写真は1992年パリ・オペラ座日本公演のパンフレットより「春の祭典~ニジンスキー振付復刻版~」、女性はマリ=クロード・ピエトラガラ
今日、3月14日はパトリック・デュポンのお誕生日だったのですね。。。追悼日記は続きます。
さて大阪公演2日目は「グラン・ガラ」です。
ここが私が間違えた「水晶宮」でした。「ジュエルズ」と「水晶宮」ってどう違うの?
と今の今までよく考えてませんでしたが(汗)今回、あらためて調べてみました。
「水晶宮」は初演が1947年、「ジュエルズ」は20年後の1967年。両方とも振付はジョージ・バランシンです。
先日、「バレエ・リュッス」のことを書きましたが、ディアギレフ率いるバレエ・リュッスは、ロシア人で構成されているけれど活躍の舞台はパリでした。バランシンはそこで活躍した最後の振付家兼ダンサーで、のちにアメリカへ渡り、ニューヨークシティバレエを設立。アメリカバレエの始祖となりました。
この「水晶宮」は「LE PALAIS DE CRISTAL」=「クリスタルな宮殿」となってますが、その名にふさわしくキラキラと豪華な宝石たちが煌めくような、「抽象バレエ」です。演劇的物語性はなく、バランシンの作品の特徴である「音楽を踊りで表現する」典型的なバレエといえますか。
第一楽章が「アレグロ・ヴィーヴォ」。当時書いたメモを見ると衣装は「赤」。
各楽章ごとに、メインの人と数人の群舞で踊りますが、ここがデュポン&プラテル、モラン&ベラルビでした。
幕開けにふさわしい華やかな踊りで、上半身が赤い衣装のデュポンは、他ダンサーより一回り大きく見えました。とにかくずーっとキラキラ・キラキラ。そして空間パターンが大きい。
第二楽章が「アダージオ」。グレイの衣装。ここのメインはフランソワーズ・ルグレとシャルル・ジュド、クロード=ド・ビュルピアン&ジャン=イブ・ロルモーという組み合わせ。
アダージオなので、抒情的でゆったりとしたパートです。
第三楽章が「アレグロ・ヴィヴァーチェ」。緑の衣装。
ここのメインが当初、ルディエール、ピエドラガラ、男性がプルミエ・ダンスールのエリック・キエレだったんですが、大阪公演で張り出されたキャストはマニュエル・ルグリでした(!)
ルグリはまだエトワールになって日が浅かったんじゃないかなーと記憶してるのですが、とにかく、まぶしい若さが溢れ、「さわやかな風が吹く」踊りでした。線は細いのにオーラはすごい。大きな拍手が嬉しそう。
未だになぜ突然、キエレ→ルグリになったのかナゾなんですが、美しい彫像みたいなルグリに惚れましたとも。どんだけ綺麗やねん。
第四楽章は終章。「アレグロ・ヴィヴァーチェ」。これはメインがアヴェルティ、ヴァイエ、アルボ、男性はロモリとプルミエのオリビエ・パテでした。白い衣装で優雅に踊ります。
最後は全員が出てきて、赤・グレイ・緑・白、と華やかなカラーが揃い、大団円で大喝采なのでした。
この最後の「全員集合」って、目が10個ぐらい欲しいよね。煌めく宝石たちばかりだから、見逃したくないのに!でもこの大団円で見るデュポンは、「自分だけが目立てばいい」系でなく、ちゃんと監督としてみんなを率いている感じがしました。
ここでも彼の温かさ、空気の温度を上げるエネルギーが充満、絢爛豪華な「水晶宮」は幸せ過ぎました。。。
2本目は「イン・ザ・ナイト」。ロビンス振り付けです。ショパンの音楽に乗せて、合計6組の男女が細やかな情愛を踊るのですが、本当に「静かな夜は更けて」って感じで、暗闇の中、神秘的で美しかったです。
3本目は「プッシュ・カムズ・トゥ・ショブ」。1976年初演。振り付けはトワイラ・サープ。
トワイラ・サープ、一世を風靡しましたね~。アメリカでモダンバレエの振付師として大活躍しました。
もともとアメリカン・バレエ・シアターとバリシニコフのために作られた…とありますが、コミカルで奇想天外なステップとポジションが楽しい作品。バリシニコフの初演、見たかったね~。ここではデュポンがバリシニコフ並みに超絶技巧も駆使し、軽快に踊ってみせました。
「粋でかっこいい」のは得意中の得意ですね。でもこういう踊りがとても難しいんだろなあ。
以前、ルグリがドキュメント番組で「クラシックバレエを踊ったすぐ翌日に、モダンを踊らなくちゃいけないんだから。体がバラバラになっちゃうよ!」みたいな悲鳴をあげておられました。
やっぱり、クラシックとモダンでは、使う筋肉が違うらしく筋肉痛が起こるらしく。
でもそんなことはおくびにも出さず、バランシンからロビンス、サープまで、古典から現代まで踊りぬくオペラ座の踊り手たちは、厚みが違うというか脇役の人たちまで全て「美」で埋め尽くされていました。
パンフレットに、頂点(横綱)のエトワールから順に、第一舞踊手(大関)のプルミエ・ダンスール、その下のスジェ(関脇)、コリフェ(小結?)、カドリーユ(前頭?)と、全員の名前が書いてあります。
以前「パリ・オペラ座バレエ学校」の来日公演で、主役のシルフィードを踊っていたデルフィーヌ・ベイが、一番階級が下の「カドリーユ」のトップに名前が載ってました。
「ああ入団出来たんだなあ。。。でもここ(群舞)から頑張って!」と思わず応援してしまう。
バレエ学校を出たからといって全員がオペラ座に就職できるわけではなく、数名採用されたらあとの人は自分でバレエ団を探して、オーディション受けて生活していくのでしょうね。
その厳しい階級制度は、日本人には馴染まないかもしれないけれど、今、日本のオニール・八菜さんが上から二番目の「プルミエ・ダンスール」で踊ってらしゃいます。
誰が昇格するか?とか、自分の御贔屓のダンサーが上がっていくのを見るのも、オペラ座ファンのお楽しみかもしれません。そう。大相撲みたいに。
なつかしく、「パトリック・デュポン監督」のオペラ座公演の華やかさに、思いを馳せました★
今日、3月14日はパトリック・デュポンのお誕生日だったのですね。。。追悼日記は続きます。
さて大阪公演2日目は「グラン・ガラ」です。
ここが私が間違えた「水晶宮」でした。「ジュエルズ」と「水晶宮」ってどう違うの?
と今の今までよく考えてませんでしたが(汗)今回、あらためて調べてみました。
「水晶宮」は初演が1947年、「ジュエルズ」は20年後の1967年。両方とも振付はジョージ・バランシンです。
先日、「バレエ・リュッス」のことを書きましたが、ディアギレフ率いるバレエ・リュッスは、ロシア人で構成されているけれど活躍の舞台はパリでした。バランシンはそこで活躍した最後の振付家兼ダンサーで、のちにアメリカへ渡り、ニューヨークシティバレエを設立。アメリカバレエの始祖となりました。
この「水晶宮」は「LE PALAIS DE CRISTAL」=「クリスタルな宮殿」となってますが、その名にふさわしくキラキラと豪華な宝石たちが煌めくような、「抽象バレエ」です。演劇的物語性はなく、バランシンの作品の特徴である「音楽を踊りで表現する」典型的なバレエといえますか。
第一楽章が「アレグロ・ヴィーヴォ」。当時書いたメモを見ると衣装は「赤」。
各楽章ごとに、メインの人と数人の群舞で踊りますが、ここがデュポン&プラテル、モラン&ベラルビでした。
幕開けにふさわしい華やかな踊りで、上半身が赤い衣装のデュポンは、他ダンサーより一回り大きく見えました。とにかくずーっとキラキラ・キラキラ。そして空間パターンが大きい。
第二楽章が「アダージオ」。グレイの衣装。ここのメインはフランソワーズ・ルグレとシャルル・ジュド、クロード=ド・ビュルピアン&ジャン=イブ・ロルモーという組み合わせ。
アダージオなので、抒情的でゆったりとしたパートです。
第三楽章が「アレグロ・ヴィヴァーチェ」。緑の衣装。
ここのメインが当初、ルディエール、ピエドラガラ、男性がプルミエ・ダンスールのエリック・キエレだったんですが、大阪公演で張り出されたキャストはマニュエル・ルグリでした(!)
ルグリはまだエトワールになって日が浅かったんじゃないかなーと記憶してるのですが、とにかく、まぶしい若さが溢れ、「さわやかな風が吹く」踊りでした。線は細いのにオーラはすごい。大きな拍手が嬉しそう。
未だになぜ突然、キエレ→ルグリになったのかナゾなんですが、美しい彫像みたいなルグリに惚れましたとも。どんだけ綺麗やねん。
第四楽章は終章。「アレグロ・ヴィヴァーチェ」。これはメインがアヴェルティ、ヴァイエ、アルボ、男性はロモリとプルミエのオリビエ・パテでした。白い衣装で優雅に踊ります。
最後は全員が出てきて、赤・グレイ・緑・白、と華やかなカラーが揃い、大団円で大喝采なのでした。
この最後の「全員集合」って、目が10個ぐらい欲しいよね。煌めく宝石たちばかりだから、見逃したくないのに!でもこの大団円で見るデュポンは、「自分だけが目立てばいい」系でなく、ちゃんと監督としてみんなを率いている感じがしました。
ここでも彼の温かさ、空気の温度を上げるエネルギーが充満、絢爛豪華な「水晶宮」は幸せ過ぎました。。。
2本目は「イン・ザ・ナイト」。ロビンス振り付けです。ショパンの音楽に乗せて、合計6組の男女が細やかな情愛を踊るのですが、本当に「静かな夜は更けて」って感じで、暗闇の中、神秘的で美しかったです。
3本目は「プッシュ・カムズ・トゥ・ショブ」。1976年初演。振り付けはトワイラ・サープ。
トワイラ・サープ、一世を風靡しましたね~。アメリカでモダンバレエの振付師として大活躍しました。
もともとアメリカン・バレエ・シアターとバリシニコフのために作られた…とありますが、コミカルで奇想天外なステップとポジションが楽しい作品。バリシニコフの初演、見たかったね~。ここではデュポンがバリシニコフ並みに超絶技巧も駆使し、軽快に踊ってみせました。
「粋でかっこいい」のは得意中の得意ですね。でもこういう踊りがとても難しいんだろなあ。
以前、ルグリがドキュメント番組で「クラシックバレエを踊ったすぐ翌日に、モダンを踊らなくちゃいけないんだから。体がバラバラになっちゃうよ!」みたいな悲鳴をあげておられました。
やっぱり、クラシックとモダンでは、使う筋肉が違うらしく筋肉痛が起こるらしく。
でもそんなことはおくびにも出さず、バランシンからロビンス、サープまで、古典から現代まで踊りぬくオペラ座の踊り手たちは、厚みが違うというか脇役の人たちまで全て「美」で埋め尽くされていました。
パンフレットに、頂点(横綱)のエトワールから順に、第一舞踊手(大関)のプルミエ・ダンスール、その下のスジェ(関脇)、コリフェ(小結?)、カドリーユ(前頭?)と、全員の名前が書いてあります。
以前「パリ・オペラ座バレエ学校」の来日公演で、主役のシルフィードを踊っていたデルフィーヌ・ベイが、一番階級が下の「カドリーユ」のトップに名前が載ってました。
「ああ入団出来たんだなあ。。。でもここ(群舞)から頑張って!」と思わず応援してしまう。
バレエ学校を出たからといって全員がオペラ座に就職できるわけではなく、数名採用されたらあとの人は自分でバレエ団を探して、オーディション受けて生活していくのでしょうね。
その厳しい階級制度は、日本人には馴染まないかもしれないけれど、今、日本のオニール・八菜さんが上から二番目の「プルミエ・ダンスール」で踊ってらしゃいます。
誰が昇格するか?とか、自分の御贔屓のダンサーが上がっていくのを見るのも、オペラ座ファンのお楽しみかもしれません。そう。大相撲みたいに。
なつかしく、「パトリック・デュポン監督」のオペラ座公演の華やかさに、思いを馳せました★