセンシオマネキ、もつれたのだ。
釣ったといえるのかの判断は、私任せなので158種目なのである。
なお、コイツの場合、紹介したいがために、あえて釣りに挑んだ次第である。
もちろん、撮影後はソッと戻したのだが・・・
実はこの漁港も湾岸工事の真っ最中なのだ。

赤く波打った鉄板の向こう側にコロニーがある。
だから、ここのコロニーも近い将来消えてしまう運命なのである。
明日、行政へ報告だけはしておく予定。
