★私の夢二はがきコレクションより
「婦人グラフ」大正15年4月号表紙 「APL FOOL」 とタイトルがついてますが「April fool」のことでしょうか。
朝ドラ「エール」第9週「東京恋物語」です。
あと1ヶ月分しか撮影ストックが無いっつうのも寂しいですが、 7月と8月が今までの再放送なのかな~。
そして9月から再開で11月末で終了でしょうか。もうコロナでいろいろあって不憫なのでこの際、年末までやって紅白歌合戦になだれこんでトドメをさしてください(笑)。ってか紅白やるんでしょうか?まさかのリモート紅白ならつらいよ~。
音ちゃんがカフェーに働きに出て、一人モソモソと夕飯を食べる裕一さんですが、いくらダンナが音楽家とはいえ、この時代によく許してもらえたよねえ。短期バイトですけどさ。
でも、あんなに可愛い女給さんがいたら、そらご指名かかるわね~。
気が気じゃない裕一さんですが、自分でお店に偵察に行けないという弱気虫。「ずぐたれ」ですやんー。
カフェで働かせてもらうコネは「木枯さん」(古賀政男)の口利きなのですが、木枯さんはヒット曲連発なので、キャバクラ豪遊もなんのその、なのね。
古賀政男さんの履歴を検索したら、若い時からなかなか波乱万丈の人生だったようで、その分、お坊ちゃん育ちの裕一より大人っぽく見えます。もはや私はRADの洋次郎さんを見たら、「あ。古賀政男」としか思えない(笑)。
音ちゃんの先輩、希穂子さんは福島出身で、裕一が何も知らずに来店した折に横についてくれました。やたらデレる裕一さん。そんなにツボにハマッたんかい。
美しいけど、女給をするには真面目過ぎるような「すれていない」風情の希穂子さん。
竹久夢二の絵に出てくる女の人にソックリです。髪型もお化粧もその姿も。あの前髪の独特のウェーブは、椿油でなでつけるのでしょうか?
希穂子さんは、裕一の幼少時の友達、鉄男さんの、福島での恋人でした。
鉄男さんが、新聞社に時々休暇願を出していたのは、東京に働きに出ている彼女を探しに来ていたのですね。
「骨太でクール」なイメージの鉄男。しかしこのあいだ「あさイチ」にゲストで出ていた鉄男役の中村蒼くん、とてもソフトで可愛らしい人なのでビックリ。ドラマの中ではまさに「鉄の男」にしか見えない。。。役者さんってすごいね。
もっとも裕一家でお酒に飲まれてしまった鉄男は、去っていった彼女への恨み節でクダまいてます。ふだんクールな人はお酒で人が変わるのね。。。その点、裕一&音夫妻は「酔うとご陽気になる」タイプだからいいわ。
音ちゃんが音楽学校の発表会の大舞台で大役をつかめるか、鉄男と希穂子さんの悲恋の道とうまくからめて、その末についに裕一さん初のレコード発売!という流れになりました。
「福島行進曲」の歌詞は、詩人鉄男さんのデビュー作でした。嬉しいレコードデビュー。
なのに、希穂子さんは鉄男の出世と幸せのために、身を引く決意をします。
ぶんちゃ♪ぶんちゃ♪とのどかに鳴る行進曲をバックにして、悲しい恋の末路に立ち尽くす二人。
その悲恋からインスパイアされ、見事な歌を披露する音ちゃん。
二階堂ふみさん、素晴らしい歌でしたねー。
専門家からみたら技術的には改良余地があるのかもしれないけど、心に響きました。
ゾワゾワ~ッとしました。
「裕一、ついにレコードデビュー!」のエピソードにしては、あっさり描かれている感じがするのですが、この先で福島に帰る週があるみたいなので、実家の家族やお店の人たちに、きっと「福島行進曲」を見せて(聞かせて)喜んでもらうんじゃないかな。そのときあらためて掘り下げるのかも。
このレコード、B面には「福島夜曲」が収録されているとのことですが、そこは触れられていませんでした。
スピンオフでいいからやって欲しいですね~。私はちょっと期待してたんですが、時間がなかったかも(笑)。
「福島夜曲」は、裕一がまだ川俣銀行に勤めている時、竹久夢二の福島での展覧会をたまたま観覧。
そこで見た小さな詞画「福島夜曲」に大感動して、ものの数時間で曲をつけて、まだ福島に滞在していた夢二のホテルまで持参したそうです。
すごいですね。
夢二さんも、福島に来てから「あーなんて素敵なところなんだ♪」とご当地絵と詩を即作って展示。裕一も即座に作曲。
その当時の夢二は45歳でもうキャリアを積んだ「有名人」ですから、20歳の一般青年がいきなり「あなたの詩が素晴らしすぎて曲書いちゃいました!」と押しかけてきたら、普通なら「キモッ」と追い返しそうなもんですが。
裕一はその場で早速出来立てホヤホヤの曲を歌唱。歌う方もすごいけど、受け入れてくれる夢二もすごい(笑)。
二人は親子ほど歳が離れてるけど気が合い、その後文通までしてたとあります。
裕一の繊細な部分と、夢二の抒情性は、私が想像してもしっくりくるなあ。
「好きになったら周りが見えなくなる」子供っぽっさとか、ミューズに心酔するところとか。感性が合ったのでしょう。
家の竹久夢二本の年表を見たら、裕一が音さんと新婚生活を送っている頃に、ちょうど東京は銀座で大々的な展覧会をしています。
裕一は展覧会、見に行ったのかな~。
でも夢二はその後すぐに、アメリカ・欧州へと渡航したので、その準備で忙しく、裕一と会ってるヒマなかったのかも。
「福島夜曲」の5年後に夢二は胸を病んで亡くなっているので、二人は結局、東京でも福島でもその後交錯することなく終わったのでしょうか。
ドラマ最後の希穂子さんの立ち姿が、なんとも「夢二美人」で、夢二と裕一のエピソードを割愛した代わりに、彼女を配したのかな、と思いました。
複雑な心情が重なる二人の別れの直後、舞台はチェンジ。
裕一が見事大役をつかんだ音さんを、自宅前で抱きしめて、ぶんぶん回す!
なんたるハッピー。なんたるシンプル。
好きだから一緒に居て、好きだから相手を応援する。
それでいいやん。
悲しみと喜びが対照的な、粋な演出。いつか鉄男と希穂子さんもくっついてくれ~★