JR桜木町で降りて横浜ランドマークタワーを抜けていくと、横浜美術館へ。
この「みなとみらい」辺りって、まさしく「未来都市」っぽいですね。
道を聞いた女性が、東南アジアから働きに来てる方らしく、
その達者な日本語と落ち着いた物腰にタジタジ…。

横浜美術館玄関の巨大オブジェ(これだけは撮影可)
奈良美智さんは「ならみちさん」でなく、「ならよしともさん」なのですが。
小さな女の子のPOPな絵でつとに有名なので、女性画家と思われることも多いようです。
ポップな軽っぽい絵もあるけれど、巨大なアクリル画などはとても重厚で、
何層も絵具が塗り重ねられています。でも、重苦しくならない。
色彩感覚がすぐれているのと、構図・余白のバランスが抜群なのか。
「イラスト」としても人気が出るのがわかるし、「美術作品」としても素晴らしい。
数年前に大阪で初めてナマで、奈良さんのアクリル画を見て、
「ああこれはすごい」と、一発で胸にきてしまいました。
今回は、スケッチも多数あり、制作過程の写真も展示してあったので、
より肉薄して奈良さんワールドを堪能できました。
でも、何より目玉は、ブロンズで作った巨大な巨大な「女の子の頭部」でしょうか。
(これは撮影できない)
直径2メートルぐらいの、バカボンのパパみたいなノリの大きな頭部。
火山のマグマが溶け出すみたいにドロドロ~とした状態が、冷えて固まった…感じ。
「なんでそんなものを作るのか」と言われたら、
「それが自然なことだから」というしかないのでは。
ただただ奈良さんの内面から、この女の子が、マグマとして噴き出してくるように思えました。
恐ろしいような滑稽なような。可愛いような残酷なような。

この子の鬼歯(八重歯)が、ちょっと怖い。目も怖い。
でも可愛い?
「キモかわいい」ってこういうことを言うのでしょうか。女性のお客さん多し。
とにかくえんえんと、この小さな女の子の世界。
この女の子の絵みたいに、「入口が入りやすい」と、
見ている人は「自分自身の内面」を、
その絵を通して、見ることが出来る。
みんな、「きゃー可愛い♪」とか「怖いかもー」とか言ってるけれど、
その心のうちでは、「私、小さい頃、親と喧嘩してる時こんな顔だったな…」とか、
「俺の好きだったあの女の子に似てるな…」とか、
様々な、まことに「パーソナルな思い」が湧きあがってきます。
その、個人個人が抱えている「思い」を、作品を通して呼び起こせる人が、
すぐれた作家なんじゃないか、と思う。
帰りにコインロッカーから荷物を取り出して、さあ帰らないと~♪と外を歩きだし、
ハタと気づいたら、ロッカーから100円戻ってくるのに取ってこなかった!
ああ、100円くらい、もういいかしら…でも次の人が驚かないかしら…。
と迷いつつも戻ってみたら、既に若い男性が荷物を入れて、
まさに扉を閉めん!としていました。
「あの~100円戻ってませんでした?(++)」と聞いたらば、
「いや、無いですねえ。。。(-_-)」とのお答え。
「では、あきらめます。ありがとう。すみませんでした(>_<)」
で、「まーいっかー」と帰りかけ、50メートルくらい歩いたところで、
先ほどの若い男性が「あああ、あのー!ありました!100円!」と走って来られたのです。
その怒涛の勢いと、彼の超嬉しそーな笑顔で、
「100円くらい」と思ってたのが、「大事な100円」となりました。
どこのどなたかは存じあげませんが、ご親切にありがとー★