ロボットの映画の感想を書きましたが、ロボットとアンドロイドの違いって何だ。。。
「アンドロイドの美女」といえば、なんつっても「ブレードランナー」ですね~私の世代的には。
でもあのアンドロイドは、確か寿命が決められていたのよね。
「エクス・マキナ」のエヴァは寿命設定は無い(?)ので、永遠に生きるのでしょうか。
ロボットで思い出したけど、手塚治虫さんの「火の鳥」で、ある男がロボットの愛人と抱き合ってる最中に充電が切れて、締めつけられて窒息死するシーンがありましたね…恐ろしい。
その愛人は、人間を殺さないようにプログラミングされていたけれど、電力が切れればただの金属の重いカタマリですもんね。
「エヴァ」は充電してる感じがしないし、動かすエネルギーは何なんだろう。いつか自分で「あ、そろそろ故障しそうかも」と思ったら、部品取り替えたり新しく動力を開発したりして、永遠に生きることも可能そう。でもずーっと若い美女のままだったら、周りにあやしまれるから、それなりに人工の皮膚も老化させていくのだろうか。。。とか、妄想がつきません(笑)。
5月末にやってたフジの「世にも奇妙な物語」で、「夢見る機械」という中編ドラマがありました。他の3本も面白かった
けど、私は、「諸星大二郎×窪田正孝」ということもあり、気合入れて録画してましたよ(笑)。
諸星さん、デビュー作の「生物都市」が衝撃でした。
…家にたまたまあった(兄が買っていたのでしょう)雑誌に「手塚賞受賞!」とのアオリで載っていて、子供心に怖すぎた。今でもコマ割り覚えてるぐらい、見入ってしまった。
確か、宇宙から飛来した隕石(?)謎のウイルスかなんかの影響で、地球上の機械が溶け出して、人間(生物)とくっついちゃうんです。
地球に初めからあるもの=自然物は大丈夫なんだけど、人間が作り出したもの=道路も機械もビルも車も電車も、溶けてしまう。
自動車とくっついちゃった人とか、カベと一体化して動けない人とか、どんどん都会はパニックになっていって、主人公の男性はアスファルト道路とくっつかないように必死で走る。
そしてある研究室みたいなところへ行くと、科学者のおっちゃんが既に大きなコンピューターと一体化していて、「やあ。いい気持ちだよ。僕は機械として永遠に生きられるのだから」みたいな恍惚とした口調で、彼に語りかける。
ゾッとして、山へ逃げると、以前から親しくしていた「山の仙人」みたいな男が、自然の中で火を起こして超原始的な生活をしていて、「鍋もカマも捨てちまったよ。人間は自然の中で暮らすのが一番なんだ」と彼に食糧をくれます(確か焚火であぶった動物の肉か魚?)。
諸星さんのデビュー当時って、多分日本の高度経済成長のまっただなかで、「行き過ぎたテクノロジー批判」みたいな漫画や小説が、どんどん出てきてたような。
あ、話が脱線しましたが、ドラマ「夢見る機械」を見てたら、コンピューターの描写が、なにか昭和レトロチックなデザインで、懐かしく嬉しくなってしまいました。鉄パイプで殴ったら火を噴くところとか、むっちゃ「昔のコンピューター」って感じで(笑)。
人間はずっと眠っていて、脳内で素敵な夢を見られて、現実世界では身代わりの「本人そっくりロボット」がせっせと働いていてくれる。嫌な事も面倒な事も、ロボットがやってくれてる。
これちょっと、「百億の昼と千億の夜」の「トーキョー・シティ」のA級市民の描写とカブりましたねえ。
「百億の~」は、萩尾望都さんが光瀬龍氏のSF原作を漫画化したものなのですが、その中のいちシーンで。
繭のような「コンパートメント」にA級市民が眠っていて、脳はチューブでつながれていて、管制塔のような所から「夢」が送りこまれてくる。みんな、市民として繁栄した都市で幸せに暮らしている「夢」を見て眠っている。
でも、現実の地球は、滅亡しかけの茫漠とした世界で、コンパートメントの管理をしている一人のロボットが反駁して、そのチューブをひきちぎっちゃう。
「人間ばっかいい思いして!俺にも夢を見させろ!」ということですね。
チューブがはずれた瞬間、人間はシュシュシュシュ…と死んでしまうけど、ロボットも抹殺されてしまう。
「夢見る機械」は、諸星さん特有の「粘っこいシュール」が上手くドラマでも再現されていて、古臭いと見るかレトロと見るか、好みが分かれそうですが、私は古い人間なので(笑)面白かったです。
別に窪田君をキャスティングしなくても良さそうな感はあったけど(笑)。ファンなので美味しかったですよ
原作は確か、もう少し幼い少年じゃなかったのかな?
しかしこれ、原作漫画はかな~り昔に描かれているのに、「今」の社会にも通じる怖さが、ヒシヒシと感じられますよ。
スマホばかり見つめてて、その中の世界に夢中になってる人間も、機械に脳をつながれた「眠っている人間」そのものじゃないですか!
現実世界で働いてくれる「そっくりロボット」こそ(まだ今は)いませんが、世の中の仕事がどんどん機械化されて人間がやらなくてよくなったら、「ロボットが代わりに働く」ことと一緒。
その間、人はスマホ見て、戦闘ゲームで勝った負けた!とか疑似恋愛とかやってて、まさに「夢見てる」状態です。。。
スマホゲーム系の収益の莫大さとか見たら、世の中でどんだけ沢山の人が夢中になってるか、おっそろしくないですか。今大流行中のポケモンGO!とか。周りが皆やってたら異常だよ(笑)。
「夢見る機械」のテーマつうかコンセプトが、今現代の社会風刺になっていて、なんか背筋がゾクッとしました。バーチャルな世界に逃げ込んで、現実と闘おうとしない。
夢の中では、仕事も成功して可愛い彼女と結婚してお金の心配もなくて…窪田君演じる漫画家志望の青年も、無理やり「体験スリープ」をすすめられるのですが、「こんなのウソの世界だ!」と怒ります。
でも、周りの人がみーんなロボットで、自分だけ生身の人間だったら、どういう気持ちになるんだろう。。。
むなしくて自殺するか、自分も眠って夢見る仲間になるか。。。
昔は、この「バーチャルな世界」が、本や映画や演劇だったけど、今はネットの世界でいくらでも夢が見られるのですよね。
しかも、課金すれば自分が強く賢くなったような気がする(?)
「なぜ今、諸星大二郎?」って思ったけど、人間の抱える問題って、時代が過ぎても普遍的なもの…なのかなと思います。
【余談】
「世にも奇妙な~」は、他の3本もどこかレトロで、プロデューサーが私の世代なんかな…「通いの戦争」とか、いかにもな筒井康隆的シュールで、これまた懐かしさを感じました。
この作品発表されたのは、ベトナム戦争が背景にあった頃じゃないかな。。。筒井さんでドラマ化して欲しいもの一杯ありますよ。彼の近未来SFって、今この時代にあてはまるものが多くて、予見能力が恐ろしいです。
最後の「クイズのおっさん」だけ、若い世代の原作に思えました。少しテイストが違いましたよね?
奇抜でおもろかったし、高橋君×松重さんのコンビも良かったわ。最後、高橋君が「二代目・クイズのおっさん」になって欲しかった(笑)。
「丸ちゃんのオシッコが石油になってしまう」を見て愕然として以来、この「世にも~」シリーズ避けてたんですが(あれはないやろ笑)。久々に見て面白かったので、ドラマ制作陣のなんつうか「底力」を感じました~★